異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

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第三章 舞踏会と武闘会

第三百四十一話 第一試合、リルカーンの実力

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 美しい銀白色の髪を靡かせ、右手の蛇を前に突き出し、漆黒の目を光らせながら低い姿勢で構えるリル。
 今までの妖真化とは明らかに違う雰囲気だ。

「おいおい、なんで君、神魔化出来ちゃってるんだい。反則だろう、それは」
「時間がない。余が先に向かう。カノン、後方からあれを頼む」
「う、うん。リルさん本当に意識あるみたい。よかったわ……」

 
 武闘会会場にどよめきが走る。神の遣い側からだ。イネービュはそれを冷静に見ているだけだが、少し
笑みを浮かべているように見える。ブネは無表情のまま眉間にしわが寄っているように見えるが……怒り
なのか? 
 
「なぁルイン。リル、暴走してねーぞ。すげーな! いつあんな風にできるようになったんだ?」
「俺の影響を強く受けたんだろう。どうにもこの封印、仕組みがいまいち俺にもわかってない。
リルの潜在能力からして神魔解放だって出来るとは思うけど、ああもあっさりやられると、俺としては
複雑だなぁ……苦労したから」
「あれは完全な神魔解放などではない。よくみろ!」
「うわぁ、ブネ! 突然背後から話しかけるのはやめてくれ!」
 リルの方をよく見ると、確かに違和感がある。
 神魔解放……つまり第七感を得て、最高の高揚感がある状態だが、リルは冷静そのものだ。
 相手の対峙状況を見極めつつ、何をどうするか思案しているようにみえる。
 ということは、あれは……そうか! 

「わかったぞ、あれは模倣だ! リルのやつ、俺が一回サクラの木のところでメルザを連れて行く時
に模倣したってのか。まったくとんでもないやつだ」
「もほー? リルの必殺技か! すげー!」
「恐れ入ったぞ。あの妖魔センス。かつてのランスを思い出す。美しさといい技の閃きといい、なんという
逸材がいたものか……む、動くぞ!」

「余に殺されても文句は言わぬ事だ。邪眼連鎖! ……実に思考が回りやすい。限界点は三十秒程……
それで片を付ける! 。エビルパンデモニウム」

 邪眼の視線をすり抜けつつ、灰色の空間がリルの前方へと広がっていく。
 それを見てパチリとイネービュが指を鳴らすと、舞台の上以外は球場の膜で覆われた。

「あれ、くらったらまとめて封印される技だよな。リルの使用する技の中でも相当にやばい技だ」
「イネービュ様が手を出す程のものか。しかし十分操作できておる」
「カノンの方にも灰色の空間はむかってない。すげー集中力だ!」

 司会のライラロさんは目をぱちくりさせてみている。当然だ、ライラロさんはあれを見ていない。
 ここまでの急展開について来れなくても無理はない。

「えー、これはどうなってるわけ? リルが真化できて神魔解放? かっこよくなって灰色の空間を
展開……って何なのよこれー!?」
「ちみはもう少し落ち着くのだ。彼は飛躍的に成長した。海底に向かう途中彼を止められたのはカノンだけ
だったのだ」
「こんな面白そうな戦いなら私も参加すればよかったわ! 究極幻術をくらわしてやるんだから!」
「ちみが術を発動してどうするのだ。落ち着け。む、しかしあの灰色の空間、振り払ったようだぞ」
「エークシ! ありがと……でも大丈夫? その腕」
「いや、大丈夫ではない。あの小僧、さらに追撃を放っておった。三重の手、恐ろしい程の反応。
まさに神魔解放の力だった」
「……エークシ、君は離脱だ」

 大きく負傷したエークシに、イネービュから離脱が告げられる。
 負傷した腕はみるみるうちに元通りに戻り、何事もなかったかのような状態へと戻った。
 だが、本人は膝をつき息も荒い。あそこまで消耗するのか……確かに続行は難しい。 
 先ほどの攻防を俺はしっかり見ていた。
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