【完結】ノーザンランドの白き獅子リーラ 〜捨てられた王女は人生逆転復活劇は起こしたくない〜

京極冨蘭

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第2章 憧れの騎士学校生活

第2話 シャワー室の訪問者

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「今日は大変な一日だったなぁ」

リーラは日課のシャワー室をブラシでゴシゴシする。 
「やっぱり冬は、足が冷たいよ~」

 リーラがなぜシャワー室を掃除しているがだが、ご存知の通り男のロンと偽ったまま騎士学校に入学したため、女であることがばれないように掃除中に鍵を閉めこっそりと入浴しているのだ。
 そもそも掃除をしたい候補生などいないので都合の良いのだ。

「女ってばれたらやっぱり退団だよね。はぁーー」
とシャワー室にため息が響く。

「女性騎士がいるっておじい様、言ってたじゃないか…今回の入学者に女性はいないし、確かに何人か女性騎士はいるらしいけど、女であることをキャサリン隊長に相談しようかなぁ」
と再びため息をつく。

トン、トン。扉が叩く音がした。

「ヒイッ」

ドキッ!

もしかして赤髪の報復か!

リーラはブラシを構え戦闘態勢に入る。
ガラガラと扉を開けると、リーラより髪の色が暗めの灰色髪の少年が立っていた。

「あっ…今清掃中です。使用出来ません」
「わかってる、手伝いにきた」
少年は靴を脱ぎ、ブラシを奪い床を磨き始めた。

彼の名は……。
リーラは記憶を手繰りよせる。

ルマンド・フォールド、13歳。
 帝都の北、ノース山脈を越えるとフォールド公爵領がある。そのフォールド公爵の長男だ。
 北に住む人達はリーラと同じ色素が薄く髪色が似ている。
 リーラは彼のことをいつも瞳が寂しそうで笑うことがない無表情少年でよく見ると黒い靄が出ていたので気味が悪く近づかないようにしていたのだ。

「ありがとう~。
 でも、僕好きでやってるからいいよ。   
 貴族様にやらす訳には……」

ルマンドは真面目な顔をしてリーラを見た。
「それ、貴族だからって…いけないと思う。平民だろうと貴族だろうと同じ騎士だろう?」

「うーん?」
リーラは何が言いたいのかわからないので首をかしげた。

「さっき、君すごいね。私はラファエルとラディリアスを止めれなかった。誰か大人に任せればいいと思って先生を呼びにいかせたんだ。
 実はあの時迷惑をかける平民の候補生が悪いんじゃないかと思ったんた。
 しかし、ラファエルの行いは気持ち良いものではなかったから止める人を探しに行ったんた」

「あの時、誰かを呼びに行ってくれたのは君だったのか。本当ありがとう、助かったよ。実は結構怖かったから」

ルマンドは首を振り、
「今まで貴族と平民の壁がある事に気づいていたが壊すなんて必要ないと思っていた。君、言ったよね。実戦なら死んでるって。私は自分さえよければいいと思っていたんだ。自分さえ強かったら問題ないって。しかし仲違いした同士で敵に向かっても勝てないね。こんな簡単な事、私も貴族の候補生達も気づかなかった。
 いつも父にお前には足りないものが有ると言われ…、ずっと何かわからなかった。今日、君の話を聞いてわかったんだ。自分が恥ずかしくなったよ。今日は勇気を出してくれてありがとう」
リーラはお礼を言われ恥ずかしくなった。

ルマンドはリーラをじっと見つめ、
「君は北の出身か?」

「あー、そんな所だよ」

「どこなんだ?」

"ちっ、めんどくさくて適当に言うんじゃなかった。"

「うそ、うそ、リヴァリオンって国」

「あの侵略された…すまない」

「大丈夫~、気にしないで。足冷たいだろう。さっさと終わらせよう」

「あぁ」
リーラ達は黙々と掃除を終わらせた。


「いつも、掃除してくれたんだよね。ありがとう」

「大丈夫~。風呂掃除好きなんだ。
 リヴァリオン国って温泉あるからなっ」

「もう少し話さないか?」

「えっ?いいよ」

「私はルマンド・フォールド」

「僕はロン・グリット」
よろしくとお互い冷たい手で握手した。

 食堂のおばさんが掃除のご褒美にホットミルクをくれた。
 リーラ達は食堂に座りながら互いの住んでいた場所の話をした。すると、今まで話さなかった貴族の子達も1人、2人とやってきて話に参加してきたのだ。

 たくさんの友人が出来たリーラは今日、勇気を出してしたことはいいことだったと思えたのだ。
 

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