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第3章 求婚者たちの再来と、夫の執着
20話
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3.予想外の接触と、王太子の告白
夕刻を迎え、舞踏会がさらに盛り上がりを見せ始めたころ。
レオポルドは軍関係の有力者たちと一時的に席を外し、外交の打ち合わせに顔を出していた。カーテンリンゼは一人きりで周囲の貴族たちと会話をかわしていたが、その集団がふと散会した合間に、王太子エドワルドが静かに近寄ってきたのである。
「……カーテンリンゼ」
不意にかけられた懐かしい呼び名に、彼女ははっとして振り返る。そこには、長身で金髪を持つ美貌の青年――エドワルド・クラウスベルグが、どこか困ったような微笑みを浮かべて立っていた。
「殿下。ごきげんよう」
できるだけ平静を装い、一礼する。周囲の視線が一気に注がれるのを感じた。王太子が元婚約者に話しかけた――それだけでも十分なスキャンダルだ。だが、エドワルドの瞳はどこまでも真剣そうで、カーテンリンゼの目を逸らさない。
「すまない、急に声をかけて……。どうしても、お前と話したいことがあって、機会をうかがっていたんだ」
その低い声を聞いて、胸にわずかな鈍い痛みを覚える。かつて自分からは何も望まなかった相手。そして彼もまた、彼女を“冷たい人形”と評して婚約を破棄した張本人だったのだ。
(今さら、何を話すつもりなの……)
そんな疑問を抱きながらも、カーテンリンゼは王太子の表情から目をそらせない。
「お気になさらず。……でも、私でよろしいのでしょうか。今となってはただの公爵夫人ですし、殿下に気軽にお話しできるような間柄でもないと思いますが」
皮肉でもなく、本心から出た言葉だった。自分はもう王太子の許婚ではないし、ここは多くの賓客が集う場。軽々に話し込むのははばかられる。
だが、エドワルドは微かな苦笑を浮かべ、「だからこそ話さなくてはと思っていた」と続ける。
「……カーテンリンゼ、私は……あのとき、お前のことをまったく理解していなかったと思う。お前は愛を求めていない、そう思い込んで、自分自身を正当化していただけだった。実際は、お前自身が愛を知らずにいるだけで、拒絶しているわけじゃなかったんじゃないか、と今は思うんだ」
その台詞は、聞いているカーテンリンゼの心を大きく揺さぶるものだった。確かに、昔の自分は“愛なんてわからない”“興味がない”と頑なに思い込んでいた。だが、それは本当のところ、自分が愛という感情から逃げていたからなのかもしれない――そう最近になって少しずつ感じ始めていたのだ。
「……私と殿下は、もう過去の関係です。互いに歩む道が分かれただけ。今さらそんな話をしても仕方がありませんわ」
カーテンリンゼは努めて冷静に応じる。だが、エドワルドの瞳には痛ましげな色が浮かんでいた。
「確かにもう遅いのかもしれない。だが、わずかでも可能性があるなら、私はお前に謝りたい。……そして、取り戻せるものなら取り戻したいんだ」
「……取り戻す?」
「お前との時間を、だ。最初から私は、お前に真摯に向き合おうとしていなかった。それは間違いなく私の落ち度だ。お前が冷たいなどと言って、勝手にすれ違いを生んだのは私の責任。だから、今度はちゃんと向き合いたい」
その一方的とも取れる言い分に、カーテンリンゼは心が乱れる。確かに、かつての彼女はエドワルドと真剣に言葉を交わしたことなどなかったし、破談のときも淡々と受け止めるだけだった。
(でも、私はもう“公爵夫人”よ。あの人と契約していて、そして……)
視線を落とし、一瞬だけレオポルドの顔が脳裏をよぎる。そのとき、胸がきゅっと締め付けられるような痛みを覚えた。
――私は、あのとき本当に愛を望んでいなかったんだろうか。望むことが怖かっただけじゃないのか? それは今も変わらないのか?
頭の中が混乱しそうになるが、どうにか踏みとどまって顔を上げる。周囲の目を気にしてか、エドワルドは少し声を落とし、優しい瞳を向けてきた。
「……答えを急かすつもりはない。ただ、一度だけでもいいから話をさせてくれ。せめて、お前に対する俺の気持ちが今も変わっていないことを知ってほしい」
――変わっていない? それは“冷淡だからこそ受け入れられない”と捨てたはずの相手に言うセリフなのだろうか。
カーテンリンゼは何も言えず、沈黙してしまう。彼女の視線が落ちたまま動かないのを見て、エドワルドは苦しげに言葉を続けた。
「もし、お前が今の生活に満足していないのなら、俺にできることがあるかもしれない。いや、仮に満足していたとしても……少なくとも、俺は後悔を拭うためにも、お前ともう一度向き合うチャンスが欲しいんだ」
その言葉は、完全に“妻帯者に対する不埒な求愛”に等しい。王太子としてあるまじき行動かもしれないが、彼は構わず口にしている。
(私が満足していない……? そんなはずないわ。あれは契約結婚だけど、私は今、少なくとも不自由は感じていない。でも――)
妙に引っかかるのは、“満足”という言葉。愛を知らなくても、情を否定しても、それでも満足と呼べるのかどうか。最近の自分の心の揺れを思い出すたびに、はっきりとした答えが出せない。
だが、ここで折れてはならない。そう自分に言い聞かせ、カーテンリンゼはできる限りの毅然とした態度をとる。
「殿下、もうおやめください。私はヴァレンシュタイン公爵の妻です。私のことなどどうでもいい、とかつて仰ったのは殿下ご自身。それを今さら……。どうしてそこまで無神経になれるのです?」
言葉がやや強くなったのは、動揺を隠すためだ。エドワルドは苦しそうに眉を寄せ、「……それはわかっている。自分が身勝手だということくらい、わかっているんだ」と呟く。
「だけど、どうしようもないんだよ。忘れられるなら、とっくに忘れていただろう。お前のことを知れば知るほど、手放したのが惜しくなるんだ。――勝手だというなら、勝手と罵ってくれて構わない。俺はもう、正直に言うほかないんだ」
周囲からの視線がさらに強く注がれる。言葉は大きくないが、二人のやりとりを耳にしようと人々が近寄っているのがわかる。
「これ以上は……」
カーテンリンゼは口を閉じ、頭を振る。もしこの場でエドワルドを厳しく拒絶すれば、今度はそれが新たなスキャンダルを生むだろう。王太子を公然と拒否した公爵夫人――その噂はより一層大きな波紋を呼ぶに違いない。
(どうすればいいの……?)
思考が混乱しかけた瞬間、ふいに強い腕が彼女の肩を引いた。
「お前、相変わらずしつこいな。人の妻に手を出すとは、王太子としての品位が疑われるぞ」
低く、しかしはっきりとした声音。カーテンリンゼの体が支えられ、振り返るとそこにはレオポルド公爵の姿があった。レオポルドは険しい表情をしており、その灰色の瞳は怒りの色を帯びている。
「レオポルド……!」
エドワルドが身構え、顔をこわばらせる。レオポルドは一瞥で周囲を睥睨し、続けて言葉を放った。
「公の場で、うちの夫人にみだりに声をかけるのは構わんが、あまり失礼な真似を続けるなら、私も容赦しない。――王族だからといって、特別扱いするつもりはないぞ」
その宣言に、周囲の貴族たちが息をのむのがわかる。普通なら“王太子に対して失礼すぎる”と批判されかねない言葉だが、レオポルドの軍での実績と名声、そして王国の安定に大きく貢献している地位を考えれば、容易に咎めることはできない。
エドワルドの表情が悔しげにゆがむ。彼は一度視線を下げ、苦々しそうに吐き捨てた。
「……そうか。レオポルド、お前は俺が恐れなかった冷たさを持っているようだな。だが……。カーテンリンゼ、もしお前の心が少しでも揺れているなら、いつでも話に来てくれ。俺は待っている」
そう言い残し、彼は踵を返してその場を立ち去った。
(心が、揺れている……?)
まるでエドワルドに見透かされたようなその言葉が、胸の奥を掻き乱す。カーテンリンゼは何も言えずにその背中を見送り、レオポルドの腕の中にいる自分に気づいてハッとする。周囲の視線が痛いほどに注がれ、特に貴婦人たちは嫌でも二人の“密着”を目撃しているだろう。
「レオポルド……ありがとうございます」
かろうじてそう伝えると、彼は肩に回していた手をそっと離し、低くうなずいた。
そのまま二人は人目を避けるように、会場の端へと移動する。やがて、壁際の飾り彫刻の陰に隠れるようにして落ち着いたとき、ようやくカーテンリンゼは落ち着きを取り戻し始めた。
「助けてくれて、感謝します。あのまま話を続けていたら、私……何を言うべきかもわからなくて……」
正直に言葉を吐き出すと、レオポルドは短く息をついて返す。
「当然だ。夫の役目だからな。しかし……」
そこまで言いかけて、彼は言葉を切る。灰色の瞳に何か熱を宿したようにカーテンリンゼを見つめるが、その真意は読み取りづらい。
「……いや、やはりやめておこう。今はまだ、お前に余計な負担をかけたくない」
そう言ってレオポルドは視線を逸らし、再び硬質な表情に戻る。その仕草が、カーテンリンゼの胸に小さな痛みをもたらす。まるで彼もまた、何かを言いかけて飲み込んだように感じられたからだ。
「……わかりました」
それ以上は問い詰めない。彼が話したくないのなら、それを尊重するのが契約結婚の流儀でもある。そう頭では理解していても、胸の奥にはかすかな寂しさが広がっていくのを感じてしまう。
夕刻を迎え、舞踏会がさらに盛り上がりを見せ始めたころ。
レオポルドは軍関係の有力者たちと一時的に席を外し、外交の打ち合わせに顔を出していた。カーテンリンゼは一人きりで周囲の貴族たちと会話をかわしていたが、その集団がふと散会した合間に、王太子エドワルドが静かに近寄ってきたのである。
「……カーテンリンゼ」
不意にかけられた懐かしい呼び名に、彼女ははっとして振り返る。そこには、長身で金髪を持つ美貌の青年――エドワルド・クラウスベルグが、どこか困ったような微笑みを浮かべて立っていた。
「殿下。ごきげんよう」
できるだけ平静を装い、一礼する。周囲の視線が一気に注がれるのを感じた。王太子が元婚約者に話しかけた――それだけでも十分なスキャンダルだ。だが、エドワルドの瞳はどこまでも真剣そうで、カーテンリンゼの目を逸らさない。
「すまない、急に声をかけて……。どうしても、お前と話したいことがあって、機会をうかがっていたんだ」
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(今さら、何を話すつもりなの……)
そんな疑問を抱きながらも、カーテンリンゼは王太子の表情から目をそらせない。
「お気になさらず。……でも、私でよろしいのでしょうか。今となってはただの公爵夫人ですし、殿下に気軽にお話しできるような間柄でもないと思いますが」
皮肉でもなく、本心から出た言葉だった。自分はもう王太子の許婚ではないし、ここは多くの賓客が集う場。軽々に話し込むのははばかられる。
だが、エドワルドは微かな苦笑を浮かべ、「だからこそ話さなくてはと思っていた」と続ける。
「……カーテンリンゼ、私は……あのとき、お前のことをまったく理解していなかったと思う。お前は愛を求めていない、そう思い込んで、自分自身を正当化していただけだった。実際は、お前自身が愛を知らずにいるだけで、拒絶しているわけじゃなかったんじゃないか、と今は思うんだ」
その台詞は、聞いているカーテンリンゼの心を大きく揺さぶるものだった。確かに、昔の自分は“愛なんてわからない”“興味がない”と頑なに思い込んでいた。だが、それは本当のところ、自分が愛という感情から逃げていたからなのかもしれない――そう最近になって少しずつ感じ始めていたのだ。
「……私と殿下は、もう過去の関係です。互いに歩む道が分かれただけ。今さらそんな話をしても仕方がありませんわ」
カーテンリンゼは努めて冷静に応じる。だが、エドワルドの瞳には痛ましげな色が浮かんでいた。
「確かにもう遅いのかもしれない。だが、わずかでも可能性があるなら、私はお前に謝りたい。……そして、取り戻せるものなら取り戻したいんだ」
「……取り戻す?」
「お前との時間を、だ。最初から私は、お前に真摯に向き合おうとしていなかった。それは間違いなく私の落ち度だ。お前が冷たいなどと言って、勝手にすれ違いを生んだのは私の責任。だから、今度はちゃんと向き合いたい」
その一方的とも取れる言い分に、カーテンリンゼは心が乱れる。確かに、かつての彼女はエドワルドと真剣に言葉を交わしたことなどなかったし、破談のときも淡々と受け止めるだけだった。
(でも、私はもう“公爵夫人”よ。あの人と契約していて、そして……)
視線を落とし、一瞬だけレオポルドの顔が脳裏をよぎる。そのとき、胸がきゅっと締め付けられるような痛みを覚えた。
――私は、あのとき本当に愛を望んでいなかったんだろうか。望むことが怖かっただけじゃないのか? それは今も変わらないのか?
頭の中が混乱しそうになるが、どうにか踏みとどまって顔を上げる。周囲の目を気にしてか、エドワルドは少し声を落とし、優しい瞳を向けてきた。
「……答えを急かすつもりはない。ただ、一度だけでもいいから話をさせてくれ。せめて、お前に対する俺の気持ちが今も変わっていないことを知ってほしい」
――変わっていない? それは“冷淡だからこそ受け入れられない”と捨てたはずの相手に言うセリフなのだろうか。
カーテンリンゼは何も言えず、沈黙してしまう。彼女の視線が落ちたまま動かないのを見て、エドワルドは苦しげに言葉を続けた。
「もし、お前が今の生活に満足していないのなら、俺にできることがあるかもしれない。いや、仮に満足していたとしても……少なくとも、俺は後悔を拭うためにも、お前ともう一度向き合うチャンスが欲しいんだ」
その言葉は、完全に“妻帯者に対する不埒な求愛”に等しい。王太子としてあるまじき行動かもしれないが、彼は構わず口にしている。
(私が満足していない……? そんなはずないわ。あれは契約結婚だけど、私は今、少なくとも不自由は感じていない。でも――)
妙に引っかかるのは、“満足”という言葉。愛を知らなくても、情を否定しても、それでも満足と呼べるのかどうか。最近の自分の心の揺れを思い出すたびに、はっきりとした答えが出せない。
だが、ここで折れてはならない。そう自分に言い聞かせ、カーテンリンゼはできる限りの毅然とした態度をとる。
「殿下、もうおやめください。私はヴァレンシュタイン公爵の妻です。私のことなどどうでもいい、とかつて仰ったのは殿下ご自身。それを今さら……。どうしてそこまで無神経になれるのです?」
言葉がやや強くなったのは、動揺を隠すためだ。エドワルドは苦しそうに眉を寄せ、「……それはわかっている。自分が身勝手だということくらい、わかっているんだ」と呟く。
「だけど、どうしようもないんだよ。忘れられるなら、とっくに忘れていただろう。お前のことを知れば知るほど、手放したのが惜しくなるんだ。――勝手だというなら、勝手と罵ってくれて構わない。俺はもう、正直に言うほかないんだ」
周囲からの視線がさらに強く注がれる。言葉は大きくないが、二人のやりとりを耳にしようと人々が近寄っているのがわかる。
「これ以上は……」
カーテンリンゼは口を閉じ、頭を振る。もしこの場でエドワルドを厳しく拒絶すれば、今度はそれが新たなスキャンダルを生むだろう。王太子を公然と拒否した公爵夫人――その噂はより一層大きな波紋を呼ぶに違いない。
(どうすればいいの……?)
思考が混乱しかけた瞬間、ふいに強い腕が彼女の肩を引いた。
「お前、相変わらずしつこいな。人の妻に手を出すとは、王太子としての品位が疑われるぞ」
低く、しかしはっきりとした声音。カーテンリンゼの体が支えられ、振り返るとそこにはレオポルド公爵の姿があった。レオポルドは険しい表情をしており、その灰色の瞳は怒りの色を帯びている。
「レオポルド……!」
エドワルドが身構え、顔をこわばらせる。レオポルドは一瞥で周囲を睥睨し、続けて言葉を放った。
「公の場で、うちの夫人にみだりに声をかけるのは構わんが、あまり失礼な真似を続けるなら、私も容赦しない。――王族だからといって、特別扱いするつもりはないぞ」
その宣言に、周囲の貴族たちが息をのむのがわかる。普通なら“王太子に対して失礼すぎる”と批判されかねない言葉だが、レオポルドの軍での実績と名声、そして王国の安定に大きく貢献している地位を考えれば、容易に咎めることはできない。
エドワルドの表情が悔しげにゆがむ。彼は一度視線を下げ、苦々しそうに吐き捨てた。
「……そうか。レオポルド、お前は俺が恐れなかった冷たさを持っているようだな。だが……。カーテンリンゼ、もしお前の心が少しでも揺れているなら、いつでも話に来てくれ。俺は待っている」
そう言い残し、彼は踵を返してその場を立ち去った。
(心が、揺れている……?)
まるでエドワルドに見透かされたようなその言葉が、胸の奥を掻き乱す。カーテンリンゼは何も言えずにその背中を見送り、レオポルドの腕の中にいる自分に気づいてハッとする。周囲の視線が痛いほどに注がれ、特に貴婦人たちは嫌でも二人の“密着”を目撃しているだろう。
「レオポルド……ありがとうございます」
かろうじてそう伝えると、彼は肩に回していた手をそっと離し、低くうなずいた。
そのまま二人は人目を避けるように、会場の端へと移動する。やがて、壁際の飾り彫刻の陰に隠れるようにして落ち着いたとき、ようやくカーテンリンゼは落ち着きを取り戻し始めた。
「助けてくれて、感謝します。あのまま話を続けていたら、私……何を言うべきかもわからなくて……」
正直に言葉を吐き出すと、レオポルドは短く息をついて返す。
「当然だ。夫の役目だからな。しかし……」
そこまで言いかけて、彼は言葉を切る。灰色の瞳に何か熱を宿したようにカーテンリンゼを見つめるが、その真意は読み取りづらい。
「……いや、やはりやめておこう。今はまだ、お前に余計な負担をかけたくない」
そう言ってレオポルドは視線を逸らし、再び硬質な表情に戻る。その仕草が、カーテンリンゼの胸に小さな痛みをもたらす。まるで彼もまた、何かを言いかけて飲み込んだように感じられたからだ。
「……わかりました」
それ以上は問い詰めない。彼が話したくないのなら、それを尊重するのが契約結婚の流儀でもある。そう頭では理解していても、胸の奥にはかすかな寂しさが広がっていくのを感じてしまう。
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