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第3章 新たな運命の扉
3-2.マーサからの手紙
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2.マーサからの手紙
離宮での生活が始まってからしばらくすると、公爵家の家令長マーサから密書めいた手紙が届いた。
ジェニファーはひと目につかないように慎重に封を開け、内容を読み進める。筆跡は間違いなくマーサのもので、文面にはこうあった。
――「殿下がローザ嬢の勧めで新たな投資案件を進めようとしています。公爵家の資金をローザ嬢の親戚筋が運営する商会に注ぎ込む可能性が高いのです。私には殿下を止める力がありません。夫人……いえ、ジェニファー様、何か策はありませんでしょうか?」――
読み終えたジェニファーは、思わず眉間に皺を寄せる。やはり、ローザはエドワードを巧みに操っているのだろう。おそらく、多額の投資金を引き出して利権を独占する目論見に違いない。
――だが、それに口を出す権利は、今の私にあるのだろうか。
自問してみても、ジェニファーは返答に悩む。既に別居状態で“離婚”を望んでいる身だ。公爵家の内部事情に干渉すれば、余計なトラブルを招くだけかもしれない。しかし、マーサの困窮する文面からは、公爵家の財産が危うい状況にあることが伝わってくる。万が一、クラレンス家が大損害を被れば、ジェニファーの実家であるランカスター家にも影響は及ぶだろう。
(……放っておくべきかしら。それとも何らかの手段で殿下を説得するべき?)
どちらにしても茨の道だ。離婚を決めた以上、エドワードの動向など本来であれば知ったことではないのかもしれない。
それでも胸がざわつくのは、自分もかつてこの“公爵家”の一員として尽くそうとしていたからか。あるいはマーサのように自分を支えてくれた人が苦しむのを放置できないからか――。
ジェニファーは数秒間、葛藤に沈んだあと、ペンを取り出し、マーサ宛の返事を書き始めた。
――「私にできることは限られていますが、あなたが危険を感じたときは、どうか急ぎ知らせてください。私も最善を尽くします。」――
離宮での生活が始まってからしばらくすると、公爵家の家令長マーサから密書めいた手紙が届いた。
ジェニファーはひと目につかないように慎重に封を開け、内容を読み進める。筆跡は間違いなくマーサのもので、文面にはこうあった。
――「殿下がローザ嬢の勧めで新たな投資案件を進めようとしています。公爵家の資金をローザ嬢の親戚筋が運営する商会に注ぎ込む可能性が高いのです。私には殿下を止める力がありません。夫人……いえ、ジェニファー様、何か策はありませんでしょうか?」――
読み終えたジェニファーは、思わず眉間に皺を寄せる。やはり、ローザはエドワードを巧みに操っているのだろう。おそらく、多額の投資金を引き出して利権を独占する目論見に違いない。
――だが、それに口を出す権利は、今の私にあるのだろうか。
自問してみても、ジェニファーは返答に悩む。既に別居状態で“離婚”を望んでいる身だ。公爵家の内部事情に干渉すれば、余計なトラブルを招くだけかもしれない。しかし、マーサの困窮する文面からは、公爵家の財産が危うい状況にあることが伝わってくる。万が一、クラレンス家が大損害を被れば、ジェニファーの実家であるランカスター家にも影響は及ぶだろう。
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それでも胸がざわつくのは、自分もかつてこの“公爵家”の一員として尽くそうとしていたからか。あるいはマーサのように自分を支えてくれた人が苦しむのを放置できないからか――。
ジェニファーは数秒間、葛藤に沈んだあと、ペンを取り出し、マーサ宛の返事を書き始めた。
――「私にできることは限られていますが、あなたが危険を感じたときは、どうか急ぎ知らせてください。私も最善を尽くします。」――
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