【完結】ノーザンランドの白き獅子リーラ 〜捨てられた王女は人生逆転復活劇は起こしたくない〜

京極冨蘭

文字の大きさ
56 / 240
第4章 別れと新しい旅立ち

第11話 野営訓練に潜む罠

しおりを挟む

 野営訓練とはどんな場所でも臨機応変に生き延びるための訓練だ。ノース山脈にある村に手紙を届け、集合地点に帰るまでに簡易天幕を張り一泊する。食糧は山中で確保して作って食べる。その村への道中は比較的な安全とされるが熊や狼が出ることもあり、動物と遭遇すれば戦う。先輩達の中でも狼に遭遇したケースもあったそうだ。
 
 人数が多いと何か問題あった時に対応が遅くなるので二回に分けて実施される。前半の班は終了し、今日は後半の班の実施日だ。

 ルマンド達は前半の班だった。夜はかなり冷え、食事は山菜をとるのが無難と教えてくれた。寒さを防ぐようにしっかりと着込む。護衛のレンとアンディも二人体制で隠れて付き添ってくれるしい。過保護すぎやしないかと思ったが敵がいつ現れるかわからないので備えておいた方がいいとダリルに言われた。

 何かあれば救援信号の花火もくようにも言われた。すぐに駆けつけれるように応援騎士が巡回している。
  
 集合地点には何かあった時の応援騎士が沢山いた。皆口々にどうしてこんなに応援騎士が多いのだろうと話す。シャルケ組だけが真実を知る。山頂突き落とし事件があったからだろうと…     

 今回向かう村はノース山脈の山間にある村で山道は整備されておりリーラ達はもくもくと歩く。ベンジャミン達とも会話は全くない。

 村に着き村長に任務である手紙を渡す。村長さんは手紙のお礼にとリーラ達に塩をくれた。

「「「「??」」」」

「どうせ、スープを作るんじゃろ。
塩は賄賂わいろじゃ。わはっはっは」
リーラ達は食事を作る時にこの塩に感謝する事になる。

 村を出発し野営箇所を探す。川が近い方が料理もしやすいので山道から近い川を探した。場所を決めると野営を張ることになり4人で簡易天幕を組み立てた。
 夕食はやはり寒いのでスープを作ることになった。山菜を取り、川魚は剣でうまい具合に獲れた。まだ寒いから魚も動きが鈍いのだろう。魚はアデル以外はさばいたことがなく、アデルに魚の捌き方を教わった。山菜だけと思われたスープは魚が入り豪華なスープとなった。ここで役に立ってのが塩だ。塩が無ければ美味しくなかっただろう。塩の偉大さに気づいた4人だった。

アデルがリーラ達に、
「川魚は小骨が多いから注意しろよ」
と教えてくれた。

「本当だ。小骨が多い~」
リーラが文句を言うとベンジャミンとロバートが笑う。

「先日は君達二人に失礼な事を言ってすまなかった」
ベンジャミンが謝ってきた。

「本当にすまなかった。君達が問題児だと噂がすごくてさぁ。牽制けんせいのようなことをして恥ずかしいよ」
ロバートも謝ってきた。

「君達が問題児なんてとんでもないな。人の噂に気に取られては駄目だな。私は卒業したら自分の領に戻り幹部候補になるだろう。いい成績を残さなければ、足を引っ張られたくない、そんなことばかり思っていて…自分では見えない重圧に押し潰さていたよ」
ベンジャミンが辛そうな顔をした。

「しかし、やけに応援騎士が多かったよな」
ロバートが意外そうにするとアデルが教える。

「知らないのか?サウストップ山頂突き落とし事件?多分事件がまた起こるかもしれないからの予防策だろ」

「「山頂突き落とし事件!!」」
二人の顔は驚きが隠せないようだ。

「落とされて生還した張本人がこの人」
とリーラを指差した。 

「「えーっ?!」」
 あの事件は、一応極秘になっていたらしく全く知らなかったらしい。なぜ、ラディリアスが試験を受け直した謎が解けたらしい。

二人は、
「私達、そんなことしないから」
「私達は疑われたかもしれない」
と焦っていた。
この話をきっかけに打ち解け、色々な話をできるようになった。

「さぁ、結構話したからそろそろ交代で休もうか」
ベンジャミンは少し疲れた様子だったのでベンジャミン達に先に休みよう薦めた。

「私とアデルが先に見張るから君達寝ていいよ」

「ありがとう、助かるよ。ロバート、先に休もう」

「あぁ」

森の中は静けさが残り焚火たきびの音がパチ、パチと響いてる。

「アデル、二人と打ち解けれて良かったね」

「あぁ。でもさぁ、貴族って大変だな。ルマンドも領に戻り副隊長だろう。子供がベテラン騎士の上に立つんだぜ。俺には無理だわ」

「確かに。私も人の上に立ちたくないよ。うん?なんか甘い匂いしない?
ねぇ、アデル?」

「あう、あう…」

「はっ?寝たら駄目で」 

『リーラ、敵に囲まれた。すぐに救援信号を打て』

ちっ。
鞄の中から救援信号を出し火をつける。

『リーラ、走れ。右手前方にだ。恐らく狙いはお前だ。こいつらがいたら戦えない』

『置いていくの?』

『人質に取られたらこちらが不利だ。おまえの護衛騎士もいる。すぐ走れ』

すかさず剣を握り走り出す。

はっはっはっ。
木を避けながら走る。

人の気配がする。
囲まれている。

『リーラ、囲まれた。くるぞ!躊躇ちゅうちょするな!』

カキーン
カキーン
遠くから剣の音が聞こえる。

『恐らく敵5人、内2人戦闘中。
後3人だ。れ!!
右からだ!』
剣を構える、
気配を意識する。
くる!
カキーン
剣を受ける。
相手が後ろに下がった。
くそっ。
暗くて相手が見えない。

『集中しろ。この場所はすでにおまえの領域だ』

周りに気を配るように集中する。自らを中心にして光の力を放つと自然に風が生じる。風が何かに当たる音がする。

見えた。
そこだ!
くる!
左、受ける、カキーン。
右からくる、カキーン。
集中するんだ、剣に思い切り力を込める。

「はあー‼︎」
相手を斬りつける。
更に深く刺しこむ。

バサっ。
ピシャりとリーラの身体に血が飛び散る。 

「ぎゃあっぁ、うっ」

ドサリ。
全身黒い服で覆われた敵が倒れた。

「はぁ、はぁ、はぁ、倒した…か…」

斬りつけた生々しい感触が残り、顔に相手の返り血がしたたる。


『我の土の力を剣を通し感じろ』

落ち着くんだ、落ち着け。

剣を通しエクストリアの力を使う。
土を踏みしめる6人の存在を感じる。 

遠くに感じるのは敵2人とレンとアンディ。あと2人が近くにくる!

右上!
木の上にいる!!

剣に力を込める。
白銀色の光が剣を包み込む。
剣を振る衝撃で風を起こす。 

男に風があたれー!!

「はああー」
衝撃波が男に激しくぶっかり、飛ばされた男は身体が木にぶつかる音がする。

ドカッ。
「グハッッ!」
高い位置に叩きつけられた男がそのままずるずると下に落ちた。

「ぐあっ…」

はぁ、はぁ、はぁ。

『あと1人、近いぞ。正面からだ』
カキーン、正面から受ける。
月明かりが照らされ顔が見えた。


「きみは…」

「くっくっく。リーラせんぱい、
いや、リーラ王女かな?一緒に来てもらいますよ」





しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界の花嫁?お断りします。

momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。 そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、 知らない人と結婚なんてお断りです。 貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって? 甘ったるい愛を囁いてもダメです。 異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!! 恋愛よりも衣食住。これが大事です! お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑) ・・・えっ?全部ある? 働かなくてもいい? ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です! ***** 目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃) 未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜

束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。 家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。 「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。 皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。 今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。 ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……! 心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋
恋愛
 貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

処理中です...