婚約破棄された伯爵令嬢ですが、国の経済を掌握しました

鍛高譚

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第1章 転生の先で出会う“異世界経済”

7話

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ロッシュ両替店

 大通りを進むと、商人が往来する広々としたエリアに出た。そこには“ロッシュ両替店”という大きな看板が掲げられた石造りの建物があった。
 扉を開けて中に入ると、そこはカウンターが設けられており、奥には計数器や秤が見える。壁には今日の“為替レート”らしきものが貼り出されていた。王国金貨と帝国銀貨、そしてこの地域で流通しているという“公爵領銅貨”の三種を換算したレート表である。

 「……為替レートがある、ってことは、国ごとに通貨価値が違うのね。」
 わたしは思わずニヤリとする。ここに大きなビジネスチャンスがある。前世で培ったFXの知識を活かせるかもしれない。

 両替店の店主らしき中年の男が、わたしたちに気づいて会釈する。
 「いらっしゃいませ。両替をご利用ですか?」
 「ええ、少し話を伺いたいんです。ここでは、どんな通貨の両替を扱っていますか?」
 わたしが尋ねると、店主は「王国金貨、帝国銀貨、それに同盟都市の銅貨などですね」と答えた。

 聞けば、王国金貨は他国と比べて信用が高いが、帝国銀貨は軍事力を背景に一定の需要があるらしい。公爵領銅貨はあまり信用がないようで、レートも安い。
 「でも、公爵領が大規模に採掘している鉱石が豊富で、そこから得られる収益で銅貨の価値が変動することがあるんですよ。」
 店主がポロリとこぼす。そこでわたしはビクッと反応する。
 「鉱石の採掘量や輸出量が上がれば、銅貨の実質価値が上がる……つまり、それを見越して銅貨を買い込んでおけば、後で売ることで利益が出るかもしれないわね。」
 「えっ……そ、そうですな。まあ、そんな投機じみたことをする人は、あまりいませんが……」

 店主は怪訝な顔をしたが、わたしは“ニコッ”と笑う。そして、財布の中にあった数枚の金貨を取り出し、一部を銀貨や銅貨に両替してみる。もちろん、まだ大きな金額ではない。試しにレートを確認するだけだ。
 「ありがとうございます。また来ますね。」
 そう言って店を出ると、クロードが不思議そうに首を傾げる。
 「お嬢様、何ゆえ両替など……?」
 「ちょっと興味があるのよ。国によって通貨の価値が違うのが面白いと思って。」

 護衛の兵士たちも、「貴族の娘が両替なんて……」という視線を向けてくるが、わたしは気にしない。むしろ、こういう地道な調査こそ、前世でわたしがずっとやってきたことだ。国際ニュースや政治的な動向、企業の業績など、あらゆる情報を元に為替レートを予想していたあの頃。ここでも同じことができるかもしれない。
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