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第3章 新たな運命の扉
3-5.王宮からの召喚――そして思わぬ再会
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3-5.王宮からの召喚――そして思わぬ再会
そんなある日、ジェニファーに王宮から正式な“召喚状”が届く。
書面には「公爵夫人たる貴女に、今回の外国使節団との晩餐会の補助を願いたい」とあった。具体的には、大公アレクサンダーが晩餐会に出席する際、会場での対応や接遇を任せたいというのだ。
「……どうして私に?」
ジェニファーは首を傾げながら、書状を読み返す。王宮側には、クラレンス公爵夫人が最近離宮に滞在し、アレクサンダーと親しく言葉を交わしているという情報がすでに伝わっているのかもしれない。
まだ公にはなっていないが、エドワードとの仲が破綻していることは薄々知られ始めているはずだ。それでも“名目上”は公爵夫人であり、そういう立場を利用して今回の外交の手助けをさせようという算段だろう。
クリスティーナが気遣わしげに口を開く。
「ジェニファー様、本当に行かれるのですか? もしかすると、殿下やローザ嬢と顔を合わせるかもしれませんよ」
それは確かに気がかりだった。だが、ジェニファーは静かに息をついて答える。
「……わかっているわ。でも、これを断れば、王宮から“非協力的”と見なされる可能性が高い。そうなれば離婚の話し合いにも影響が出るかもしれない。むしろ、自分から堂々と公の場に出て、正式に立場を示すことが必要だと思うの」
離婚を進めるうえで、王家に敵対的なイメージを与えるのは得策ではない。むしろ公爵夫人として要請に応じ、誠実に任務を果たす姿を見せた方が、ジェニファーにとってもプラスに働くだろう。
こうして、ジェニファーは晩餐会に出席する覚悟を決めた。
当日、王宮の大広間は豪奢に飾り立てられ、ヴォルフ公国の人々を迎える準備が万端に整っていた。ジェニファーは品のある水色のドレスに身を包み、アレクサンダーの随行員たちの案内に取り組む。
やがて、国王をはじめとする大臣や貴族たちも集まり、巨大なテーブルを囲む晩餐会が始まる。アレクサンダーはその中心で、国王と歓談を交わしていた。時折、視線をジェニファーの方へ送っては微笑んでみせる。
(不思議な人……)
ジェニファーもまた、微笑みを返しながら仕事に徹する。ワインの選定や料理の順番など、監督役の女官長を手伝い、トラブルが起きぬよう細心の注意を払う。
しかし、やはりこの場には“あの二人”がいた。エドワード・クラレンス公爵と、その隣に寄り添う伯爵令嬢ローザ。ジェニファーの存在などなかったかのように、表向きは落ち着いた態度をとっているが、目線がわずかにジェニファーを捉えているのを感じる。
(ああ、やっぱり……)
胸がざわつくのを抑えながら、ジェニファーはテーブルの脇を通り過ぎる。何もなかったように、何も感じていないように振る舞うしかない。この場は外交の要となる晩餐会なのだ。個人的な感情を表に出せば、国王や周囲に迷惑をかけることになる。
ローザの方は、ジェニファーに気づいているにもかかわらず、まるで勝ち誇ったような笑みを浮かべて視線を交わしてきた。それは「あなたはもう不要なのだから、どこかへ消えて」という無言の嘲りに見えた。
――だけど、私はもうあなたたちに振り回されるつもりはない。
ジェニファーは意地でも笑顔を崩さず、上品に一礼してから足早にその場を離れる。
晩餐会の進行が一段落した頃、突如として王宮の楽師が陽気な曲を奏で始めた。軽快なステップを促すような社交ダンスのメロディだ。この国の晩餐会では、食事後の踊りがしばしば催されることがあり、貴族たちが各々パートナーを誘ってフロアへと出ていく。
ジェニファーはその光景を少し離れたところから見守っていた。自分が踊る場面はないはずだし、何より“白い結婚”とはいえ公爵夫人である彼女が、軽率に他の男性と踊るわけにもいかない――そう考えていたからだ。
しかし、そこへアレクサンダーがすっと近づいてきて、柔らかい声で言う。
「ジェニファー……いや、失礼、公爵夫人とお呼びすべきか。あなたの国の踊りを教えていただけませんか? 私、この曲を聞いたのは初めてでして」
その申し出に、一瞬周囲がざわつく。まさか外国の大公が、公爵夫人を誘うとは――と驚きの目が向けられるのも当然だろう。しかし、アレクサンダーはそんな視線を意にも介さず、ジェニファーの手を取りかけて微笑みかける。
「あなたがよろしければ、私と一曲、お相手していただきたい」
ジェニファーは戸惑いを隠せない。視線を横に泳がせれば、エドワードとローザがこちらを見ているのがわかる。ローザがあからさまに眉をひそめ、軽い嘲笑を浮かべているのを感じる。
(……こんな場面で断るのは難しい。それに、ここで逃げてしまったら、私が委縮していることを彼らに示すだけだわ)
ほんの数秒逡巡したのち、ジェニファーはアレクサンダーに向けて微笑んだ。
「……ぜひご一緒しましょう。私などでよろしければ、喜んで」
周囲の驚きを背に、二人はフロアの中央へと進む。曲は爽やかなテンポのワルツに移り変わり、アレクサンダーは慣れない様子ながらも必死にステップを覚えようとする。
「あ、足がこんがらがってしまった……」
控えめに苦笑する大公に、ジェニファーはそっと耳打ちするようにアドバイスをする。
「リズムを少しだけ遅れて捉えてみてください。1・2・3……1・2・3……踏み出しに迷ったら、私の腰の位置で確認すると踊りやすいはずですわ」
エドワードと違い、アレクサンダーの手は温かく、そして適度に強い。自分の身体を無理に引き寄せることもなく、かといって遠ざけることもない。その安心感に、ジェニファーは思わず心の緊張が解けていくのを感じた。
ワルツの旋律に合わせて、少しずつ足取りが揃い始める。周囲の人々が二人の姿を興味津々に見守る中、ジェニファーは気品ある微笑みを浮かべながらも、内心で小さな驚きを覚えていた。
――なんて不思議な感覚。誰かと踊ることが、こんなにも心地よいなんて。
舞踏会といえば、いつもエドワードとローザが目立ち、ジェニファーは惨めな思いを抱えていた。しかし今、アレクサンダーの腕の中で踊る時間は、それらを忘れさせてくれるほど穏やかだった。
そんなある日、ジェニファーに王宮から正式な“召喚状”が届く。
書面には「公爵夫人たる貴女に、今回の外国使節団との晩餐会の補助を願いたい」とあった。具体的には、大公アレクサンダーが晩餐会に出席する際、会場での対応や接遇を任せたいというのだ。
「……どうして私に?」
ジェニファーは首を傾げながら、書状を読み返す。王宮側には、クラレンス公爵夫人が最近離宮に滞在し、アレクサンダーと親しく言葉を交わしているという情報がすでに伝わっているのかもしれない。
まだ公にはなっていないが、エドワードとの仲が破綻していることは薄々知られ始めているはずだ。それでも“名目上”は公爵夫人であり、そういう立場を利用して今回の外交の手助けをさせようという算段だろう。
クリスティーナが気遣わしげに口を開く。
「ジェニファー様、本当に行かれるのですか? もしかすると、殿下やローザ嬢と顔を合わせるかもしれませんよ」
それは確かに気がかりだった。だが、ジェニファーは静かに息をついて答える。
「……わかっているわ。でも、これを断れば、王宮から“非協力的”と見なされる可能性が高い。そうなれば離婚の話し合いにも影響が出るかもしれない。むしろ、自分から堂々と公の場に出て、正式に立場を示すことが必要だと思うの」
離婚を進めるうえで、王家に敵対的なイメージを与えるのは得策ではない。むしろ公爵夫人として要請に応じ、誠実に任務を果たす姿を見せた方が、ジェニファーにとってもプラスに働くだろう。
こうして、ジェニファーは晩餐会に出席する覚悟を決めた。
当日、王宮の大広間は豪奢に飾り立てられ、ヴォルフ公国の人々を迎える準備が万端に整っていた。ジェニファーは品のある水色のドレスに身を包み、アレクサンダーの随行員たちの案内に取り組む。
やがて、国王をはじめとする大臣や貴族たちも集まり、巨大なテーブルを囲む晩餐会が始まる。アレクサンダーはその中心で、国王と歓談を交わしていた。時折、視線をジェニファーの方へ送っては微笑んでみせる。
(不思議な人……)
ジェニファーもまた、微笑みを返しながら仕事に徹する。ワインの選定や料理の順番など、監督役の女官長を手伝い、トラブルが起きぬよう細心の注意を払う。
しかし、やはりこの場には“あの二人”がいた。エドワード・クラレンス公爵と、その隣に寄り添う伯爵令嬢ローザ。ジェニファーの存在などなかったかのように、表向きは落ち着いた態度をとっているが、目線がわずかにジェニファーを捉えているのを感じる。
(ああ、やっぱり……)
胸がざわつくのを抑えながら、ジェニファーはテーブルの脇を通り過ぎる。何もなかったように、何も感じていないように振る舞うしかない。この場は外交の要となる晩餐会なのだ。個人的な感情を表に出せば、国王や周囲に迷惑をかけることになる。
ローザの方は、ジェニファーに気づいているにもかかわらず、まるで勝ち誇ったような笑みを浮かべて視線を交わしてきた。それは「あなたはもう不要なのだから、どこかへ消えて」という無言の嘲りに見えた。
――だけど、私はもうあなたたちに振り回されるつもりはない。
ジェニファーは意地でも笑顔を崩さず、上品に一礼してから足早にその場を離れる。
晩餐会の進行が一段落した頃、突如として王宮の楽師が陽気な曲を奏で始めた。軽快なステップを促すような社交ダンスのメロディだ。この国の晩餐会では、食事後の踊りがしばしば催されることがあり、貴族たちが各々パートナーを誘ってフロアへと出ていく。
ジェニファーはその光景を少し離れたところから見守っていた。自分が踊る場面はないはずだし、何より“白い結婚”とはいえ公爵夫人である彼女が、軽率に他の男性と踊るわけにもいかない――そう考えていたからだ。
しかし、そこへアレクサンダーがすっと近づいてきて、柔らかい声で言う。
「ジェニファー……いや、失礼、公爵夫人とお呼びすべきか。あなたの国の踊りを教えていただけませんか? 私、この曲を聞いたのは初めてでして」
その申し出に、一瞬周囲がざわつく。まさか外国の大公が、公爵夫人を誘うとは――と驚きの目が向けられるのも当然だろう。しかし、アレクサンダーはそんな視線を意にも介さず、ジェニファーの手を取りかけて微笑みかける。
「あなたがよろしければ、私と一曲、お相手していただきたい」
ジェニファーは戸惑いを隠せない。視線を横に泳がせれば、エドワードとローザがこちらを見ているのがわかる。ローザがあからさまに眉をひそめ、軽い嘲笑を浮かべているのを感じる。
(……こんな場面で断るのは難しい。それに、ここで逃げてしまったら、私が委縮していることを彼らに示すだけだわ)
ほんの数秒逡巡したのち、ジェニファーはアレクサンダーに向けて微笑んだ。
「……ぜひご一緒しましょう。私などでよろしければ、喜んで」
周囲の驚きを背に、二人はフロアの中央へと進む。曲は爽やかなテンポのワルツに移り変わり、アレクサンダーは慣れない様子ながらも必死にステップを覚えようとする。
「あ、足がこんがらがってしまった……」
控えめに苦笑する大公に、ジェニファーはそっと耳打ちするようにアドバイスをする。
「リズムを少しだけ遅れて捉えてみてください。1・2・3……1・2・3……踏み出しに迷ったら、私の腰の位置で確認すると踊りやすいはずですわ」
エドワードと違い、アレクサンダーの手は温かく、そして適度に強い。自分の身体を無理に引き寄せることもなく、かといって遠ざけることもない。その安心感に、ジェニファーは思わず心の緊張が解けていくのを感じた。
ワルツの旋律に合わせて、少しずつ足取りが揃い始める。周囲の人々が二人の姿を興味津々に見守る中、ジェニファーは気品ある微笑みを浮かべながらも、内心で小さな驚きを覚えていた。
――なんて不思議な感覚。誰かと踊ることが、こんなにも心地よいなんて。
舞踏会といえば、いつもエドワードとローザが目立ち、ジェニファーは惨めな思いを抱えていた。しかし今、アレクサンダーの腕の中で踊る時間は、それらを忘れさせてくれるほど穏やかだった。
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