上 下
64 / 133

使い切りの魔術なのです

しおりを挟む
 リヴァティベルでやる事を済ませた俺たち。
 次は装備の点検です。
 俺たちの構成は犬、猫、地雷、召、魔、カ、中です。
 このうち役に立たないのが猫、地雷。そう、つもり五人なんですね。
 そこに! なんと新たに弓が加わりました! パチパチパチ! 
 装備屋に的があったので早速試させたんですが……これが驚きました。
 
「流星矢ちゃ」
「そのちゃっての何とkならないのか」
「ならないちゃ」

 しかし流星矢と言いながら放った矢は、まさに流星の如く放物線を描いて次々に的の
 上部へ矢が吸い込まれるようにささる。
 何でもちゃちゃ丸の目には、的の上部分に丸い印が出てそこが着地点になるらしい! 
 そんな反則スキル、覚えたいですよ? と思ったんですが俺はウルフィ。前足じゃ弓は握れなかった。
 しょぼーんなのです。
 しかしこいつがいれば、高いところから矢やら煙玉やらを放てるのでは? 実はうちのパーティーの
主力になる戦力かもしれません! 何せ密猟者は町から港へ出て密漁をする。
 つまりハラペーニャという魔族は相変わらず使えないわけです。使えねぇ! ちくせう。せっかくの魔族が
切り札になりません! 

 そして、馬と地雷は使いようといいます。あの地雷フィーさんは他者に対して強烈な不幸をまき散らします。
 今回もうまく利用してやる! 

「フッフッフ……ハーッハッハッハッハ! ハガッ!? 顎が!」
「まーたシロンが何か企んでるニャ。それでニャトルの新装備は何にゃ? せっかくの剣士が台無しにゃ」
「お前剣士っていうけど尻尾のケンとかいう役に立たなそうな技しか使えないだろ?」
「シロンは見る目が無いニャ。ニャゴハーーッハッハッハッハ! この前爪を見るニャ! ニャゴハーーッハッハッハ! ニャガッ!? 顎が痛いニャ!」
「お前も同じ事してるじゃないか! 前爪? うーん。肉珠しか見えない」

 しかし次の瞬間ジャキ! っと音を立てて爪から鋭いトゲトゲのような物が出る。

「それはねー。収納可能な魔道具爪よー。ジャオ!」
「何ー! それなら俺にもつけて! 前足パンチ出来るし!」
「あんたはこっちよ。その雷混の腕輪、使わなかったら宝の持ち腐れでしょ。ほら」
「これはまさか!? 伝説の……雷斗が使えるアーティファクト!?」
「何よそれ。これは魔術契約書よ。雷の初級魔術、コボルトが使えるようになる魔術契約書」
「へ? 魔族と契約しなくても魔術が使えるようになるんですか?」
「これは魔族が契約書として発行した簡易魔術道具なの。使用回数に制限がある代わりにお金で
交換できるのよ。これは十回分の安いやつ。いい? 無駄撃ちしちゃだめよ?」
「しませんて! やったー! ついにシロンも魔術使いですね! それで、どうやればいいんです?」
「ちょっと前足出して、シロン。
「おお、ハンコですね。こうですか?」

 すっと前足を出すとさっくりやられた。 痛いよー! 血のハンコなんて聞いてない! 
 ポンッ! っと血痕を押すと、無事契約は完了したようです。
 しかしどうやって使うのだろう? 

「いい? あんたがいつも炎纏いとか使う時のようなイメージでこう唱えなさい。
閃光の如き電よ。万物を貫く雷撃となれ! コボルト!」
「ええと、閃光の如き電よ。万物を貫く雷撃となれ! コボルト! ですか?」

 バチーン! と装備屋さんの目の前の鎧に電が発射され、黒い焦げ跡がつく。
 これは……やってしまった……。

「ちょ、何で今使うのよ! 後九回しか使えないじゃない! あー!」
「お客さん。あの鎧、弁償してもらいますよ?」
「カエサルが買うサ。ちょっと気になってたサ。でも少し安くしてほしいサ」
「カエサルさん……あなたは本当にいいカエルだ……」
「シロンの雷に耐えられる鎧なら、買って損は無いサ」
「なんていいお客さんだ……ええい気に入った! 五割引きで売ってやる!」
「やったサ。これもシロンのお陰サ」
「何というポジティブ……まぶしい! カエサルさんがまぶしい!」
「はぁ……シロン。あんたちょっとこけおどしにも使えそうな装備があるんだけど、これも着てみなさい。
この間の部分から炎を出してみて」
「うん? この間が空いてる鎖みたいなやつですか?」
「それは鎖帷子っていうサ。刀なんかで切られても、通らなくするための装備サ」
「これが鎖帷子! 伝説の初期装備じゃないですか! 値段は五百ゴールドですか?」
「ゴールドって何よ。銀貨五枚だったわ。巻けてくれなかったのよねぇ」

 じろりとサルサさんが店員を睨むが店員もそれに合わせて横を向く。
 こりゃサルサさんでもまけられなそうだ。
 さっきのは偶然のたまたまに違いありません。

「まぁいいわ。うまくいけばお宝ザクザク! ここで奮発しない手はないわ! 
皆装備を見直すのよ!」
「おー! サルサさんがやる気満々だ!」

 テンションの高いサルサさんを見て、皆気合を入れて装備の調整に入る。
 ついに俺も新しい魔術を使えるように! これで戦力アップ間違いなしだ! やったね! 

「チャチャ子の出番が無いちゃ」
「新人はまた来週! ちゃんちゃん……いででで! 尻尾をつねらないで欲しいのです!」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】素直になれない白雪姫には、特別甘い毒りんごを。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:220pt お気に入り:63

イサ・ビルニッツは冷徹上司の溺愛から逃げられない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:519pt お気に入り:10

【完結】嫌われているはずの婚約者が妻になった日から可愛くて仕方ない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:27,803pt お気に入り:2,419

片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,834pt お気に入り:19

聖なる幼女のお仕事、それは…

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:1,021

引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:711pt お気に入り:37

親が決めた婚約者ですから

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,563pt お気に入り:1,369

最初に私を蔑ろにしたのは殿下の方でしょう?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,042pt お気に入り:1,959

ロリコンな俺の記憶

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:3,834pt お気に入り:15

国王陛下に婚活を命じられたら、宰相閣下の様子がおかしくなった

恋愛 / 完結 24h.ポイント:447pt お気に入り:726

処理中です...