婚約破棄された伯爵令嬢ですが、国の経済を掌握しました

鍛高譚

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第1章 転生の先で出会う“異世界経済”

12話

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 ただの伯爵令嬢”として

 それから数日、わたしは伯爵家の“ただの娘”として過ごしつつも、裏では自分の計画を少しずつ進めていった。両替所で調べたレートをメモし、貴族同士の噂話から国同士の関係を探り、貿易商会の動向も調べた。
 この国にはいくつかの大手商会があり、王国公認の“王立商会”などは国の輸出入を事実上束ねている。しかし、その仕組みはまだまだ杜撰に見える。競合も少なく、腐敗や賄賂が蔓延している可能性が高い。逆に言えば、そこに付け入る隙がある。

 「……パートナーさえ見つかれば、わたしは大きく動けるかもしれない。」
 けれど、現状ではわたしはただの伯爵令嬢。資金力も、まだ家から支給される小遣いと、自分が密かに運用している資金だけだ。大規模に動かすには足りない。

 「まずは、少しずつ増やしていく。それが王道よね。」
 前世で学んだ手法を思い出しながら、わたしは自分の投資計画をじわりじわりと進める。金貨と銀貨を裁定取引するだけでも、そこそこの利益は出る。問題は、それをどう安全に回収し拡大していくかだ。

 わたしの両親は、わたしがそんなことをしているとは夢にも思っていない。彼らにとって、わたしは“ちょっと変わった娘”かもしれないが、それでも舞踏会に行けばどこかの貴族の元へ嫁ぐものだと思っているのだろう。

 「お前、せっかく顔がいいんだ。良家の令息と顔をつないでこい!」
 という父の言葉を思い出し、わたしは苦笑する。たしかにサラ・レティシアの容姿は悪くない。前世のわたしよりも、いわゆる美少女に近いかもしれない。
 でも、その容姿を使って上位貴族を釣ろうなんて気はない。彼らが結局求めるのは、同等かそれ以上の家格や爵位。伯爵令嬢など、所詮“格下”扱いされるだけ。

 「だったら、こっちから願い下げよ。どうせ奴らは経済の『け』の字も知らない連中でしょうし。」

 そう呟いて、一人きりの部屋でわたしはほくそ笑む。いつか彼らが自分の地位や爵位を振りかざしてきても、わたしは“お金”で返り討ちにしてやる。資本主義――いや、この世界における経済支配の力がどれだけ強いものか、彼らに思い知らせてやりたい。
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