婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します

鍛高譚

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第2章:伯爵家での日々と広がる噂

16話

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宮廷からの手紙

翌朝、まだわたしが朝食前に部屋で書類を読み込んでいると、メイドが慌てた様子でやってきました。どうやら宮廷からの手紙が届いたようです。
わたしは「まさか……」と胸がざわつきました。婚約破棄をした当の王太子殿下から、今さら何か言ってくるのでしょうか。あるいは、王家から伯爵家に対して正式な通達が来たのかもしれません。緊張しながら手紙を受け取ると、差出人は「宮廷の事務局」となっていました。

文面を読んでみると、そこには「エドワード殿下とレイラ嬢の交際について、王宮から正式に公表する」という内容が記されていました。さらに、近々行われる舞踏会で、改めて二人の婚約を“内定”として発表する予定があるというのです。
わたしは思わず息を呑みました。やはり、殿下はわたしと破棄したあと、すぐにレイラ嬢との婚約を進めるつもりなのでしょう。わたしはもう関係ない身ですが、こうしてわざわざ報告が来るということは、「以前の婚約者であるわたしにも知っておいてほしい」という表向きの配慮かもしれません。あるいは、伯爵家に対して「余計な口出しはするな」という牽制の意味もあるのかもしれません。

わたしの胸の奥には、再びチクリとした痛みが走りました。
しかし、前ほどの激しい怒りや悲しみは湧きません。どこか冷めた気持ちで「そう……もうわたしには関係ないわ」と思えたのです。むしろ「やはりそうなったか」という諦めにも似た感情が近いかもしれません。
わたしは深呼吸をしてから手紙を折り畳み、机の引き出しにしまいました。こんなものを見つめていても、心が乱されるだけです。

「大丈夫。わたしには、もう王太子妃としての道はない。だから、わたしはわたしのやるべきことをやるだけ。」

そう自分に言い聞かせるようにつぶやきました。
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