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シロンはパン屋を営みたい……ウルフィの熱い野望
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「シロン、一体毎日何してるニャ? グルグルグルグルしてるだけだニャ。それに、それ腐ってるニャ?」
「ニャトルにはこの崇高な行為が何であるかをわかるまい! これはだな……至高にして究極。
究極にして至宝の一品を作るための大事な行程! そして……ついに、ついに! この泡ブツブツ!
やった、やったよー! 俺はウルフィという身だりながらついに! パンを手にする時がきたー!」
「へぇ、面白いねー。ユウチュウー。それどう使うのー?」
「チャチャさん! これは面白グッズではないのですよ。食べるものです」
「こんなの食べられないのろー」
「今のまま使うんじゃないよ! こいつを調理してパンを焼くんです! しばしお待ちください!」
「私もいきます!」
「地雷フィーさん、今回は待っててください! ここで爆発したらシロンは立ち直れません!
さぁヴィーヴィルさん、行きましょう!」
「わかったのろー」
「ふえーん。爆発なんてしないですよぉー……」
「まぁいいじゃない。面白そうだし気長に待ってましょ」
「ちなみに地雷麦粉は売却済みです」
「えっ!? 今何て言ったんですか!?」
「何でもありません!」
そして待つこと数時間後……宿屋一帯にとてもいい香りが広がっていく。
これには一同驚き、お腹もすいていて我慢できなかったようで、慌てて調理場まで下りて行った。
「美味しそうな匂い……もう我慢できない!」
「何よこれ。こんな香ばしい匂い嗅いだことないわ……」
「ニャトルは焼けた魚の匂いの方が好きニャけど、これも悪くないニャ」
「お腹、空きましたぁ……」
「カエサルも食べてみたいサ」
「ゴラァ! いつまでわいを無視すんねん!」
おかしな具材キノコも混じっているが、皆さんお腹が空いたようで降りてきた。
いよいよパンのお披露目である!
「ヴィーヴィルさんとシロンの最高傑作、ついに完成です! 一体どれほど優れたものなのか、食べながら
説明しましょう! 焼きたてが一番おいしいので焼きたてパンをごろうじろー」
カマドに変身してもらったヴィーヴィルさんの中から、焼きたてのパンを取り出す。
「何これ。黄金色で綺麗……」
「シロンが作ったにしてはセンスがあるニャ」
「おいニャトル。俺はこう見えても元パン屋だぞ! そんじょそこらのパンと思ってもらっちゃ困るのだよ?」
「メールカウの絞り乳を使ったのかな、これ」
「メールカウってのが何かはしりませんが、女将さんから牛乳っぽいのとバターっぽいのを貰いました!
なので出来立て第一弾は女将さんに献上しましたよ!」
「ふうん。シロンがそこまで熱を入れるっていうそのパン。本当に美味しいのか食べてみようじゃないの。
ちょっと怖いけど……」
「どうせシロンのたわごとに違いないニャ。でもニャトルもお腹空いたから食べるニャ」
全員恐る恐る口に運び……ぱくりと食べて、ぴたりと動きが止まる。あれぇ!? なんでー?
「シロン、あんたどうしちゃったの? 普通に美味しいじゃない」
「美味すぎるニャ。こんなの絶対おかしいニャ!」
「これなら毎日でも食べれます!」
「これ、うちの店で仕入れたいね。欲しいよー。シャニャオ」
「さっすがシロンちゃんね! うふふ」
「さらにですね。こいつは長旅にも持っていける優れものです。長期保存しやすいんですよ。
バターロールだとそこまで持ちませんけど、もっとシンプルに焼いたやつなら長く持ちます!」
「それは便利ね。私たち冒険者は長期の旅にも出るから、売れるんじゃない? さっき話してた
酵母っていうの、まだあるの?」
「酵母入りは残り少ないのです。酵母菌だけ取り出せればいいんだけど、そんな技術この世界には
ないですからね。こうやって衛生管理しながら作るしかないのです」
「そうすると量産は無理ね」
「しかーし、シロンには野望があるのです! いつか、この世界でパン屋を開くぞー!」
「あんた、召喚獣じゃない! どーやってやるのよ!」
そうでした。俺は召喚獣のシロン。パン屋を営むのは夢のまた夢でした。シクシク。
「いつか私が最高の召喚士になったら、ニャトルちゃんとシロンちゃんでパン屋をやるのも
いいかもね! うふふっ。そのためにもまずは強くならないと! 明日からまた修行だよ!」
最後は元気なご主人の姿を見てホッとするのでした。ちゃんちゃん。
「わいの出番どこやゴラァ!」
「ニャトルにはこの崇高な行為が何であるかをわかるまい! これはだな……至高にして究極。
究極にして至宝の一品を作るための大事な行程! そして……ついに、ついに! この泡ブツブツ!
やった、やったよー! 俺はウルフィという身だりながらついに! パンを手にする時がきたー!」
「へぇ、面白いねー。ユウチュウー。それどう使うのー?」
「チャチャさん! これは面白グッズではないのですよ。食べるものです」
「こんなの食べられないのろー」
「今のまま使うんじゃないよ! こいつを調理してパンを焼くんです! しばしお待ちください!」
「私もいきます!」
「地雷フィーさん、今回は待っててください! ここで爆発したらシロンは立ち直れません!
さぁヴィーヴィルさん、行きましょう!」
「わかったのろー」
「ふえーん。爆発なんてしないですよぉー……」
「まぁいいじゃない。面白そうだし気長に待ってましょ」
「ちなみに地雷麦粉は売却済みです」
「えっ!? 今何て言ったんですか!?」
「何でもありません!」
そして待つこと数時間後……宿屋一帯にとてもいい香りが広がっていく。
これには一同驚き、お腹もすいていて我慢できなかったようで、慌てて調理場まで下りて行った。
「美味しそうな匂い……もう我慢できない!」
「何よこれ。こんな香ばしい匂い嗅いだことないわ……」
「ニャトルは焼けた魚の匂いの方が好きニャけど、これも悪くないニャ」
「お腹、空きましたぁ……」
「カエサルも食べてみたいサ」
「ゴラァ! いつまでわいを無視すんねん!」
おかしな具材キノコも混じっているが、皆さんお腹が空いたようで降りてきた。
いよいよパンのお披露目である!
「ヴィーヴィルさんとシロンの最高傑作、ついに完成です! 一体どれほど優れたものなのか、食べながら
説明しましょう! 焼きたてが一番おいしいので焼きたてパンをごろうじろー」
カマドに変身してもらったヴィーヴィルさんの中から、焼きたてのパンを取り出す。
「何これ。黄金色で綺麗……」
「シロンが作ったにしてはセンスがあるニャ」
「おいニャトル。俺はこう見えても元パン屋だぞ! そんじょそこらのパンと思ってもらっちゃ困るのだよ?」
「メールカウの絞り乳を使ったのかな、これ」
「メールカウってのが何かはしりませんが、女将さんから牛乳っぽいのとバターっぽいのを貰いました!
なので出来立て第一弾は女将さんに献上しましたよ!」
「ふうん。シロンがそこまで熱を入れるっていうそのパン。本当に美味しいのか食べてみようじゃないの。
ちょっと怖いけど……」
「どうせシロンのたわごとに違いないニャ。でもニャトルもお腹空いたから食べるニャ」
全員恐る恐る口に運び……ぱくりと食べて、ぴたりと動きが止まる。あれぇ!? なんでー?
「シロン、あんたどうしちゃったの? 普通に美味しいじゃない」
「美味すぎるニャ。こんなの絶対おかしいニャ!」
「これなら毎日でも食べれます!」
「これ、うちの店で仕入れたいね。欲しいよー。シャニャオ」
「さっすがシロンちゃんね! うふふ」
「さらにですね。こいつは長旅にも持っていける優れものです。長期保存しやすいんですよ。
バターロールだとそこまで持ちませんけど、もっとシンプルに焼いたやつなら長く持ちます!」
「それは便利ね。私たち冒険者は長期の旅にも出るから、売れるんじゃない? さっき話してた
酵母っていうの、まだあるの?」
「酵母入りは残り少ないのです。酵母菌だけ取り出せればいいんだけど、そんな技術この世界には
ないですからね。こうやって衛生管理しながら作るしかないのです」
「そうすると量産は無理ね」
「しかーし、シロンには野望があるのです! いつか、この世界でパン屋を開くぞー!」
「あんた、召喚獣じゃない! どーやってやるのよ!」
そうでした。俺は召喚獣のシロン。パン屋を営むのは夢のまた夢でした。シクシク。
「いつか私が最高の召喚士になったら、ニャトルちゃんとシロンちゃんでパン屋をやるのも
いいかもね! うふふっ。そのためにもまずは強くならないと! 明日からまた修行だよ!」
最後は元気なご主人の姿を見てホッとするのでした。ちゃんちゃん。
「わいの出番どこやゴラァ!」
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