135 / 240
第8章 孤立した皇太后の故郷 ウィターニア編
第7話 二人の間には…
しおりを挟む
リーラ達は帝都からフォールド領内へと入り、いよいよ領境へと差し掛かっていた。
領境にはフォールド領の沢山の騎士達か配置されていた。また、領境を行き交う人の混乱はないようだった。
領境に張られた天幕に入り、隊員達は休憩に入る。一方、ダリルとリーラはエリザベスと共に新たな情報を得る為にフォールド騎士団の天幕に向かう。天幕に入ると皆、エリザベスに騎士の礼を取る。
「今は非常時ゆえ楽にしなさい」
エリザベスの凛とした声が響き、フォールドの騎士に現在の状況の説明を求める。
「ウィンターニア領境にて帝国の決定事項を伝えるのに早馬の準備をしています。
ウィンターニアからの伝令では北西部のメルバン村から発症した病と似たような症状が隣村もあると報告があるようです」
ダリル達は広げられた地図から最北西部にあるメルバン村を見る。村から南に位置するのがウィンターニア領都ルーヤだ。
「向かわれるなら街道が整備されているルーヤを経由して走られた方が良いでしょう」
ダリルは地図を見ながらうむと考えこむと、
「通常なら3日の道のりだが、中継点で馬を乗り変えながら休まず走り続けるか。殿下は馬車にて進んで頂き、領都にてウィンターニア侯爵と合流願いたい」
「私もあなた達と共に行くわ」
エリザベスはダリルの前に立ち強い眼差しで訴えるとダリルは首を振る。
「我らは鍛えておりますゆえ、夜通し走っても問題ありません。一刻も早く調査に入るには分かれて行動しましょう。状況が分かり次第、殿下もウィンターニア領都から各街へと向かって頂くことになるでしょう」
「わかったわ。では、これを持って行って頂戴」
エリザベスは外套を脱ぎ、首元からネックレスをじゃらり取り出した。
「それは…」
リーラがネックレスを指差しながら少し呆れ顔になる。
「ふふふ、役に立つかわからないけど宝物庫からこっそりと持ってきたのよ」
と精霊の加護が込められ赤、青、緑、黒色の石のついたネックレスをリーラに手渡した。
「陛下には…」
ダリルは唖然としながらもエリザベスに尋ねる。
「もちろん内緒よ」
と可愛くウインクした。
リーラ達は伝令文をウィターニア領内の早馬に渡し、いよいよウィターニアへ出発する時が来た。
「リーラ…」
リーラが振り向くと灰色の髪を後ろで縛り黒い騎士服に身を包むルマンドが立っていた。ゆっくりと近づくと悲しそうな表情でリーラを見下ろした。
「ルマンド…」
ルマンドは彼女の右頬に冷たい手を添えた。
「リーラ、行くな」
「無理だよ。私は副隊長だよ」
「君にもしものことがあったら私は…」
「大丈夫。これでも副隊長なんだよ」
「君に何かあったら…」
とリーラの腕を掴むとルマンドの方へ引き寄せぎゅっと抱きしめる。
「ち、ちょっと、みんな見てるから」
リーラはルマンドの胸を押し、距離を取ろうとした。
「じっとして」
ルマンドはリーラの首に帝都で購入したペンダントをつける。
「これは…」
「このペンダントは君への15歳の誕生日プレゼントの為に買ったんだ。夕食も君と二人で誕生日を祝いたかったが邪魔が入ったからね」
ルマンドは首につけたペンダントの石を持ち自身の唇を付けた。
「ここに来るまで君が無事に戻れるよう石に願ったから…」
「ルマンド…」
「必ず無事で戻ってきて」
真剣な表情のルマンドにペンダントは要らないと断りを入れることができずリーラは黙りこんでしまう。
「私だけじゃないんだね、願掛けのペンダントを渡したのは…」
ルマンドはリーラの首から見える幾つものネックレスに気づき表情が暗くなる。先程エリザベスから預かった精霊の加護入りのネックレスがジャラリと見えたのだ。
「あっ、あははは、これはエリザベス殿下から一時的に預かったんだよ、返さないといけないからね、あははは…」
「そうなんだ、殿下もうっかり貴金属類を付けてきたんだね。宝石なんてつけていったら反感を買ってしまったら大変だよな」
「だねー」
「無理するなよ」
「うん、ありがとう。いってきます」
「気をつけて」
リーラは小さく手を振ると背を向け歩いて行く、その姿をルマンドは別れを惜しむようにじっと見つめる。
私はなんて無力なんだ…
自身の無力さを肌身に感じなから早く力を得て彼女を傍に置くことを決意する。
必ず君を私の傍に…
この光景をバッチリ見ていた外野が沢山いた。
「ひゅ~この非常事態に熱いピヨ~」
ルディの頭に乗っていたぺぺがポツリと呟く。
「相変わらずルマンド、空気読めないね」
「おまえ、バッサリと言うようになったな」
ルディの横で二人を見守っていたロックもポツリと呟いた。
「心配なのはわかるけどさぁ、友達の域を超えてるじゃないか。ロックもそろそろルマンドのことなんとかした方が良いよ。婚約者いるんでしょ、サザリーを見てご覧よ」
「あぁ、わかってるよ」
サザリーはリーラとルマンドをじっと睨みつけていた。同然二人のやりとりも6番隊やフォールド騎士団の隊員達にしっかりと見られていたのだ。
「リーラ様~」
いい雰囲気を醸し出している二人に嫉妬しているラディリアスは切なそうな声を出す。
「はい、はい、ラディリアスはリーラを眺めてるだけで幸せなんでしょ」
「酷いよ~ルディ~」
「ほら、もう出発だよ」
とルディはラディリアスの引き摺りながらリーラの後を追いかけたのだ。
領境にはフォールド領の沢山の騎士達か配置されていた。また、領境を行き交う人の混乱はないようだった。
領境に張られた天幕に入り、隊員達は休憩に入る。一方、ダリルとリーラはエリザベスと共に新たな情報を得る為にフォールド騎士団の天幕に向かう。天幕に入ると皆、エリザベスに騎士の礼を取る。
「今は非常時ゆえ楽にしなさい」
エリザベスの凛とした声が響き、フォールドの騎士に現在の状況の説明を求める。
「ウィンターニア領境にて帝国の決定事項を伝えるのに早馬の準備をしています。
ウィンターニアからの伝令では北西部のメルバン村から発症した病と似たような症状が隣村もあると報告があるようです」
ダリル達は広げられた地図から最北西部にあるメルバン村を見る。村から南に位置するのがウィンターニア領都ルーヤだ。
「向かわれるなら街道が整備されているルーヤを経由して走られた方が良いでしょう」
ダリルは地図を見ながらうむと考えこむと、
「通常なら3日の道のりだが、中継点で馬を乗り変えながら休まず走り続けるか。殿下は馬車にて進んで頂き、領都にてウィンターニア侯爵と合流願いたい」
「私もあなた達と共に行くわ」
エリザベスはダリルの前に立ち強い眼差しで訴えるとダリルは首を振る。
「我らは鍛えておりますゆえ、夜通し走っても問題ありません。一刻も早く調査に入るには分かれて行動しましょう。状況が分かり次第、殿下もウィンターニア領都から各街へと向かって頂くことになるでしょう」
「わかったわ。では、これを持って行って頂戴」
エリザベスは外套を脱ぎ、首元からネックレスをじゃらり取り出した。
「それは…」
リーラがネックレスを指差しながら少し呆れ顔になる。
「ふふふ、役に立つかわからないけど宝物庫からこっそりと持ってきたのよ」
と精霊の加護が込められ赤、青、緑、黒色の石のついたネックレスをリーラに手渡した。
「陛下には…」
ダリルは唖然としながらもエリザベスに尋ねる。
「もちろん内緒よ」
と可愛くウインクした。
リーラ達は伝令文をウィターニア領内の早馬に渡し、いよいよウィターニアへ出発する時が来た。
「リーラ…」
リーラが振り向くと灰色の髪を後ろで縛り黒い騎士服に身を包むルマンドが立っていた。ゆっくりと近づくと悲しそうな表情でリーラを見下ろした。
「ルマンド…」
ルマンドは彼女の右頬に冷たい手を添えた。
「リーラ、行くな」
「無理だよ。私は副隊長だよ」
「君にもしものことがあったら私は…」
「大丈夫。これでも副隊長なんだよ」
「君に何かあったら…」
とリーラの腕を掴むとルマンドの方へ引き寄せぎゅっと抱きしめる。
「ち、ちょっと、みんな見てるから」
リーラはルマンドの胸を押し、距離を取ろうとした。
「じっとして」
ルマンドはリーラの首に帝都で購入したペンダントをつける。
「これは…」
「このペンダントは君への15歳の誕生日プレゼントの為に買ったんだ。夕食も君と二人で誕生日を祝いたかったが邪魔が入ったからね」
ルマンドは首につけたペンダントの石を持ち自身の唇を付けた。
「ここに来るまで君が無事に戻れるよう石に願ったから…」
「ルマンド…」
「必ず無事で戻ってきて」
真剣な表情のルマンドにペンダントは要らないと断りを入れることができずリーラは黙りこんでしまう。
「私だけじゃないんだね、願掛けのペンダントを渡したのは…」
ルマンドはリーラの首から見える幾つものネックレスに気づき表情が暗くなる。先程エリザベスから預かった精霊の加護入りのネックレスがジャラリと見えたのだ。
「あっ、あははは、これはエリザベス殿下から一時的に預かったんだよ、返さないといけないからね、あははは…」
「そうなんだ、殿下もうっかり貴金属類を付けてきたんだね。宝石なんてつけていったら反感を買ってしまったら大変だよな」
「だねー」
「無理するなよ」
「うん、ありがとう。いってきます」
「気をつけて」
リーラは小さく手を振ると背を向け歩いて行く、その姿をルマンドは別れを惜しむようにじっと見つめる。
私はなんて無力なんだ…
自身の無力さを肌身に感じなから早く力を得て彼女を傍に置くことを決意する。
必ず君を私の傍に…
この光景をバッチリ見ていた外野が沢山いた。
「ひゅ~この非常事態に熱いピヨ~」
ルディの頭に乗っていたぺぺがポツリと呟く。
「相変わらずルマンド、空気読めないね」
「おまえ、バッサリと言うようになったな」
ルディの横で二人を見守っていたロックもポツリと呟いた。
「心配なのはわかるけどさぁ、友達の域を超えてるじゃないか。ロックもそろそろルマンドのことなんとかした方が良いよ。婚約者いるんでしょ、サザリーを見てご覧よ」
「あぁ、わかってるよ」
サザリーはリーラとルマンドをじっと睨みつけていた。同然二人のやりとりも6番隊やフォールド騎士団の隊員達にしっかりと見られていたのだ。
「リーラ様~」
いい雰囲気を醸し出している二人に嫉妬しているラディリアスは切なそうな声を出す。
「はい、はい、ラディリアスはリーラを眺めてるだけで幸せなんでしょ」
「酷いよ~ルディ~」
「ほら、もう出発だよ」
とルディはラディリアスの引き摺りながらリーラの後を追いかけたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
異世界の花嫁?お断りします。
momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。
そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、
知らない人と結婚なんてお断りです。
貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって?
甘ったるい愛を囁いてもダメです。
異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!!
恋愛よりも衣食住。これが大事です!
お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑)
・・・えっ?全部ある?
働かなくてもいい?
ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です!
*****
目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃)
未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。
婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!
柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。
南田 此仁
恋愛
ブラック企業を飛び出すように退職した日菜(ヒナ)は、家で一人祝杯を上げていた――はずなのに。
不意に落ちたペンダントトップへと手を伸ばし、気がつけばまったく見知らぬ場所にいた。
周囲を取り巻く巨大なぬいぐるみたち。
巨大化したペンダントトップ。
あれ?
もしかして私、ちっちゃくなっちゃった――!?
……なーんてね。夢でしょ、夢!
と思って過ごしていたものの、一向に目が覚める気配はなく。
空腹感も尿意もある異様にリアルな夢のなか、鬼のような形相の家主から隠れてドールハウスで暮らしてみたり、仮眠中の家主にこっそりと触れてみたり。
姿を見られたが最後、可愛いもの好きの家主からの溺愛が止まりません……!?
■一話 800~1000文字ほど
■濡れ場は後半、※マーク付き
■ご感想いただけるととっても嬉しいです( *´艸`)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる