16 / 25
4-4 第一王子失脚
しおりを挟む
4-4 第一王子失脚
曙光が王宮の尖塔の縁を朱に染めた頃、城内の梟時計が六度鳴った。
昨夜の決闘の余韻がまだ石畳に残る中枢回廊を、近衛楽隊のファンファーレが切り裂く――即位五十年目の老王が、緊急詔勅を布告する合図である。
玉座の間には、半刻前から上級貴族と枢密院議員が列座していた。廊下には朝露に濡れた鎧の匂い、そして誰も口に出さぬ不安の鉄臭さ。
正面の大扉が開き、国王フリードリヒ三世が杖を携えて進み出る。枯れ枝のように細くなったが、その瞳だけは一国を照らす灯火を失っていない。
王の左手に寄り添うのは第二王子ヴィクトール。右には、まだ拘束鎖を解かれぬ第一王子レオンハルトが並ばされていた。継承衣の白は、夜を徹した取調べの汗で灰色に沈んでいる。
老王は、玉座の階下で膝をついた二人を見下ろし、高らかに告げた。
「朕は王国法第七十三条、王胤資格査定条項に基づき、第一王子レオンハルト・イグレインを王位継承権より除外し、国外追放とする。領地および全私兵権限は即刻、王立騎士隊に帰属させる――」
大理石の床が揺れたかと思うほどのざわめき。ロルテ侯を筆頭に第一王子派の貴族は蒼褪め、膝を折り重ねて嘆願せんとする。だが王は杖を一突きし、「異議、却下」の二文字で silence を押しつぶした。
詔勅書は赤い綬で封じられ、近衛二名がレオンハルトの眼前へ差し出す。そこには彼の花押が傲然と残る簿冊の影も、もはやない。
レオンハルトは観念したように瞼を伏せた。が、瞳の奥に残る熾火はまだ消えていない。鎖が引かれ、彼は立ち上がると弟を振り返る。
「――力なき王など、王ではないぞ」
「王は民を映す鏡です。割れた鏡では誰も姿を整えられない」
ヴィクトールは静かに応えた。その声は徹夜の疲弊も、兄への私情も、すべて氷点下に沈めた刀身のようだった。
◆ ◆ ◆
正午過ぎ、王命を帯びた護衛隊がレオンハルトを連行し、南門から郊外の修道領へ向かう馬車へと乗せた。王子は最後まで城壁を睨み据えたが、天守の標(しるべ)は雲に隠れ、二度と姿を見せなかった。
それを遠目に見届けたクラリッサ・フィオレッタは、胸に手を当てて目を伏せた。婚約は詔勅と同時に白紙に戻り、フィオレッタ家は自主的に宮廷謹慎を願い出た。美貌を讃えられた唇は血の気を失い、それでも彼女は一歩庭へ踏み出す。
そこにリュシアーナが佇んでいた。翡翠のドレスに朝靄を含んだ亜麻の髪。互いに言葉を探すが、語は不要だった。クラリッサが静かに膝を折り、真珠の涙を一粒こぼした。
「……ありがとう」
それだけを震える声で告げると、リュシアーナはそっと手を差し伸べた。
「慈善事業には、仲間が多いほど良いわ。孤児院の拡充――あなたの経験と社交力を貸してくれますか?」
クラリッサは驚きながらも紅く泣き腫らした瞳を上げ、かすかに笑んだ。
「ええ、ぜひ。わたくしも……未来を映す鏡が欲しいの」
二人の指先が触れ合い、かつての敵対関係が静かに瓦解した瞬間、庭園のアーモンドが早咲きの薄桃をこぼした。
◆ ◆ ◆
その夜。戴冠前の第二王子派による小宴が、北翼の離宮食堂で開かれた。
老宰相カルロス、護憲院議員、王立騎士隊幹部――そしてエステル伯爵家の面々。
長卓の端でリュシアーナは席を外し、バルコニーへ出た。
夜風が黒絹の幕のように広がり、遠く王都の灯が星座のように瞬く。自分が暴いた数字の炎が、街の空気を少し温めたのかもしれない。
その背後で扉が開く気配。振り返ると、ヴィクトールがワイングラスを片手に立っている。
「兄上が去ったいま、王国は外見こそ静かだが、内は荒野だ。共に耕してくれるか」
「もちろん。ですが耕すだけでは花畑にはなりません。種を蒔きましょう。学舎と図書館、そして子どもたちの未来に」
彼は微笑み、グラスを掲げた。
「では、王国の再生に――いや、我ら二人の新しい王国に」
リュシアーナもグラスを合わせ、小さな澄んだ音が夜空へ吸い込まれた。
乾杯のあとの沈黙。ヴィクトールは懐から細い箱を取り出す。蓋を開けると、純白のプラチナリングが月光を宿す。
「まだ正式な戴冠は先だ。だが、その前に私がただの男として君を望む。――リュシアーナ、エステル家の名を超え、王妃でなく“伴侶”になってくれ」
彼女の喉が震える。再び数字で逃げ道を探す癖が顔を出したが、心は驚くほど静かだった。
「伴侶には責務が伴いますわ。重荷を背負う覚悟は、おありで?」
「重荷は分け合うものだと、君が教えてくれた」
リュシアーナは小さく息を吐き、それから人差し指で指輪を触れた。
「……なら、共に背負いましょう。王冠より重い民の未来を」
リングは彼女の薬指にはまり、月光の銀河が脈を打つ。
◆ ◆ ◆
翌朝、王都の街角には号外が躍った。
《第一王子、国外追放――第二王子ヴィクトール殿下が王太子に即位》
《エステル伯爵令嬢、王太子妃候補へ》
見出しを読む市民は驚きの口笛を吹き、その隣でパン職人は「これで小麦の税が下がるかも」と笑った。
噂は嘲笑から歓喜へ、そして期待へ変じる。
叛逆の乙女が放った真理の炎は、王都の灰を払い、民衆の胸に灯を移した。
――失脚の詔勅は終焉ではなく序章。
王国は瓦礫の上に新しい礎を据え、人々は遠く春の香りを嗅ぎ取る。
その中心でリュシアーナは静かに微笑んだ。数字と剣と真実を携えた“静かな狂嵐”は、もはや誰にも止められない。
物語は次章へ――王太子戴冠式と、王妃への道程。
けれど今日だけは、長い闇を抜けた者たちが夜の静けさを味わい、胸に芽吹いた未来の薔薇の匂いを確かめるひとときだった。
曙光が王宮の尖塔の縁を朱に染めた頃、城内の梟時計が六度鳴った。
昨夜の決闘の余韻がまだ石畳に残る中枢回廊を、近衛楽隊のファンファーレが切り裂く――即位五十年目の老王が、緊急詔勅を布告する合図である。
玉座の間には、半刻前から上級貴族と枢密院議員が列座していた。廊下には朝露に濡れた鎧の匂い、そして誰も口に出さぬ不安の鉄臭さ。
正面の大扉が開き、国王フリードリヒ三世が杖を携えて進み出る。枯れ枝のように細くなったが、その瞳だけは一国を照らす灯火を失っていない。
王の左手に寄り添うのは第二王子ヴィクトール。右には、まだ拘束鎖を解かれぬ第一王子レオンハルトが並ばされていた。継承衣の白は、夜を徹した取調べの汗で灰色に沈んでいる。
老王は、玉座の階下で膝をついた二人を見下ろし、高らかに告げた。
「朕は王国法第七十三条、王胤資格査定条項に基づき、第一王子レオンハルト・イグレインを王位継承権より除外し、国外追放とする。領地および全私兵権限は即刻、王立騎士隊に帰属させる――」
大理石の床が揺れたかと思うほどのざわめき。ロルテ侯を筆頭に第一王子派の貴族は蒼褪め、膝を折り重ねて嘆願せんとする。だが王は杖を一突きし、「異議、却下」の二文字で silence を押しつぶした。
詔勅書は赤い綬で封じられ、近衛二名がレオンハルトの眼前へ差し出す。そこには彼の花押が傲然と残る簿冊の影も、もはやない。
レオンハルトは観念したように瞼を伏せた。が、瞳の奥に残る熾火はまだ消えていない。鎖が引かれ、彼は立ち上がると弟を振り返る。
「――力なき王など、王ではないぞ」
「王は民を映す鏡です。割れた鏡では誰も姿を整えられない」
ヴィクトールは静かに応えた。その声は徹夜の疲弊も、兄への私情も、すべて氷点下に沈めた刀身のようだった。
◆ ◆ ◆
正午過ぎ、王命を帯びた護衛隊がレオンハルトを連行し、南門から郊外の修道領へ向かう馬車へと乗せた。王子は最後まで城壁を睨み据えたが、天守の標(しるべ)は雲に隠れ、二度と姿を見せなかった。
それを遠目に見届けたクラリッサ・フィオレッタは、胸に手を当てて目を伏せた。婚約は詔勅と同時に白紙に戻り、フィオレッタ家は自主的に宮廷謹慎を願い出た。美貌を讃えられた唇は血の気を失い、それでも彼女は一歩庭へ踏み出す。
そこにリュシアーナが佇んでいた。翡翠のドレスに朝靄を含んだ亜麻の髪。互いに言葉を探すが、語は不要だった。クラリッサが静かに膝を折り、真珠の涙を一粒こぼした。
「……ありがとう」
それだけを震える声で告げると、リュシアーナはそっと手を差し伸べた。
「慈善事業には、仲間が多いほど良いわ。孤児院の拡充――あなたの経験と社交力を貸してくれますか?」
クラリッサは驚きながらも紅く泣き腫らした瞳を上げ、かすかに笑んだ。
「ええ、ぜひ。わたくしも……未来を映す鏡が欲しいの」
二人の指先が触れ合い、かつての敵対関係が静かに瓦解した瞬間、庭園のアーモンドが早咲きの薄桃をこぼした。
◆ ◆ ◆
その夜。戴冠前の第二王子派による小宴が、北翼の離宮食堂で開かれた。
老宰相カルロス、護憲院議員、王立騎士隊幹部――そしてエステル伯爵家の面々。
長卓の端でリュシアーナは席を外し、バルコニーへ出た。
夜風が黒絹の幕のように広がり、遠く王都の灯が星座のように瞬く。自分が暴いた数字の炎が、街の空気を少し温めたのかもしれない。
その背後で扉が開く気配。振り返ると、ヴィクトールがワイングラスを片手に立っている。
「兄上が去ったいま、王国は外見こそ静かだが、内は荒野だ。共に耕してくれるか」
「もちろん。ですが耕すだけでは花畑にはなりません。種を蒔きましょう。学舎と図書館、そして子どもたちの未来に」
彼は微笑み、グラスを掲げた。
「では、王国の再生に――いや、我ら二人の新しい王国に」
リュシアーナもグラスを合わせ、小さな澄んだ音が夜空へ吸い込まれた。
乾杯のあとの沈黙。ヴィクトールは懐から細い箱を取り出す。蓋を開けると、純白のプラチナリングが月光を宿す。
「まだ正式な戴冠は先だ。だが、その前に私がただの男として君を望む。――リュシアーナ、エステル家の名を超え、王妃でなく“伴侶”になってくれ」
彼女の喉が震える。再び数字で逃げ道を探す癖が顔を出したが、心は驚くほど静かだった。
「伴侶には責務が伴いますわ。重荷を背負う覚悟は、おありで?」
「重荷は分け合うものだと、君が教えてくれた」
リュシアーナは小さく息を吐き、それから人差し指で指輪を触れた。
「……なら、共に背負いましょう。王冠より重い民の未来を」
リングは彼女の薬指にはまり、月光の銀河が脈を打つ。
◆ ◆ ◆
翌朝、王都の街角には号外が躍った。
《第一王子、国外追放――第二王子ヴィクトール殿下が王太子に即位》
《エステル伯爵令嬢、王太子妃候補へ》
見出しを読む市民は驚きの口笛を吹き、その隣でパン職人は「これで小麦の税が下がるかも」と笑った。
噂は嘲笑から歓喜へ、そして期待へ変じる。
叛逆の乙女が放った真理の炎は、王都の灰を払い、民衆の胸に灯を移した。
――失脚の詔勅は終焉ではなく序章。
王国は瓦礫の上に新しい礎を据え、人々は遠く春の香りを嗅ぎ取る。
その中心でリュシアーナは静かに微笑んだ。数字と剣と真実を携えた“静かな狂嵐”は、もはや誰にも止められない。
物語は次章へ――王太子戴冠式と、王妃への道程。
けれど今日だけは、長い闇を抜けた者たちが夜の静けさを味わい、胸に芽吹いた未来の薔薇の匂いを確かめるひとときだった。
0
あなたにおすすめの小説
『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』
放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」
王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。
しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!?
「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!)
怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
婚約破棄されました(効率の悪い労働でした) ― 働いてない? 舞踏会は、充分重労働ですわ! ―
ふわふわ
恋愛
「働いていない?――いいえ、舞踏会も社交も重労働ですわ!」
前世で“働きすぎて壊れた”記憶を持ったまま、
異世界の公爵令嬢ルナ・ルクスとして転生したヒロイン。
生まれながらにして働く必要のない身分。
理想のスローライフが始まる――はずだった。
しかし現実は、
舞踏会、社交、芸術鑑賞、気配り、微笑み、評価、期待。
貴族社会は、想像以上の超・ブラック企業だった。
「ノブレス・オブリージュ?
それ、長時間無償労働の言い換えですわよね?」
働かないために、あえて“何もしない”を選ぶルナ。
倹約を拒み、金を回し、
孤児院さえも「未来への投資」と割り切って運営する。
やがて王都は混乱し、
なぜか彼女の領地だけが安定していく――。
称賛され、基準にされ、
善意を押し付けられ、
正義を振りかざされ、
人格まで語られる。
それでもルナは、動かない。
「期待されなくなった瞬間が、いちばん自由ですわ」
誰とも戦わず、誰も論破せず、
ただ“巻き込まれない”ことを貫いた先に待つのは、
何も起きない、静かで満たされた日常。
これは――
世界を救わない。
誰かに尽くさない。
それでも確かに幸せな、
働かない公爵令嬢の勝利の物語。
「何も起きない毎日こそ、私が選び取った結末ですわ」
〘完結〛婚約破棄?まあ!御冗談がお上手なんですね!
桜井ことり
恋愛
「何度言ったら分かるのだ!アテルイ・アークライト!貴様との婚約は、正式に、完全に、破棄されたのだ!」
「……今、婚約破棄と、確かにおっしゃいましたな?王太子殿下」
その声には、念を押すような強い響きがあった。
「そうだ!婚約破棄だ!何か文句でもあるのか、バルフォア侯爵!」
アルフォンスは、自分に反抗的な貴族の筆頭からの問いかけに、苛立ちを隠さずに答える。
しかし、侯爵が返した言葉は、アルフォンスの予想を遥かに超えるものだった。
「いいえ、文句などございません。むしろ、感謝したいくらいでございます。――では、アテルイ嬢と、この私が婚約しても良い、とのことですかな?」
「なっ……!?」
アルフォンスが言葉を失う。
それだけではなかった。バルフォア侯爵の言葉を皮切りに、堰を切ったように他の貴族たちが次々と声を上げたのだ。
「お待ちください、侯爵!アテルイ様ほどの淑女を、貴方のような年寄りに任せてはおけませんな!」
「その通り!アテルイ様の隣に立つべきは、我が騎士団の誉れ、このグレイフォード伯爵である!」
「財力で言えば、我がオズワルド子爵家が一番です!アテルイ様、どうか私に清き一票を!」
あっという間に、会場はアテルイへの公開プロポーズの場へと変貌していた。
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
婚約破棄された公爵令嬢と、処方箋を無視する天才薬師 ――正しい医療は、二人で始めます
ふわふわ
恋愛
「その医療は、本当に正しいと言えますか?」
医療体制への疑問を口にしたことで、
公爵令嬢ミーシャ・ゲートは、
医会の頂点に立つ婚約者ウッド・マウント公爵から
一方的に婚約を破棄される。
――素人の戯言。
――体制批判は不敬。
そう断じられ、
“医療を否定した危険な令嬢”として社交界からも排斥されたミーシャは、
それでも引かなかった。
ならば私は、正しい医療を制度として作る。
一方その頃、国営薬局に現れた謎の新人薬師・ギ・メイ。
彼女は転生者であり、前世の知識を持つ薬師だった。
画一的な万能薬が当然とされる現場で、
彼女は処方箋に書かれたわずかな情報から、
最適な調剤を次々と生み出していく。
「決められた万能薬を使わず、
問題が起きたら、どうするつもりだ?」
そう問われても、彼女は即答する。
「私、失敗しませんから」
(……一度言ってみたかったのよね。このドラマの台詞)
結果は明らかだった。
患者は回復し、評判は広がる。
だが――
制度は、個人の“正
制度を変えようとする令嬢。
現場で結果を出し続ける薬師。
医師、薬局、医会、王宮。
それぞれの立場と正義が衝突する中、
医療改革はやがて「裁き」の局面へと進んでいく。
これは、
転生者の知識で無双するだけでは終わらない医療改革ファンタジー。
正しさとは何か。
責任は誰が負うべきか。
最後に裁かれるのは――
人か、制度か。
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ
鍛高譚
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢 ロザリー・フォン・アーデン は、王太子 エドワード・カミル・レグノード の婚約者として誰もが認める完璧な貴族令嬢だった。
しかしある日、王太子は突如 “聖女” を名乗る平民の少女 セシリア・ブランシュ に夢中になり、ロザリーに無情な婚約破棄を言い渡す。
「これは神の導きだ! 私の本当の運命の相手はセシリアなんだ!」
「ロザリー様、あなたは王太子妃にふさわしくありませんわ」
──ふたりの言葉を前に、ロザリーは静かに微笑んだ。
「……そうですか。では、私も自由に生きさせていただきますわね?」
だが、これがロザリーの “ざまぁ” 逆転劇の幕開けだった!
神託と称して王太子を操る “聖女” の正体は、なんと偽者!?
さらに王室財政を私物化する 汚職貴族との黒い繋がり も発覚!?
次々と暴かれる陰謀の数々に、王宮は大混乱。
そして、すべての証拠が王の手に渡ったとき──王太子 エドワードは王太子の地位を剥奪され、偽の聖女と共に国外追放 となる!
「ロザリー様を捨てた王太子は大馬鹿者だ!」
「やっぱり王妃にふさわしかったのはロザリー様だったのよ!」
社交界ではロザリーへの称賛が止まらない。
そしてそんな彼女のもとに、なんと隣国の 若き王クラウス・アレクサンドル から正式な求婚が──!?
「私はあなたの聡明さと誇り高き心に惹かれました。私の王妃になっていただけませんか?」
かつての婚約破棄が嘘のように、今度は 本物の愛と自由を手にするチャンス が巡ってくる。
しかし、ロザリーはすぐに頷かない。
「私はもう、誰かに振り回されるだけの人生は選びません」
王妃となる道を選ぶのか、それとも公爵家の令嬢として新たな未来を切り開くのか──?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる