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9-1 SP同行で未来げんなり → しかも旅館隣室に隼人
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9-1 SP同行で未来げんなり → しかも旅館隣室に隼人
季節は秋。朝の空気は少し肌寒く、しかし高揚感に満ちていた。
――そう、“修学旅行”の出発当日である。
駅前には大きな荷物を抱えた生徒たちが集まり、
誰もが目を輝かせ、声を弾ませながら旅への期待を語っていた。
「京都! 楽しみすぎるー! 抹茶スイーツ絶対食べたい!」
「夜の枕投げ、絶対開催な!」
「先生にバレたら中止になるからな、黙ってろ!」
騒がしいやりとりの中で、未来はというと――
「……はぁ」
盛大にため息をついていた。
理由はもちろん、目の前に並ぶ異様な一団――
セーラー服を着た二人の“大人女子”、真子と倉子、そう、SPである。
「未来様、本日はお気をつけて。車内では貴重品管理にご注意ください」
「お嬢様、車内販売のアイスクリームは溶けやすいので注意が必要です」
「ちょっと待って、どんな情報共有してんの!? アイスの溶解具合とかSPの仕事じゃないでしょ!?」
周囲の生徒たちはもう見慣れた光景なのか、逆にスルーしている。
(麻痺してる……完全にこの状況が“日常”として受け入れられてる……!)
だが未来にとっては、ただただ恥ずかしいだけだった。
(どうして“修学旅行”っていう青春イベントに、SPが付き添ってくるの……)
新幹線の車内。未来は由香と並んで座っていた。
「……でさ、未来」
「なに?」
「“旦那様”はついてきてないよね?」
「さすがにそれはないよ! 修学旅行だよ!? 学校行事だよ!? 非公式の“家族旅行”じゃないよ!?」
「でもさぁ~……あなたの旦那様なら、“ご心配で”って普通にやりそうじゃない?」
「絶対ないから!」
そのときの未来は、本気でそう思っていたのだ。
少なくとも、この時点では――。
その日の夕方、京都の老舗旅館に到着した一行は、割り当てられた部屋に荷物を置き、一息ついていた。
「おお、畳の香り~! 旅館って感じ!」
「布団敷いてある! ベッドじゃない! テンション上がる~!」
そして未来もまた、仲良しの由香と同室でほっとしていた。
「ふぅ……やっと人の目を気にせずにいられる……」
SPは一応“生徒として”別部屋に配置されているが、もちろん隣室である。
すでに旅行開始から数時間。気疲れがハンパなかった。
しかし、その平穏も長くは続かなかった。
夕食後、温泉を堪能して部屋に戻ると、真子がそっと耳打ちしてくる。
「未来様、少々……お伝えしたいことがございます」
「……なに? 怖いんだけど」
「ご安心を。重大な危険ではありません。ただ――隣室に“旦那様”が宿泊されています」
「……は?」
聞き間違いかと思った。
でも真子は、真顔で、うなずいた。
「隼人様より、“未来の様子を見に来る”との連絡があり、旅館側と交渉の末、特別に同じフロアへ」
「いやいやいやいや!? なんでいるの!? 修学旅行って分かってたよね!? そもそも学校行事に社長がついてくるってどういう――!?」
「“夫なので”とのことでした」
「夫なので!?」
未来はその場で崩れ落ちた。
「どこまでついてくる気なの……」
「ご心配でしたら、お部屋にご案内いたしましょうか?」
「行かない!! 逆に行かない!! ていうか顔合わせるのも恥ずかしいんだけど!!」
だが――その直後。
コンコン、と部屋のふすまが静かにノックされた。
未来の背筋が凍る。
(まさか……このタイミングで来る!?)
ガラリとふすまを開けると――そこには、浴衣姿の隼人がいた。
「……こんばんは、未来」
「うわあああぁぁっっ!! ほんとに来てたぁぁああっっ!!」
未来は部屋の奥に転がるように逃げ戻る。
布団に顔を埋めたまま、もぞもぞと呻いた。
「無理無理無理無理無理……」
「少しだけ、顔を見に来ただけだよ」
「絶対うそだ……泊まる気まんまんの顔してた……」
隼人は遠慮がちに部屋の中へ入り、正座してにこやかに言った。
「君が無事か、心配だったから」
「嘘つけバカ……!」
そう呟いた未来の顔は、怒っているようでいて、真っ赤だった。
一方その頃、部屋の外――
倉子は廊下に正座しながら、ぼそりと呟いた。
「まさか……“社長が夫だから同室にしてくれ”なんて交渉を真顔でするとは……」
旅館スタッフ「いえ……最初、ドラマかと思いました」
季節は秋。朝の空気は少し肌寒く、しかし高揚感に満ちていた。
――そう、“修学旅行”の出発当日である。
駅前には大きな荷物を抱えた生徒たちが集まり、
誰もが目を輝かせ、声を弾ませながら旅への期待を語っていた。
「京都! 楽しみすぎるー! 抹茶スイーツ絶対食べたい!」
「夜の枕投げ、絶対開催な!」
「先生にバレたら中止になるからな、黙ってろ!」
騒がしいやりとりの中で、未来はというと――
「……はぁ」
盛大にため息をついていた。
理由はもちろん、目の前に並ぶ異様な一団――
セーラー服を着た二人の“大人女子”、真子と倉子、そう、SPである。
「未来様、本日はお気をつけて。車内では貴重品管理にご注意ください」
「お嬢様、車内販売のアイスクリームは溶けやすいので注意が必要です」
「ちょっと待って、どんな情報共有してんの!? アイスの溶解具合とかSPの仕事じゃないでしょ!?」
周囲の生徒たちはもう見慣れた光景なのか、逆にスルーしている。
(麻痺してる……完全にこの状況が“日常”として受け入れられてる……!)
だが未来にとっては、ただただ恥ずかしいだけだった。
(どうして“修学旅行”っていう青春イベントに、SPが付き添ってくるの……)
新幹線の車内。未来は由香と並んで座っていた。
「……でさ、未来」
「なに?」
「“旦那様”はついてきてないよね?」
「さすがにそれはないよ! 修学旅行だよ!? 学校行事だよ!? 非公式の“家族旅行”じゃないよ!?」
「でもさぁ~……あなたの旦那様なら、“ご心配で”って普通にやりそうじゃない?」
「絶対ないから!」
そのときの未来は、本気でそう思っていたのだ。
少なくとも、この時点では――。
その日の夕方、京都の老舗旅館に到着した一行は、割り当てられた部屋に荷物を置き、一息ついていた。
「おお、畳の香り~! 旅館って感じ!」
「布団敷いてある! ベッドじゃない! テンション上がる~!」
そして未来もまた、仲良しの由香と同室でほっとしていた。
「ふぅ……やっと人の目を気にせずにいられる……」
SPは一応“生徒として”別部屋に配置されているが、もちろん隣室である。
すでに旅行開始から数時間。気疲れがハンパなかった。
しかし、その平穏も長くは続かなかった。
夕食後、温泉を堪能して部屋に戻ると、真子がそっと耳打ちしてくる。
「未来様、少々……お伝えしたいことがございます」
「……なに? 怖いんだけど」
「ご安心を。重大な危険ではありません。ただ――隣室に“旦那様”が宿泊されています」
「……は?」
聞き間違いかと思った。
でも真子は、真顔で、うなずいた。
「隼人様より、“未来の様子を見に来る”との連絡があり、旅館側と交渉の末、特別に同じフロアへ」
「いやいやいやいや!? なんでいるの!? 修学旅行って分かってたよね!? そもそも学校行事に社長がついてくるってどういう――!?」
「“夫なので”とのことでした」
「夫なので!?」
未来はその場で崩れ落ちた。
「どこまでついてくる気なの……」
「ご心配でしたら、お部屋にご案内いたしましょうか?」
「行かない!! 逆に行かない!! ていうか顔合わせるのも恥ずかしいんだけど!!」
だが――その直後。
コンコン、と部屋のふすまが静かにノックされた。
未来の背筋が凍る。
(まさか……このタイミングで来る!?)
ガラリとふすまを開けると――そこには、浴衣姿の隼人がいた。
「……こんばんは、未来」
「うわあああぁぁっっ!! ほんとに来てたぁぁああっっ!!」
未来は部屋の奥に転がるように逃げ戻る。
布団に顔を埋めたまま、もぞもぞと呻いた。
「無理無理無理無理無理……」
「少しだけ、顔を見に来ただけだよ」
「絶対うそだ……泊まる気まんまんの顔してた……」
隼人は遠慮がちに部屋の中へ入り、正座してにこやかに言った。
「君が無事か、心配だったから」
「嘘つけバカ……!」
そう呟いた未来の顔は、怒っているようでいて、真っ赤だった。
一方その頃、部屋の外――
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