異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー

文字の大きさ
443 / 1,085
第四章 メルザの里帰り

第三百八十五話 カカシの足が心配で

しおりを挟む
 ライラロさん、ハクレイと共に温泉まで来ると、かなりの人たちが利用を終えたようだ。
 ここの管理はモラコ族が基本行ってくれている。よく働く素晴らしい種族。
 そして彼らもまた、ルーンの町を安息の地として活動している。基本的にはどこを掘ろうが
どこを泳ごうが自由だが、ムーラさんのいう事をしっかり聞いて色々手伝ってくれる。

 何より温泉受付のモラコ族を見るだけでも癒される! 

「あれ、タオル新しくなったのか? ずいぶんふわふわだな」
「フォニーさんが作ってくれたのー」
「たのー」
「……のー?」
「そうか。そりゃ助かる。お礼に……そうだ。ロブロード用の駒をベルローゼ先生風にしたのを
提供しよう。あの様子だと大ファンに違いない」
「それ欲しいー!」
「欲しいー!」
「……しいー?」
「ああ。お前たちにもちゃんと作ってやるから待っててな」
「わーい!」

 モラコ族の子供たちとにこやかに会話していると、ハクレイがとても羨ましそうに見ていた。
 別に話しかけたらいいと思うんだが……。

「わしの大陸に喋る獣のような種族があまりおらんでな。その手の種族はみな奴隷になっておる。
悲しいことじゃ」
「獣人、亜人は奴隷か……このトリノポートが亜人たちにとって暮らしやすいだけなのかもしれない。
キゾナ大陸はもっとひどかったように思える。
俺はここら一体を亜人や獣人にとって住みやすい場所にしたい。それはイーファ王も同じ考えだ」
「しかしこの国の王は無くなったと聞いたぞい。姫も行方不明という話じゃ。いつ攻め入られても
おかしくはなかろうて。いやはや、恐ろしい事じゃ」
「……」

 イーファとは面識がないのか気づかなかったようだ。しかしこの国へ進出した円陣は失敗した。
あの地は今どうなっているか……メルザの里帰りがてら様子見したいものだが、空中から
行くのは危険だろう。こちらも泉経由で行く必要があるな。

「おい貴様。いつまで経っても来ぬではないか。何をしている! ふやけるではないか!」
「あれ、ブネ。まさか温泉でずっと待ってたのか?」
「当然であろう。あの場所は至高。実に落ち着く場所だ。貴様と今後の話をするにはちょうど良いだろう」
「俺も話したい事があったんだが、別に温泉じゃなくても。それにブネは全裸って言ってたから
ちゃんとタオル巻いてくれよ! 頼むから」
「ふうむ。このブネの美貌を拝めるのはありがたい事だと思うぞ」
「これでも嫁がいる身の上なんだよ。その辺は察してくれ」
「よいではないか。嫁共々見るがよい」
「神の遣いってのはこんなんばっかりか。はぁ……」
「女神じゃ! 本物の美の女神様がおる! わしゃもう、死ぬかもしれん」
「ほら見ろ、この老人はわかっておる!」
「それはいいから。この爺さんの話を聞いてやってくれ。ハーヴァルに伝えたい事があるらしくて。
忙しいんだよ、俺」

 ブネに爺さんを押し付け、ささっとカカシのいるであろう北エリアに向けて移動する。
 ライラロさんは再び温泉に入るのか、いなくなっていた。相変わらず神出鬼没だ。

「しかしあの爺さん、あんないで立ちだけど戦えるのかな。シフティス大陸か……」
「行ったことない場所は冒険のにおいがするの! まみむめもまみむめもヤ、ユ、ヨ!」
「うぉぉお! 誰だ、びっくりさせるな! あれ? エーナか?」
「やっと邪魔されず喋れた。あなたはいつも私の楽しみを遮るから」
「何でここにいるんだ? こっちに来たのはブネとエプタだけだろ?」
「イネービュ様の命令で来た。ロブロードの模様を多く作るためあなたの知識を借りてこいと」
「おいおい、どんだけ夢中になったんだあの神様は。これから畑と牧場に行く予定だ。一緒に
くれば刺激を受けるかもな」
「それじゃついていくことにする」
「エーナちゃんでごじゃろ! 可愛いでごじゃろー!」
「……絶対出てくると思ったぞ。なぁ、こいつもロブロードのデザインにしたらどうだ。
世界に二つとない名剣……なんだろう?」
「アーティファクトを駒とするのはいい発想。でもアーティファクトは壊れない」
「ダメージを与えてゲットするってのに反するか……うーん。それなら場にあると効果を発揮する
エンチャントとして配置できるおはじき役にしたらどうだ? はじいて場外へ落とせばエンチャント
効果は消えるが、そのおはじき自体はゲーム内で入手不可とか」
「それはいい考え。提案してみる」

 エーナとあーだこーだと話しながら歩いていると、あっという間に畑と牧場エリアについてしまった。
 かかしと……おや、フォモルさんかあれは。
 
「やぁフォモルさん。カカシも。ちょっとだけいいか?」
「ルインか。主との結婚、おめでとう。わし、参加できなくてすまんのぅ。見ての通りじゃからな」
「随分と足を痛めてるようでしてねぇ、どうにか手助け出来ないか考えてたところでして」
「カカシ、お前随分と無茶してたんじゃないか? 落月のナイフじゃもう回復しないのか?」
「難しいのぅ。わし、随分と長く生きていたからな。きっとわし自身、マジックアイテムなんじゃよ」
「そーいやカカシの出自とか、一切知らないんだよな、俺。この足の部分て普通の木じゃないよな」
「こりゃ霊木ですぜルインの旦那。そんじょそこらの霊木とはわけが違う。数千、いや数万年は生きた
大樹の木のものでやしょう」
「その木があればカカシの足、治してやれそうか?」
「そりゃ多分できるでしょうけど、そんな木、妖魔皇国でもそうそうお目にかかれませんぜ」
「探してみるさ。これからあちこち行かなきゃいけないんだ。カカシも俺にとっては最初のころからの
付き合いが長い家族だ。だから見つかるまで、あんま無理しないでくれよ」
「ルインよ。わしの事より主を頼むぞ。わしゃとっくに死んでたはずじゃ。
もう助けられた身じゃし、自分たちの事を……」

 俺はすっとカカシにしがみついた。それ以上は言ってほしくない。

「いつも領域を見ててくれてありがとう。本当は一緒に旅したいのに、出来なくて辛かっただろう。
時折しか顔を出せてやれなくてすまない。でもさ、俺もメルザもちゃんと、カカシの事を
気にかけてるんだぜ」
「ルイン……わしゃ嬉しくて嬉しくて。このふしくれの手じゃどうしてやることもできん。
じゃが美味い作物はわしに任せろ。それにここは多くの者が訪れる。寂しくはないぞ。
戦闘で手伝ってやれんのは悲しいがのう」

 何言ってる。ここにいてくれるだけで十分嬉しい。
 いつも通り作物をある程度受け取ると、モンスター牧場へ行き、再び出せるようになったモンスターたちを
確認する。こいつとこいつ、それからこいつはばっちり使えるな……。
 しかしここも随分と増えたもんだ。
 めいいっぱいスライムを集める人の気持ちも、わからなくもないな。

 さて、俺も戻って少し寝るとしよう。
 明日からの里帰りに備えて。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...