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第5章 リーラとアンデルクの王子
第15話 女の闘いー2ー
しおりを挟むもう一方のテーブルでは…
エリザベスとライアンの座るテーブルでは
令嬢達との会話が弾んでいた。
「昨日、鍛錬の場でエリオット殿下に会いました」
「そうですか、弟とは寮生活に入ったばかりでなかなか会えませんの」
くすりとエリザベスは笑う。
「ライアン王子も騎士学校に入られたの?」
「はい。しかし、勉強不足の点に気づき、国に戻り騎士団に入団しようと思っています。今回の外遊で色々勉強になりました。あと驚いたのは女性騎士です。騎士学校にもいました。女性に開かれた国ですね」
とリーラをチラッと見るライアン。
先程悪ふざけの罰を受け、手をつねられたリーラはすごい痛そうな顔をしている。
あいつ、何やってんだ?と不思議そうに見つめるライアン。
エリザベスは悟る。
"あらっ。先程から何度もリーラをご覧になってらっしゃるわね。もしかしてリーラのこと…。ふっ。アンデルクには渡さなくってよ"
意地悪な顔になるエリザベスはナタリアに目で合図を送る。
「ライアン王子は何かお好きな色は?」
「えっ?赤色?」
ナタリアが私も赤色が1番好きですわと同調すると周りの令嬢達も一緒に私も赤色が好きだと言い始める。
「好きな食べ物は?」
「牛肉ですかね」
ナタリアが前のめりに話す。
「マウントプレイス領に牛の牧場を持っておりますから最高の肉をアンデルクに献上致しますわ」
「えっ?!そんな、気を使わないで下さい!」
「ライアン王子様が理想とされる妃像をお聞かせ頂きたいですわ」
ナタリアが両手を握りしめ、目をキラキラさせてライアンに寄り添いながら聞く。
「えっ??そうですね…」
必死に考えるライアンは思わずリーラをチラリと見る。
"あら、またリーラを見るなんて…"
エリザベスはナタリアに目で合図するとナタリアも気づいたようだ。
"あらら。わかりやすい御方ですわね。"
「民を思いやり自分をしっかり持った強い女性が良いですね」
「まぁ、今日集まった令嬢達にまさにぴったりね。みな思いやりがあって自分をしっかり持った女性ばかりですわ!」
とエリザベスはライアンを見る。
「は、はい?!」
「せっかくなので令嬢達に機会を与えて頂きたいですわ。それぞれの令嬢と庭をご覧になりながらお話をするのはいかが?まずはナタリア嬢といかがかしら?」
「まぁ、ナタリア、嬉しいですわ。アンデルクの王子様とお庭が見れるなんて!」
2人の推しに引くに引けないライアンは仕方なしにナタリアを庭に誘う。
そして2人は部屋から出て行った。
"リーラには近づけさせなくってよ!
アンデルクに渡すぐらいならお兄様とリーラを結びつけなくては⁈私お兄様の為に人肌脱ぎますわ。
まずは、お母様に報告しなくては!"
メラメラと密かに使命に燃えるエリザベスだった。
「お見合いに進展あり!王子とナタリア嬢急接近!」
「リーラ様…」
「すみません、レンさん」
お茶会が終わり皇太后とエリザベス、アンジェラとライアンが退出する。
残った令嬢の何人かは緊張していたのかほっと息をつき紅茶で喉を潤していた。
クラリッサは席をすっと立ち上がり、レイチェルの方へ向かう。
「レイチェル様、先程のお答えは真っ当ではございますが、アンジェラ王女様がいらっしゃるのに失礼かと思いますわ。もう少し考えて発言された方がよろしくてよ」
「なんですって!」
「ほらどちらの御令嬢がレイチェル様が皇后候補?など聞こえましたから…」
「ひぃっ!」
ステナがピクリと肩を震わす。
「未来の皇后なら発言も尚更気をつけなくては…」
「申し訳ございません。私、体調が悪いようですから退出致します」
「あー、私もステナ様に付き添いますわ。失礼いたします」
ステナとセリーヌはこの場に居てはまずいと感じ慌てて部屋から出て行った。
「あらあら、逃げ足の早いこと。では、レイチェル様、失礼致します」
クラリッサは馬鹿にするような眼差しでレイチェルを見るとプイッと顔を逸らし退出した。レイチェルの手は怒りで震えていた。
その場面を見ていたローズが心の中で溜息をつく。
"皇后の座を巡る戦い…。凄いわね。もし、我が祖国に力があって、私にも行くように命じられたら私も戦わなくてはいけなかったのかしら?無理だわ。考えたくもないわ。ビル様の妻にして頂き本当に感謝だわ。"
レイチェルが退出したのを確認したローズは立ち上がりリーラの元へ近づく。
「あの……騎士様、先日は助けて頂きありがとうございました」
リーラは先日晩餐会で助けた金色髪の小柄な令嬢だと気づく。
「いえ、あの後大丈夫でしたか?」
「はい…。おかげ様で。あの…、いえ。では、私は失礼します…」
「はい、お気をつけて。」
金色髪の令嬢は何か言いたそうな顔をしたがそのまま去って行った。
「何か言いたかったのかな」
こてんと首を傾げるリーラだった。
◇◇◇
皇宮内アンデルク滞在部屋
「どうしてよ!あなた何をしてたの?」
「ひぃい!」
「姉上、大使を責めてはいけません。彼は我が国のために最善を尽くしました。 我が国はノーザンランド帝国にはかないません。あちらが丁重にお断りされているのですから受け入れるしかありません」
「だって、私より皇后にふさわしい人が誰がいるというの?」
「よくわかりませんがいるのでしょう。
お茶会では恥をかきましたよ。どうして財務大臣の不正事件の話をしっかり聞かなかったのですか?王族として訪問国の情報は網羅しないと」
「………」
「私は今回の外遊は勉強になりました。
帰国後、一騎士として騎士団に入団するつもりです。自分を見つめ直すきっかけになりました。姉上の服飾業界の功績は素晴らしかった。しかし、通用するのは我が国のような歴史が長く芸術に敏感な民族だからこそです。ノーザンランドは歴史的に浅い。まだ国が纏まる時間がかかります。国民の心を掴むにはカリスマ性のある王と妃が必要となる。姉上にはその荷は重い。この国もそう判断したでしょう。姉上、はっきり言わせて頂きます。王族としてあなたはこのままではいけない」
「うっ、うっ、うっ。あなたまで、酷いわ」
泣き出したアンジェラは寝室に逃げ出す。
「アンジェラ王女様ー!」
「いいんだ。ほら、みなノーザンランド最後の1日だ。手が空いている者は街を訪れても良いぞ。姉上は私が落ちついたら声をかける。みな下がってくれてよい。大使、苦労をかけたな」
「いえ…。ライアン王子立派になられましたな」
「そうか?照れるな」
幼き頃からライアン王子を知る外交大使は立派に外遊を終え成長したライアンを誇りに思ったのだ。
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