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2-2 新たな朝の空気
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新たな朝の空気
婚約破棄の報せは、やがてクラレット公爵夫妻の耳にも届いた。驚きと怒りを露わにしたのは、彼女の父・クラレット公爵である。一方、母であるクラレット公爵夫人は、不安そうに娘の様子を窺っていた。
「ミアータ、どういうことだ? アレン殿と正式に話し合ったのか?」
朝食の席で、公爵は厳しい表情のまま尋ねる。
「ええ、父様。アレン様のご希望通り、婚約の解消を受け入れました。お互い、これ以上傷つけ合っても仕方ありませんから」
ミアータの声は落ち着いていたが、その眼差しにはどこか冷えた決意が見える。まるで、ひとかたまりの氷が胸の内に存在しているかのように、外からの刺激を拒むような雰囲気すら漂っていた。
「バカなことを……! 両家の関係はどうなる? 王都に広まる噂はどう対処すればいい? 第一、ヴァーサー侯爵家とわがクラレット公爵家の繋がりは、そう簡単に断ち切れるものではないのだぞ」
公爵は苛立ちを隠さず、拳でテーブルを軽く叩く。その音に使用人たちが一瞬びくりとするが、ミアータは表情ひとつ変えずに微笑んだ。
「そうですね……。ただ、これはアレン様ご自身の意志です。私が一方的に押し返しても、きっと再び同じ結末を迎えるだけでしょう。ならば、傷が浅いうちに手を打つほうがよいかと」
「ミアータ……」
母親が口を挟もうとしたが、娘はそれを制するように軽く目で合図する。
「いずれにせよ、もう決まってしまったことですから。申し訳ありません、父様、母様。ご心配をおかけしますが、婚約破棄に至るまでの詳しい経緯は、いずれ公的な場でお話いたしますわ」
それだけ言うと、ミアータは椅子をすっと引き、静かに立ち上がった。彼女の物腰はいつもと変わらず優雅で、取り乱す様子など微塵もない。その背筋の伸びた姿勢には、公爵令嬢としての誇りと気高さが宿っていた。
「どちらへ行くのだ、ミアータ」
公爵は戸惑ったように声をかけるが、娘は振り返らず答える。
「少し、庭を散策してきます。朝の空気が吸いたいの」
――婚約解消を言い渡された夜以来、屋敷の者たちは皆、彼女の様子を見守っていた。しかし、「大丈夫?」と声をかけても、彼女は必ず「ええ、大丈夫よ」と微笑むだけ。まるで、頑丈な壁か結界が張られているかのように、その内側に誰も踏み込めずにいた。
婚約破棄の報せは、やがてクラレット公爵夫妻の耳にも届いた。驚きと怒りを露わにしたのは、彼女の父・クラレット公爵である。一方、母であるクラレット公爵夫人は、不安そうに娘の様子を窺っていた。
「ミアータ、どういうことだ? アレン殿と正式に話し合ったのか?」
朝食の席で、公爵は厳しい表情のまま尋ねる。
「ええ、父様。アレン様のご希望通り、婚約の解消を受け入れました。お互い、これ以上傷つけ合っても仕方ありませんから」
ミアータの声は落ち着いていたが、その眼差しにはどこか冷えた決意が見える。まるで、ひとかたまりの氷が胸の内に存在しているかのように、外からの刺激を拒むような雰囲気すら漂っていた。
「バカなことを……! 両家の関係はどうなる? 王都に広まる噂はどう対処すればいい? 第一、ヴァーサー侯爵家とわがクラレット公爵家の繋がりは、そう簡単に断ち切れるものではないのだぞ」
公爵は苛立ちを隠さず、拳でテーブルを軽く叩く。その音に使用人たちが一瞬びくりとするが、ミアータは表情ひとつ変えずに微笑んだ。
「そうですね……。ただ、これはアレン様ご自身の意志です。私が一方的に押し返しても、きっと再び同じ結末を迎えるだけでしょう。ならば、傷が浅いうちに手を打つほうがよいかと」
「ミアータ……」
母親が口を挟もうとしたが、娘はそれを制するように軽く目で合図する。
「いずれにせよ、もう決まってしまったことですから。申し訳ありません、父様、母様。ご心配をおかけしますが、婚約破棄に至るまでの詳しい経緯は、いずれ公的な場でお話いたしますわ」
それだけ言うと、ミアータは椅子をすっと引き、静かに立ち上がった。彼女の物腰はいつもと変わらず優雅で、取り乱す様子など微塵もない。その背筋の伸びた姿勢には、公爵令嬢としての誇りと気高さが宿っていた。
「どちらへ行くのだ、ミアータ」
公爵は戸惑ったように声をかけるが、娘は振り返らず答える。
「少し、庭を散策してきます。朝の空気が吸いたいの」
――婚約解消を言い渡された夜以来、屋敷の者たちは皆、彼女の様子を見守っていた。しかし、「大丈夫?」と声をかけても、彼女は必ず「ええ、大丈夫よ」と微笑むだけ。まるで、頑丈な壁か結界が張られているかのように、その内側に誰も踏み込めずにいた。
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