SP24歳 女子高生始めました。

鍛高譚

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第18話 新入生と25歳の先輩

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新入生と25歳の先輩





 春休みの最中、在校生の多くが休暇を満喫しているその日。  生徒会の面々だけは、朝から制服を着て学校に集合していた。



 この日は新入生のオリエンテーション。生徒会はその運営補助、特に案内係として動員されていたのだ。



「私たち、受付と資料配布ですね」



 倉子と真子は、昇降口横に設けられた特設受付に座り、名簿と資料を前に立っていた。



「◯◯さんですね。では、資料を持って一年A組の教室に移動して待っていてください」



「あなたは、B組っす」



 手際よく名簿を確認し、資料を渡すふたり。  もはや慣れたものだ。



 だが、新入生たちはそんな二人をじっと見ながら、すれ違いざまにひそひそと話している。



「なんであの先生たち、制服着てるの……?」



「えっ、教師なの? あれ……」



 その声が耳に入った瞬間、倉子と真子は顔を見合わせた。



「……だと思うだろうね」



「普通っすよね。『なんで制服?あの先生』ってなるっす」



「だわな。誰も生徒だとは思わないわよ」



「思わないっすね。うちらの“先輩始めました”は無理あるっす」



「むしろ、“教師デビューしました”のほうが自然……」



 二人の肩が、同時に重く沈んだ。



 そんななか、澪は受付の奥からにこやかに声をかけた。



「お二人とも、いつも通り完璧ですわ。頼りになります」



「……澪お嬢様、マジで容赦ないっす……」



 こうして、新年度もまた“SPな生徒会”の日常が、少しずつ始まっていくのだった。













生徒でも教師でもない立場



 全員の受付が終わると、倉子と真子は名簿と余った資料をまとめて職員室へと向かった。



「服部さん、真田さん、ご苦労さまです」



 出迎えたのは教頭だった。



「教師でも、本当の生徒でもないのに、こんなことをさせてしまって……申し訳ありません」



「いえ、大丈夫です」  倉子が苦笑交じりに答える。



 教頭は少し首を傾げつつも、優しい口調で続けた。 「しかし、警備員って、こんなことまでするんですね。たいへんなお仕事です。今日はこの後、歓迎会の最終確認でしょう?」



「はい。ですが、今日は午前中で終わりですので」



 教頭が去ったあと、真子がぽつりと漏らす。



「先輩……なんかいろいろ逆に泣きたくなりませんか?」



「言うな……」



 そのまま二人は講堂へ移動。他の生徒会メンバーと合流し、歓迎会リハーサルの準備に取りかかった。



 講堂には、各部の部長たちも集まっている。体育館の中央に並んだ椅子、照明の確認、進行のリストがホワイトボードに記されていた。



「では、リハーサルを始めましょう」



 澪の号令とともに、リハーサルが始まる。



 たいていの部長は2年生だが、運動部――とくに野球部などは、まだ3年生が部長を務めていた。



 彼らも前期終了、または夏の大会終了と同時に引退となるが、今はまだ“現役部長”として存在感を放っている。



 そのせいか、澪も若干やりにくそうではあるが――生徒会には、25歳の二人がいる。



 その“年齢的圧”は抜群だった。



 ある3年生の部長が、リハーサル中に手を挙げる。



「すみません。順番、少し入れ替えてもらえませんか? 顧問の都合で……」



 そこで倉子が、軽く微笑みながら一歩前に出た。



「先輩、申し訳ありません。直前に一人一人の要望を聞いていると、全体の収拾がつかなくなる可能性があります。事前に申出ていただければ調整もできたのですが……すみません、先輩」



 “先輩”と呼ばれても、18歳の3年生は25歳の2年生に強く出ることができなかった。



「……はい。わかりました……」



 しょんぼり引き下がるその背中を見ながら、真子がぽつりと。



「これ、完全に……圧すっね」



「でも、進行はスムーズでしょ」



 25歳の威光は、学園において無敵だった。





半日勤務と現実



 午前中でオリエンテーションとリハーサルの全行程が終了した。



 制服姿のまま、倉子と真子は澪を送迎車で自宅まで送迎する。



 その道中、車内にはまったりとした安堵の空気が流れていた。



「今日は半日か。ありがたいな……」  倉子が運転しながらぽつりとつぶやく。



「本当っす。これ休みだったら、また何か別件ねじ込まれてたっすよね」



「……それな」



 澪を無事送り届けて、二人は職務完了。SPとしての一日を終えた。



 その帰り道、助手席の真子が言う。



「帰って、録りためたアニメ見て、ゲームして寝るっす……」



「私は、帰って飲んで寝るかな……」



「先輩、おやじくさいっす」



「うるさい」



 しばしの沈黙のあと、真子が思い出したように言った。



「そういえば今月、また身体測定と健康診断あるっすよ」



「……うっ」



 倉子の表情が曇る。



「……酒……控えるか……」



「いや、それだけで済む問題っすかね……?」



「余計なこと言うな……」



 こうして、25歳制服SPの“半日勤務”は、どこかサラリーマン味のある疲労と共に幕を閉じた。



 だが、来週からは本番――新入生歓迎会の開催日が、着実に迫っていた。

























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