白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚

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第2章 夫の裏切りと離婚の決意

2-1

 ジェニファー・ランカスターがクラレンス公爵家に嫁いでから、すでに数週間が過ぎた。形式上は公爵夫人としての役目をこなしつつ、彼女は淡々と館の運営に関わり、社交界での挨拶回りを続けている。
 しかし、相変わらず夫であるエドワード・クラレンス公爵とは心の通った会話などほとんどなく、夜になっても彼はしばしば館を留守にする。帰ってきたとしても、二言三言の事務的なやり取りをするだけで、自分の部屋に籠ってしまうか、あるいはどこかへ出かけていってしまうのだ。

 周囲の使用人たちも、その冷え切った夫婦関係を承知しているようで、誰もが表立って口には出さないが、どこかよそよそしい空気を纏ってジェニファーと接してくる。
 それでも彼女は、自らに課せられた役割を全うしようと懸命だった。
 ――ここで心が折れては、すべてが終わってしまう。
 エドワードの態度が冷淡であろうと、義母のイザベラや貴婦人たちの厳しい視線があろうと、ジェニファーは耐えねばならないのだ。
 それはまるで、波打つ荒海に小舟を浮かべているような心境である。いつ船がひっくり返ってもおかしくない。だが、小舟に乗っている限り前に進むしか道はない。それが、ジェニファーの現状だった。
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