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箱の中身と脱出だーい!

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「おおっ!? これは?」

 小さい箱には本当に小さい剣が一本入っていた。それと小さい玉のようなもの。
 当然俺は持てない。

「これはシロンちゃんとカエサルちゃんのものね! 戻ったら鑑定お願いしようね!」
「そうね。多少の経験は詰めたでしょ? こっちもここに来る途中ニャトルがレベル一つ上がったわよ」
「私もです。えへへ……」
「なんで罠を踏みまくったあんたが上がるのよ……はぁ」
「宝箱とったんならもう脱出はいつでも出来るぞ。それも所有権保持者の特権だ。
来た時と同じようにポーズをとって、離れるマルマルダンジョンと唱えるんだ」
「わかったニャ! ニャニャ、離れるニャ初心者ダンジョンニャ!」

 俺たちはふぃーっと光に包まれなかった。
 ニャトルだけ包まれてふっと消える。

「俺たちはいつ戻るんです?」
「さぁ。どうするんだろうな。全員でやってみるか」
「心配なのでカエサルさんからやってください!」
「わかったサ。離れるサ初心者ダンジョンサ!」

 ふぃーっと光に包まれて消えるカエサル。よかった、一匹取り残されたらどうしようと思った。

「しかし、ダンジョン構築したやつの特権じゃなかったの?」
「やっぱりここは変なダンジョンなんだな。ハラペーニャ様にもよくわからねーや! さっきのやつも
ハラペーニャ様の家にいるかもしれないぜ?」

 結局全員で同じあほっぽいポーズをとって脱出に成功した。
 ご主人の仕草が地味に可愛い! ラフィーさんやサルサさんも決して可愛くないわけじゃ
ないが、照れてるので減点です! 

「はぁ……どっと疲れたわね……」
「ああ。ハラペーニャ様は腹減ったぞ。シロン、何か作ってくれよ」
「って言われましても。材料がどこかにないのかな。食べ物をちっとも召喚できないよー」
「つんつんトゲトゲした中に実が詰まってるものくらいしかないな。あんまりうまくねーんだよな」
「なんですと? ツンツントゲトゲして中に実がつまってる? それってもしかして……」
「こいつだよ。ほれ」
「あいたー! クリ! クリだこれは! クリクリー!」
「え? それは塩棘ポニャンでしょ? 何よクリって」
「塩棘ポニャンてなんですか……これはクリ。食用にして俺の好物の一つ! 
あー、マロンパン食べたいよー」
「お前これ調理できないか? 一応食用なんだけどまずくてよ」
「これ、まさかそのまま食べてるんですか? これは一度茹でてから食べるか炒ったり蒸したりして
食べるんですよ」
「ん? そのまま食うんじゃだめなのか?」
「当たり前です! 皮をはいで食べるんですよ」
「やってくれ。なんか必要な物があれば用意する」
「カエサルも食べてみたいサ。森のものを食べれるのはありがたいサ」

「じゃあお鍋と水と火を用意してください」
「火なら私がつけるわ。ちょっと小腹が空いたのよね」
「これが鍋になりそうかも。これ使っていい?」
「それ、盾だけどな。いいぞ。洗浄魔法はかけてやる」

 ハラペーニャが怪しい術を唱えて盾にかけると、ツルツルピカピカになった。すげー! 

「ご主人、もう一度水で綺麗にあらって……そうそう、それで水をそれくらい張ってください。
地雷なラフィーさんはこっちで栗の外側を取っ払ってくださいね」
「うう、そんなあだ名嫌だよぉー……誤りますから、ラフィーって呼んで!」
「ニャトルはどうするニャ?」
「栗をかき集める作業だ。トゲトゲを一杯拾ってくるんだ!」
「一番過酷な役だニャ! 酷いニャ!」
「大丈夫だ。ハラペーニャも連れてっていい」
「このハラペーニャ様をこき使うとはな。まぁいい。行ってやる。いっぱい食えそうだ」
「よろしく頼むニャ」

 こうして湯を沸かしクリを投入。頃合いをみて取り出すと……実にうまそうな湯でクリが完成した。

「なんか、生の時より柔らかいしいい香りがするわね」
「湯でたとこから甘いにおいがするニャ」
「この湯でクリから更に工夫すると様々な料理ができます。けど今はそのまま食べると
しましょう」

 全員で茹でただけのクリを食べる……うまい! うまいぞー-! 

「もっと食いたいぞ。やっぱりこいつについていこう」
「カエサルもいくサ。仲間にして欲しいサ」
「二人ともそれはいいけど、俺たち町に一旦戻るよ?」
「ハラペーニャ様はその猫の中にいる。いつでも出れるから安心しろ」
「どういう事ニャ? ニャトルは魔族になったニャ?」
「契約だ。安心しろ、害はない」

 そう言うとすぽーっとニャトルの中に入るハラペーニャ。ちょっと怖いです。

「本当に入ったわ……不思議ね魔族って。ハラペーニャが不思議なのかしら」
「ショートの町は亜人も多いから、あんたは普通についてきても平気よ。
さぁ今日は戻りましょ」

【シャキーン】
【シャキーン】

 ……あれ? クリ拾いやらクリ食べた影響? 何か俺もニャトルもレベルが上がった。

「あれ、あんたたちレベルあがった?」
「なんか、眠くなってきたニャ」
「俺も……だ」
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