異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

文字の大きさ
325 / 1,085
三部 主と突き進む道 第一章 海底の世界へ向けて

第二百七十九話 譲り受けた黒曜石の剣

しおりを挟む
「貴様に受け渡したいものがある」
「え? 先生が俺に?」

 そう告げた先生は、黒曜石の剣を手渡してきた。
 これは先生の大切なものなのでは? しかも武器として使用していた。
 他の武器も持っているのだろうか。

「黙って受け取れ。俺にはもう、不要となったものだ。この先恐らく貴様が
持っていた方がいい。使い方は明日、教えてやる。といっても俺が使えるのは、使い続けて知った
極一部だけだがな」
「でもこれ、神話級アーティファクトなんじゃ」
「そうだろうな。俺はこいつに生かされた。これがなければ森で倒れていただろう。
今の俺にはこいつから引き継いだ力がある。そして俺だけではこいつの力の極一部しか
引き出せなかった。こいつから力を引き出したのは、お前の中に眠る何かだ。
この剣を使いこなせ。そして俺以上の力を身につけろ。フェルス皇国を貴様が守れ」
「先生、それじゃまるで……」
「海底を出てしばらくしたら、旅に出る」
「……どこか、遠くへ行くつもりなんですね。暫くは会えないっておっしゃるつもり
ですか? 俺は……俺は! 先生に全然恩を返せていない。だから、行かないで欲しい。
一緒に……俺たちと一緒にいてはもらえないのでしょうか……」
「ルインよ。貴様が求めるものは何だ? 俺が求めるものは、匿ってもらった国と
フェルドナージュ様への恩返し。その恩義を返さず、あの場所でゆっくり生きてはおれん。
奈落へ行き、アルカーンと合流して、フェルドナージュ様を守る。その恩義を返し終わったら
俺は俺が何者なのかを知るため、長い旅に再び出るつもりだ」
「だったら俺も! 連れて行ってください! お願いします!」
「駄目だ。先ほど言ったことを忘れたのか。フェルス皇国を守れ。貴様がフェルドナージュ様の
大切な国を守るんだ」
「……どうしてもお一人で向かうつもりですか?」
「そうだ。足手まといはいらん」
「それは聞き捨てならないね。僕にだってフェルドナージュ様を助けたい意思があるんだよ」
「リルか。貴様でも足手まといに……」
「ならないでしょ、今の僕なら」
「……どうせ止めても貴様はシャドウムーブでついて来るか。面倒なやつめ」
「相変わらずな言い方だなぁ。僕は僕の考えで動きたい。いいかな、ルイン」

 みんな、起きてたのか。外からの声は聞こえちゃうから無理もないか。悪いことしたな。

「リル、俺からもお願いしたいくらいだ。先生は一人で必ず無茶をする。助けてやって欲しい」
「……私もルインから離れたくはないけど、行くわ」
「私もリルさんと一緒に……いきます!」

 ……そうだな。先生だってもう一人じゃないんだ。
 みんなで助け合い、またあの町に集まろう。

「やれやれだな。仕方ない。カノンの封印術は確かに役に立つ。だが足手まといになるなら
容赦なく置いていくぞ」
「それはこっちのセリフだね。僕だってもう、アルカーンには負けないよ」
「ふっ。守護者とやら一匹を封印した程度では、俺の足元にもおよばんぞ」
「そういえば先生ってどんなモンスターを封印しているんですか?」
「……君、そういえば知らないんだよね。アルカーンは妖魔封印を行わない。
倒した相手をそのまま能力の一部として吸収する特殊な妖魔だ。封印するの、見たことないでしょ?」
「そう言われてみれば無いな……そんな妖魔もいるのか。つまり先生は実力のみで……そうすると
武器が必要なんじゃ?」
「その黒曜石の剣以外にも、一本持っている。最もルーンの町の部屋に封印してしまってあるがな。
「あの武器、使うつもりなの? でもそうか。奈落にいるならあれくらいを持っていた方がいいかもね。
僕のプログレスウェポンも、強化しないとなー。君の籠手みたいに夢幻級にしてほしいよ」
「私なんてそれすらないのにー。妹思いじゃないわよね、本当に」
「サラはアルカーンの時計をいくつか破壊してるから、そのお詫びを持って行かないと作って
くれないんじゃないかな」

 アルカーンさんの時計を破壊……それは後が怖い。
 サラも頑張ってるし、お詫び用に何か考えるか……サラだけに絵皿に紋様を入れた時計を
提案してみよう。今それを提案したらルーニーが喋り出す気がするのでやめておく。

「さて、明日に向けて休むとしよう。ここにいると日付が変わったかどうか把握し辛いけど」
「僕の武器には時計がついてるからわかるんだけどね。案外、地上との時間軸はずれて
いないんだよ、ここ。休む時間としても適切だよ」
「そうか、それじゃ全員封印に戻って休むとしよう。明日からしばらく一人で行動になる。
みんなはここで修行なり花見なりしていてくれ」
「ツイン。みんな、心配。とっても」
「あんたが死ぬとあっしらまで死ぬんすからね!」
「大丈夫だ。死ねない理由がある。真っ二つに両断されても生きて帰って来るさ」
「両断されたらそう都合よく何度も助からないよ。絶対気を付けていってね。僕も心配だよ」
「俺はついていってもいいよな? な?」
「みんな落ち着いてくれ。大丈夫だ。いざとなったらちゃんと引き返す。
安心して見送ってくれ」

 話を切り上げ床に就こうとしたが、メルザは起きて心配そうにしていた。
 しばらくお風呂も入っていないから、髪もボサボサだな。明日朝水浴びをしてから行こう。
 そんなボサボサのメルザの髪を優しく撫で、安心させるよう手をつなぎ、眠る事にした。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

処理中です...