【完結】ノーザンランドの白き獅子リーラ 〜捨てられた王女は人生逆転復活劇は起こしたくない〜

京極冨蘭

文字の大きさ
80 / 240
第5章 リーラとアンデルクの王子

第15話 女の闘いー2ー

しおりを挟む

もう一方のテーブルでは…

 エリザベスとライアンの座るテーブルでは
令嬢達との会話が弾んでいた。

「昨日、鍛錬の場でエリオット殿下に会いました」

「そうですか、弟とは寮生活に入ったばかりでなかなか会えませんの」
くすりとエリザベスは笑う。

「ライアン王子も騎士学校に入られたの?」

「はい。しかし、勉強不足の点に気づき、国に戻り騎士団に入団しようと思っています。今回の外遊で色々勉強になりました。あと驚いたのは女性騎士です。騎士学校にもいました。女性に開かれた国ですね」
とリーラをチラッと見るライアン。

先程悪ふざけの罰を受け、手をつねられたリーラはすごい痛そうな顔をしている。

あいつ、何やってんだ?と不思議そうに見つめるライアン。

エリザベスは悟る。
 "あらっ。先程から何度もリーラをご覧になってらっしゃるわね。もしかしてリーラのこと…。ふっ。アンデルクには渡さなくってよ"
意地悪な顔になるエリザベスはナタリアに目で合図を送る。

「ライアン王子は何かお好きな色は?」

「えっ?赤色?」
ナタリアが私も赤色が1番好きですわと同調すると周りの令嬢達も一緒に私も赤色が好きだと言い始める。

「好きな食べ物は?」

「牛肉ですかね」

ナタリアが前のめりに話す。
「マウントプレイス領に牛の牧場を持っておりますから最高の肉をアンデルクに献上致しますわ」

「えっ?!そんな、気を使わないで下さい!」 

「ライアン王子様が理想とされる妃像をお聞かせ頂きたいですわ」
ナタリアが両手を握りしめ、目をキラキラさせてライアンに寄り添いながら聞く。

「えっ??そうですね…」
必死に考えるライアンは思わずリーラをチラリと見る。

"あら、またリーラを見るなんて…"

エリザベスはナタリアに目で合図するとナタリアも気づいたようだ。 

"あらら。わかりやすい御方ですわね。"

「民を思いやり自分をしっかり持った強い女性が良いですね」

「まぁ、今日集まった令嬢達にまさにぴったりね。みな思いやりがあって自分をしっかり持った女性ばかりですわ!」
とエリザベスはライアンを見る。

「は、はい?!」

「せっかくなので令嬢達に機会を与えて頂きたいですわ。それぞれの令嬢と庭をご覧になりながらお話をするのはいかが?まずはナタリア嬢といかがかしら?」

「まぁ、ナタリア、嬉しいですわ。アンデルクの王子様とお庭が見れるなんて!」
2人の推しに引くに引けないライアンは仕方なしにナタリアを庭に誘う。

そして2人は部屋から出て行った。

"リーラには近づけさせなくってよ!
アンデルクに渡すぐらいならお兄様とリーラを結びつけなくては⁈わたくしお兄様の為に人肌脱ぎますわ。
まずは、お母様に報告しなくては!"
メラメラと密かに使命に燃えるエリザベスだった。




「お見合いに進展あり!王子とナタリア嬢急接近!」

「リーラ様…」

「すみません、レンさん」




 お茶会が終わり皇太后とエリザベス、アンジェラとライアンが退出する。
 残った令嬢の何人かは緊張していたのかほっと息をつき紅茶で喉を潤していた。

 クラリッサは席をすっと立ち上がり、レイチェルの方へ向かう。

「レイチェル様、先程のお答えは真っ当ではございますが、アンジェラ王女様がいらっしゃるのに失礼かと思いますわ。もう少し考えて発言された方がよろしくてよ」
 
「なんですって!」

「ほらどちらの御令嬢がレイチェル様が皇后候補?など聞こえましたから…」

「ひぃっ!」
ステナがピクリと肩を震わす。

「未来の皇后なら発言も尚更気をつけなくては…」

「申し訳ございません。私、体調が悪いようですから退出致します」
「あー、私もステナ様に付き添いますわ。失礼いたします」
 ステナとセリーヌはこの場に居てはまずいと感じ慌てて部屋から出て行った。

「あらあら、逃げ足の早いこと。では、レイチェル様、失礼致します」
クラリッサは馬鹿にするような眼差しでレイチェルを見るとプイッと顔を逸らし退出した。レイチェルの手は怒りで震えていた。

 その場面を見ていたローズが心の中で溜息をつく。

"皇后の座を巡る戦い…。凄いわね。もし、我が祖国に力があって、私にも行くように命じられたら私も戦わなくてはいけなかったのかしら?無理だわ。考えたくもないわ。ビル様の妻にして頂き本当に感謝だわ。"

 レイチェルが退出したのを確認したローズは立ち上がりリーラの元へ近づく。


「あの……騎士様、先日は助けて頂きありがとうございました」

 リーラは先日晩餐会で助けた金色髪の小柄な令嬢だと気づく。

「いえ、あの後大丈夫でしたか?」

「はい…。おかげ様で。あの…、いえ。では、私は失礼します…」

「はい、お気をつけて。」
金色髪の令嬢は何か言いたそうな顔をしたがそのまま去って行った。

「何か言いたかったのかな」
こてんと首を傾げるリーラだった。



◇◇◇



  
   皇宮内アンデルク滞在部屋

「どうしてよ!あなた何をしてたの?」

「ひぃい!」

「姉上、大使を責めてはいけません。彼は我が国のために最善を尽くしました。 我が国はノーザンランド帝国にはかないません。あちらが丁重にお断りされているのですから受け入れるしかありません」

「だって、私より皇后にふさわしい人が誰がいるというの?」

「よくわかりませんがいるのでしょう。
 お茶会では恥をかきましたよ。どうして財務大臣の不正事件の話をしっかり聞かなかったのですか?王族として訪問国の情報は網羅もうらしないと」

「………」

「私は今回の外遊は勉強になりました。
 帰国後、一騎士として騎士団に入団するつもりです。自分を見つめ直すきっかけになりました。姉上の服飾業界の功績は素晴らしかった。しかし、通用するのは我が国のような歴史が長く芸術に敏感な民族だからこそです。ノーザンランドは歴史的に浅い。まだ国がまとまる時間がかかります。国民の心を掴むにはカリスマ性のある王と妃が必要となる。姉上にはその荷は重い。この国もそう判断したでしょう。姉上、はっきり言わせて頂きます。王族としてあなたはこのままではいけない」

「うっ、うっ、うっ。あなたまで、酷いわ」
泣き出したアンジェラは寝室に逃げ出す。

「アンジェラ王女様ー!」

「いいんだ。ほら、みなノーザンランド最後の1日だ。手が空いている者は街を訪れても良いぞ。姉上は私が落ちついたら声をかける。みな下がってくれてよい。大使、苦労をかけたな」

「いえ…。ライアン王子立派になられましたな」

「そうか?照れるな」
 幼き頃からライアン王子を知る外交大使は立派に外遊を終え成長したライアンを誇りに思ったのだ。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界の花嫁?お断りします。

momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。 そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、 知らない人と結婚なんてお断りです。 貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって? 甘ったるい愛を囁いてもダメです。 異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!! 恋愛よりも衣食住。これが大事です! お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑) ・・・えっ?全部ある? 働かなくてもいい? ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です! ***** 目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃) 未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜

束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。 家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。 「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。 皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。 今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。 ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……! 心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

捨てた騎士と拾った魔術師

吉野屋
恋愛
 貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。

処理中です...