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第4章 元夫の後悔と幸せな再婚
4-6.離婚成立とジェニファーの決断
4-6.離婚成立とジェニファーの決断
幾度かの交渉と法的手続きを経て、ジェニファーとエドワードの離婚は最終段階にまでこぎつけた。
国王は“王弟”の面子を守るため、離婚そのものには口出ししなかったが、財産分与やジェニファーへの慰謝料については双方の溝が深く、何度も折衝が繰り返された。
最終的に、エドワード側が“体面を最優先”して譲歩する形になった。公爵家が早期に離婚問題を終わらせて世間の目を逸らしたかったこと、そしてエドワード自身がローザの失敗投資で財政的に追い詰められていたこともあり、ジェニファーにある程度の金銭を渡して解決を図ろうとしたのだ。
当然、ランカスター家は猛反対したが、国王や重臣が「これ以上の混乱は許されない」と取りなした結果、強引に話がまとまる形となる。
こうして、ジェニファーは王宮の一室で正式に“離婚成立”の書類にサインを交わした。
――自分の人生を縛りつけていた鎖が、ようやく断ち切られた瞬間。
書類から視線を上げると、エドワードが少し離れた場所で暗い顔をしているのが見えた。目が合うと、彼は何か言いたげに唇を動かすが、結局何も言わず背を向ける。
(さようなら、エドワード。あなたのもとで私は「白い結婚」の悲しみしか知らなかった。今さら後悔されても、もう遅いわ)
ジェニファーは静かに一礼して、その場をあとにした。背筋は伸び、瞳には力が宿っている。かつてのようにすくむことはない。
離婚が成立すると、ジェニファーは離宮を引き払うことになった。名目上、まだ“公爵夫人”だったから滞在を許されていたが、離婚後はその理由が消滅する。
ランカスター家に戻る選択肢もあったが、父との確執は決定的だ。家に戻れば再び束縛され、今度は「家の都合」に翻弄されるかもしれない。
――ならば、どこへ行く?
ジェニファーは一瞬迷った。王都の中で家を借りることも考えたが、資産をあまり多く持っているわけでもなく、貴族社会に未練はない。かといって地方へ逃げる形で暮らすことも、寂しくはないだろうか――。
そんなとき、アレクサンダーからの誘いの言葉が脳裏をよぎる。彼は「ヴォルフ公国へいつでもおいで」と言ってくれた。あくまで選択肢の一つとして、押し付けるつもりはないとも言っていた。
ジェニファーは、自分の胸に正直に問いかける。
(私は……どうしたいのだろう。エドワードとの結婚で傷つき、失った時間を取り戻すには、何が必要なんだろう)
答えを出したのは、離宮を出た翌日の夜だった。ジェニファーは馬車に乗り、ひとつの館を訪ねる。そこは以前アレクサンダーに招かれた、彼が滞在している私邸だ。
玄関で使用人に案内されると、サロンに通され、まもなくアレクサンダーが姿を見せた。
「ジェニファー……あなたがここに来てくれるなんて。嬉しいよ」
彼の温かい言葉に、ジェニファーの胸はじんわりと熱くなる。まだ戸惑いはある。それでも、この人を信じてみたいという思いが勝った。
「私、離婚が成立しました。もう公爵夫人でも、ランカスター家の娘でもありません。だから……」
言葉に詰まるジェニファーを見て、アレクサンダーは黙って近づき、そっと手を取る。
「おめでとう。君が自由になれたことを、心から祝福する。そして、ようやく君に言えるよ――もしよければ、私の国へ一緒に来ないか?」
ジェニファーは微かに頷き、震える唇から想いを吐き出した。
「……はい。私でよければ、あなたのもとへ行かせてください」
幾度かの交渉と法的手続きを経て、ジェニファーとエドワードの離婚は最終段階にまでこぎつけた。
国王は“王弟”の面子を守るため、離婚そのものには口出ししなかったが、財産分与やジェニファーへの慰謝料については双方の溝が深く、何度も折衝が繰り返された。
最終的に、エドワード側が“体面を最優先”して譲歩する形になった。公爵家が早期に離婚問題を終わらせて世間の目を逸らしたかったこと、そしてエドワード自身がローザの失敗投資で財政的に追い詰められていたこともあり、ジェニファーにある程度の金銭を渡して解決を図ろうとしたのだ。
当然、ランカスター家は猛反対したが、国王や重臣が「これ以上の混乱は許されない」と取りなした結果、強引に話がまとまる形となる。
こうして、ジェニファーは王宮の一室で正式に“離婚成立”の書類にサインを交わした。
――自分の人生を縛りつけていた鎖が、ようやく断ち切られた瞬間。
書類から視線を上げると、エドワードが少し離れた場所で暗い顔をしているのが見えた。目が合うと、彼は何か言いたげに唇を動かすが、結局何も言わず背を向ける。
(さようなら、エドワード。あなたのもとで私は「白い結婚」の悲しみしか知らなかった。今さら後悔されても、もう遅いわ)
ジェニファーは静かに一礼して、その場をあとにした。背筋は伸び、瞳には力が宿っている。かつてのようにすくむことはない。
離婚が成立すると、ジェニファーは離宮を引き払うことになった。名目上、まだ“公爵夫人”だったから滞在を許されていたが、離婚後はその理由が消滅する。
ランカスター家に戻る選択肢もあったが、父との確執は決定的だ。家に戻れば再び束縛され、今度は「家の都合」に翻弄されるかもしれない。
――ならば、どこへ行く?
ジェニファーは一瞬迷った。王都の中で家を借りることも考えたが、資産をあまり多く持っているわけでもなく、貴族社会に未練はない。かといって地方へ逃げる形で暮らすことも、寂しくはないだろうか――。
そんなとき、アレクサンダーからの誘いの言葉が脳裏をよぎる。彼は「ヴォルフ公国へいつでもおいで」と言ってくれた。あくまで選択肢の一つとして、押し付けるつもりはないとも言っていた。
ジェニファーは、自分の胸に正直に問いかける。
(私は……どうしたいのだろう。エドワードとの結婚で傷つき、失った時間を取り戻すには、何が必要なんだろう)
答えを出したのは、離宮を出た翌日の夜だった。ジェニファーは馬車に乗り、ひとつの館を訪ねる。そこは以前アレクサンダーに招かれた、彼が滞在している私邸だ。
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彼の温かい言葉に、ジェニファーの胸はじんわりと熱くなる。まだ戸惑いはある。それでも、この人を信じてみたいという思いが勝った。
「私、離婚が成立しました。もう公爵夫人でも、ランカスター家の娘でもありません。だから……」
言葉に詰まるジェニファーを見て、アレクサンダーは黙って近づき、そっと手を取る。
「おめでとう。君が自由になれたことを、心から祝福する。そして、ようやく君に言えるよ――もしよければ、私の国へ一緒に来ないか?」
ジェニファーは微かに頷き、震える唇から想いを吐き出した。
「……はい。私でよければ、あなたのもとへ行かせてください」
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