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第3章 北の国 クレイロック
4 アンデンの戦姫ココ
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アンデン国、北境界戦
「隊長ーッ!!大変ですッッ!!北の境界戦からハクラ市にかけて敵に占領されました」
「クソッ!!」
天幕にいたアンデン国北配置兵隊長のルブリンは机を思い切り叩いた。艶のある翠色の髪を苛立つように掻くと王位継承第一位の王子であるジョセフは命ずる。
「仕方ない、一旦後方に下がり、隊を整えて、敵を撃つぞ」
「畏まりました」
ルブリンは隣にいたジョセフに頭を下げると隊を移動させるために慌てて天幕を出た。
「参ったな…」
「兄上…」
兄と同じ美しい翠色の髪を一つに纏め、きりりとした顔立ちのアンデン王国の末姫ココは心配そうに見つめた。
「おまえは城に戻れ」
「いえ、戻りませぬ!」
「ココ?!」
二人は北の地に不穏な動きがあるという情報を聞きつけ、確かめために向ったのだ。しかし、不穏な動きとは敵からの奇襲だった。
元々、北の地は多民族達が斑らに住み、国として栄えてはおらず、長き渡り脅威ではなかった。
安心感からか長きに渡り、北の地には僅かな兵力しか置いていなかったのだ。
全く想定外の出来事にジョセフは混乱していた。
アンデン一族は皆、武力に秀でており、ココ姫も勝気な性格で知らており、力強い、切れ目の翡翠色の瞳から自信で溢れていた。
「兄上、私が兵を立て直し敵を食い止めます。兄上はこの国にとって大切なお方…城に戻り、父上に兵を挙げるようお伝えくださいませ」
「ココ…すまない。おまえに戦を託すとは…」
「所詮、遊牧民達の反乱…心配なさりますな」
「そうだな、たかが遊牧民だ、兵を連れ返り討ちだ、暫し頼んだッ!」
「はい!」
長年鍛えあげ、か弱き姫ではないココは他の兵士とも劣らない。この地にココ姫が残ると知った兵達の戦意も高まった。天幕をでるとルブリンの元へ向かうとココは兵士達に声を高々に揚げた。
「戦力を整え、敵を撃つッ!!」
兵達はココ姫の声に応えるように喊声を揚げた。しかし、彼らは単なる遊牧民の奇襲だと勘違いしていたのだ。この油断がアンデン国を破滅へと追い込んでいくのだ。
「隊長ーッ!!大変ですッッ!!北の境界戦からハクラ市にかけて敵に占領されました」
「クソッ!!」
天幕にいたアンデン国北配置兵隊長のルブリンは机を思い切り叩いた。艶のある翠色の髪を苛立つように掻くと王位継承第一位の王子であるジョセフは命ずる。
「仕方ない、一旦後方に下がり、隊を整えて、敵を撃つぞ」
「畏まりました」
ルブリンは隣にいたジョセフに頭を下げると隊を移動させるために慌てて天幕を出た。
「参ったな…」
「兄上…」
兄と同じ美しい翠色の髪を一つに纏め、きりりとした顔立ちのアンデン王国の末姫ココは心配そうに見つめた。
「おまえは城に戻れ」
「いえ、戻りませぬ!」
「ココ?!」
二人は北の地に不穏な動きがあるという情報を聞きつけ、確かめために向ったのだ。しかし、不穏な動きとは敵からの奇襲だった。
元々、北の地は多民族達が斑らに住み、国として栄えてはおらず、長き渡り脅威ではなかった。
安心感からか長きに渡り、北の地には僅かな兵力しか置いていなかったのだ。
全く想定外の出来事にジョセフは混乱していた。
アンデン一族は皆、武力に秀でており、ココ姫も勝気な性格で知らており、力強い、切れ目の翡翠色の瞳から自信で溢れていた。
「兄上、私が兵を立て直し敵を食い止めます。兄上はこの国にとって大切なお方…城に戻り、父上に兵を挙げるようお伝えくださいませ」
「ココ…すまない。おまえに戦を託すとは…」
「所詮、遊牧民達の反乱…心配なさりますな」
「そうだな、たかが遊牧民だ、兵を連れ返り討ちだ、暫し頼んだッ!」
「はい!」
長年鍛えあげ、か弱き姫ではないココは他の兵士とも劣らない。この地にココ姫が残ると知った兵達の戦意も高まった。天幕をでるとルブリンの元へ向かうとココは兵士達に声を高々に揚げた。
「戦力を整え、敵を撃つッ!!」
兵達はココ姫の声に応えるように喊声を揚げた。しかし、彼らは単なる遊牧民の奇襲だと勘違いしていたのだ。この油断がアンデン国を破滅へと追い込んでいくのだ。
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