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第2章 夫の裏切りと離婚の決意
2-5決定的な一言と離婚の意思
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2-5決定的な一言と離婚の意思
舞踏会が一通り終わった深夜、ジェニファーは自室のベッドに腰掛けていた。ドレスを着替える気力もなく、ただそこに座って空虚な思いで夜の闇を見つめている。
どこか遠くから笑い声や馬車の音が聞こえる。客人たちが帰る支度を始めているのだろう。エドワードはローザを見送るのか、あるいは彼自身がローザとどこかへ行くのか――そんなことを考えるだけで胸が苦しかった。
すると、不意にノックの音が響く。
「……どなた?」
返事をすると、扉の向こうからエドワードの低い声が聞こえた。
「俺だ。少し話がある」
ジェニファーは驚きながらも、ドアを開ける。そこに立っていたのは、疲れたような表情を浮かべたエドワードだった。宴の余韻を思わせる酒の香りが、ほのかに漂っている。
「こんな時間に……何かご用かしら」
努めて平静を装ってみせても、感情は抑えきれない。彼の顔を見るだけで、今夜の屈辱が脳裏によみがえる。
エドワードは部屋に入ると、ドアを閉めて軽く肩をすくめるように息をついた。
「先ほどの舞踏会では、いろいろとあったようだな」
「……『あった』のは私ではなく、あなたとローザ嬢でしょう?」
ジェニファーは淡々と答える。すると、エドワードの眉間にわずかな皺が寄った。
「ローザのことを責めたいのか? だが、あれは俺たちの勝手だ。君に口出しされる筋合いはない」
その言葉を聞いた瞬間、ジェニファーは目の前が暗くなるほどの怒りと悲しみを感じた。“勝手だ”――たしかに契約結婚のようなものだが、いくらなんでも正妻を踏みにじるのはやりすぎではないだろうか。
「私は、あなたの妻です。表向きだけとはいえ、クラレンス公爵家の夫人でしょう? その私を公衆の面前であそこまで侮辱する行為が、どうして“勝手”で済むのですか」
思わず震える声が零れる。かつては決して乱さなかった感情が、もう限界を超えて吹き出しそうだった。
エドワードは苛立たしげに視線を逸らす。
「……これは、お互い干渉しないという約束のもとに成り立っている結婚だ。君が公爵夫人として立ち回りさえしていれば、俺が誰と踊ろうが自由なはずだ。何を今さら騒ぐ?」
それは、まさにジェニファーの心を一刀両断にする言葉だった。
「あなたの言う“自由”は、人を傷つけても構わないということ? 私にも誇りがあります。私の立場だってある。今日のように公爵夫人を差し置いて愛人と踊るなんて、あまりにも無礼です」
ジェニファーの声は感情で上ずり、怒りがこみ上げてくる。しかし、エドワードは薄く笑いながら言い放った。
「……そんなもの、気にするだけ無駄だろう。俺と君は政治的な契約で結婚したに過ぎない。愛なんてないし、お互いに関わらないのがベストだと最初からわかっていたはずだ」
「でも、だからといって……! ここまで私を侮辱しなくてもいいじゃないですか……!」
思わず涙が溢れそうになるのを必死で堪える。だが、エドワードは冷酷に続ける。
「ランカスター家は王家と繋がりを深めたい、俺の方は王家を動かす古参貴族の地盤を欲しかった。それだけだ。君が気に病む必要はない。君の家はこれで安泰なんだから、感謝されてもいいくらいだ」
その瞬間、ジェニファーの中で何かがプツリと切れた。
――私は、そんな風に「家のための生贄」として一生を終わるの?
これほどまでに尊厳を踏みにじられて、なお耐え続ける理由は本当にあるのか。家の名誉? 公爵夫人の地位? そんなものは、自分の心を粉砕してまで守る価値があるのだろうか。
「……わかりました」
ジェニファーは感情を押し殺し、静かに微笑んだ。その笑みはまるで、死んだように冷たいものだった。
「何がわかったというんだ?」
「もう、あなたに何も期待しません。私もあなたの『道具』でいるのは限界です。私は……離婚を望みます」
そこまで言い切った瞬間、エドワードの表情がわずかに揺れた。
「離婚……だと?」
「そうです。私はあなたが誰を愛そうと、構いません。でも、これ以上、公爵夫人という立場であなたの遊びに巻き込まれたくない。私を軽んじる態度にも耐えられません。どうか私を解放してください」
ジェニファーの声は震えていたが、その瞳には確固たる意思が宿っていた。エドワードは思わず言葉を失う。これまでジェニファーがどんなに悲しそうな顔をしていても、離婚という選択肢に踏み切るとは思わなかったのだろう。
やがて、エドワードの唇から嘲笑が漏れる。
「はっ……離婚? 君は分かっているのか? それがどういうことなのか。君はランカスター家の娘として、ここで俺と別れるというのは……」
「ええ、わかっています。父はきっと失望し、家の者たちは怒るでしょう。でも、私はもうこれ以上、あなたのもとで生きていたくはないの」
「それは君だけの都合だ。ランカスター家の人間は、それを許すだろうか?」
エドワードの言葉には脅しの響きがあった。もしジェニファーが離婚すれば、ランカスター家は王宮の支持を失い、地盤を大きく削られる可能性が高い。だが、彼女の決意は揺るがない。
「私は、もう誰に何を言われてもいい。私の人生は、私のものです。あなたが私を必要としないように、私もあなたを必要とはしません」
その毅然たる発言に、エドワードは一瞬言葉を失う。そして苛立ち混じりに言い放った。
「……勝手にしろ。離婚したければすればいい。ただし、そうなると君の実家は王家との繋がりを失う。おそらく、以前のように貴族社会で大きく振る舞うことは難しくなるぞ」
「構いません。私をただの飾り物として扱う結婚より、いっそ身一つで出て行った方がましです」
ジェニファーは静かにそう告げると、エドワードの前を通り過ぎ、ドアの方へ向かった。
「どこへ行くつもりだ」
「少し、この家の外の空気を吸いたいだけです。あなたにはもう、何も言われたくありません」
そのまま部屋を後にしようとするジェニファーに、エドワードは一瞬手を伸ばしかけたが、結局何もせずに口をつぐんで見送った。部屋には重たい沈黙だけが残される。
暗い廊下を進みながら、ジェニファーの胸中には怒りと悲しみ、そして一抹の清々しさが混在していた。
――ついに“離婚”の意思を口にしてしまった。
まだ正式に手続きしたわけではないが、もう後戻りはできない。少なくとも、エドワードに対する未練は完全に断ち切れた。どんなに美しい顔立ちをしていても、心がこれほど醜い人間を愛することなどできるはずがない。
舞踏会が一通り終わった深夜、ジェニファーは自室のベッドに腰掛けていた。ドレスを着替える気力もなく、ただそこに座って空虚な思いで夜の闇を見つめている。
どこか遠くから笑い声や馬車の音が聞こえる。客人たちが帰る支度を始めているのだろう。エドワードはローザを見送るのか、あるいは彼自身がローザとどこかへ行くのか――そんなことを考えるだけで胸が苦しかった。
すると、不意にノックの音が響く。
「……どなた?」
返事をすると、扉の向こうからエドワードの低い声が聞こえた。
「俺だ。少し話がある」
ジェニファーは驚きながらも、ドアを開ける。そこに立っていたのは、疲れたような表情を浮かべたエドワードだった。宴の余韻を思わせる酒の香りが、ほのかに漂っている。
「こんな時間に……何かご用かしら」
努めて平静を装ってみせても、感情は抑えきれない。彼の顔を見るだけで、今夜の屈辱が脳裏によみがえる。
エドワードは部屋に入ると、ドアを閉めて軽く肩をすくめるように息をついた。
「先ほどの舞踏会では、いろいろとあったようだな」
「……『あった』のは私ではなく、あなたとローザ嬢でしょう?」
ジェニファーは淡々と答える。すると、エドワードの眉間にわずかな皺が寄った。
「ローザのことを責めたいのか? だが、あれは俺たちの勝手だ。君に口出しされる筋合いはない」
その言葉を聞いた瞬間、ジェニファーは目の前が暗くなるほどの怒りと悲しみを感じた。“勝手だ”――たしかに契約結婚のようなものだが、いくらなんでも正妻を踏みにじるのはやりすぎではないだろうか。
「私は、あなたの妻です。表向きだけとはいえ、クラレンス公爵家の夫人でしょう? その私を公衆の面前であそこまで侮辱する行為が、どうして“勝手”で済むのですか」
思わず震える声が零れる。かつては決して乱さなかった感情が、もう限界を超えて吹き出しそうだった。
エドワードは苛立たしげに視線を逸らす。
「……これは、お互い干渉しないという約束のもとに成り立っている結婚だ。君が公爵夫人として立ち回りさえしていれば、俺が誰と踊ろうが自由なはずだ。何を今さら騒ぐ?」
それは、まさにジェニファーの心を一刀両断にする言葉だった。
「あなたの言う“自由”は、人を傷つけても構わないということ? 私にも誇りがあります。私の立場だってある。今日のように公爵夫人を差し置いて愛人と踊るなんて、あまりにも無礼です」
ジェニファーの声は感情で上ずり、怒りがこみ上げてくる。しかし、エドワードは薄く笑いながら言い放った。
「……そんなもの、気にするだけ無駄だろう。俺と君は政治的な契約で結婚したに過ぎない。愛なんてないし、お互いに関わらないのがベストだと最初からわかっていたはずだ」
「でも、だからといって……! ここまで私を侮辱しなくてもいいじゃないですか……!」
思わず涙が溢れそうになるのを必死で堪える。だが、エドワードは冷酷に続ける。
「ランカスター家は王家と繋がりを深めたい、俺の方は王家を動かす古参貴族の地盤を欲しかった。それだけだ。君が気に病む必要はない。君の家はこれで安泰なんだから、感謝されてもいいくらいだ」
その瞬間、ジェニファーの中で何かがプツリと切れた。
――私は、そんな風に「家のための生贄」として一生を終わるの?
これほどまでに尊厳を踏みにじられて、なお耐え続ける理由は本当にあるのか。家の名誉? 公爵夫人の地位? そんなものは、自分の心を粉砕してまで守る価値があるのだろうか。
「……わかりました」
ジェニファーは感情を押し殺し、静かに微笑んだ。その笑みはまるで、死んだように冷たいものだった。
「何がわかったというんだ?」
「もう、あなたに何も期待しません。私もあなたの『道具』でいるのは限界です。私は……離婚を望みます」
そこまで言い切った瞬間、エドワードの表情がわずかに揺れた。
「離婚……だと?」
「そうです。私はあなたが誰を愛そうと、構いません。でも、これ以上、公爵夫人という立場であなたの遊びに巻き込まれたくない。私を軽んじる態度にも耐えられません。どうか私を解放してください」
ジェニファーの声は震えていたが、その瞳には確固たる意思が宿っていた。エドワードは思わず言葉を失う。これまでジェニファーがどんなに悲しそうな顔をしていても、離婚という選択肢に踏み切るとは思わなかったのだろう。
やがて、エドワードの唇から嘲笑が漏れる。
「はっ……離婚? 君は分かっているのか? それがどういうことなのか。君はランカスター家の娘として、ここで俺と別れるというのは……」
「ええ、わかっています。父はきっと失望し、家の者たちは怒るでしょう。でも、私はもうこれ以上、あなたのもとで生きていたくはないの」
「それは君だけの都合だ。ランカスター家の人間は、それを許すだろうか?」
エドワードの言葉には脅しの響きがあった。もしジェニファーが離婚すれば、ランカスター家は王宮の支持を失い、地盤を大きく削られる可能性が高い。だが、彼女の決意は揺るがない。
「私は、もう誰に何を言われてもいい。私の人生は、私のものです。あなたが私を必要としないように、私もあなたを必要とはしません」
その毅然たる発言に、エドワードは一瞬言葉を失う。そして苛立ち混じりに言い放った。
「……勝手にしろ。離婚したければすればいい。ただし、そうなると君の実家は王家との繋がりを失う。おそらく、以前のように貴族社会で大きく振る舞うことは難しくなるぞ」
「構いません。私をただの飾り物として扱う結婚より、いっそ身一つで出て行った方がましです」
ジェニファーは静かにそう告げると、エドワードの前を通り過ぎ、ドアの方へ向かった。
「どこへ行くつもりだ」
「少し、この家の外の空気を吸いたいだけです。あなたにはもう、何も言われたくありません」
そのまま部屋を後にしようとするジェニファーに、エドワードは一瞬手を伸ばしかけたが、結局何もせずに口をつぐんで見送った。部屋には重たい沈黙だけが残される。
暗い廊下を進みながら、ジェニファーの胸中には怒りと悲しみ、そして一抹の清々しさが混在していた。
――ついに“離婚”の意思を口にしてしまった。
まだ正式に手続きしたわけではないが、もう後戻りはできない。少なくとも、エドワードに対する未練は完全に断ち切れた。どんなに美しい顔立ちをしていても、心がこれほど醜い人間を愛することなどできるはずがない。
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