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第4章 影の女帝、経済の頂点に至る
41話
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最終交渉――“協調銀行”か、“帝国支配”か
会合再開、帝国特使の最終要求
翌朝、再び王宮の会議室に集まった面々は、サラの提案を軸にした「王立銀行&SFC&貴族連合」と「帝国公認銀行」の協調体制をめぐって最後の交渉に臨む。
リューベルト特使は、帝国としてもメリットがあるなら妥協し得ると示唆しつつも、帝国銀貨の流通を制限しないこと、帝国が一定の“優先権”を得ることなどを条件に挙げる。
王太子や公爵派、貴族らがそれを聞きながら「妥当かどうか」を激しく議論する。
そして、ついにリューベルト特使は切り札を放つ。
「もし合意できないなら――帝国は“この国への軍事的圧力”さえ辞さない。王国が帝国銀貨の流通を妨げるなら、帝国は貴国を“反自由貿易”的な敵と見なすかもしれない。」
会場が凍りつく。結局は軍事力という恐怖で押さえつけようとするのか。
サラは震える声を抑えながら、しかし毅然と立ち上がる。
「リューベルト特使。先ほども申し上げたように、わたしたちは『帝国銀貨を排除する』とは言っていません。適正な交換レートを設定し、過度な投機を防ぐ仕組みを作りたいだけです。――それが“通貨協定”です。」
リューベルトは一瞬、サラを睨みつける。
「ふむ……では、その交換レートをどうやって決めるつもりか? まさか王太子や公爵の恣意的判断で操作するわけではあるまいな?」
ここでサラは、準備していた「新たな金融評議会」の案を提示する。
- 王立銀行&SFCが共同運営する“評価機関”が、貴族と商会、帝国代表を交えて定期的にレートを見直す
- 一国の都合で通貨レートを左右しないよう、多数決と公開されたデータに基づいて行う
- 不正な投機が行われた場合は一定の制裁を課す
この仕組みなら、帝国が一方的に銀貨を流し込んで価格を操作することは難しくなる。逆に王国側も、帝国銀貨を過度に締め出すことはできなくなる。
つまり「誰もが利を得るが、誰も独裁できない」という、きわめてバランス重視の案。
三者の落としどころ
王太子は「ぜひやりましょう」と意気込む。自分の“王立銀行”が軸になりつつ、SFCが共に運営すれば、安定した経済体制になる。
公爵はあくまで「貴族としての立場」を重視し、「貴族連合も評議会に議席を設けるなら賛成」と言う。
リューベルト特使は、帝国としてその案をすぐ了承するわけにはいかないが、「皇帝陛下の指示を仰ぐ」と前置きした上で、一部の妥協を認める姿勢を示す。軍事的脅しは取り下げるとも明言した。
こうして、三者はぎりぎりの均衡点を見出した。
すなわち、SFCが国際銀行として通貨協定を運営し、帝国と王国の橋渡しをする。王太子はその仕組みを“王立銀行の一部門”として位置づけるが、実際の運用権限はSFCが強く持つ。公爵派も、貴族連合として出資して理事会に加わることで、面子を保つ――という形だ。
会合再開、帝国特使の最終要求
翌朝、再び王宮の会議室に集まった面々は、サラの提案を軸にした「王立銀行&SFC&貴族連合」と「帝国公認銀行」の協調体制をめぐって最後の交渉に臨む。
リューベルト特使は、帝国としてもメリットがあるなら妥協し得ると示唆しつつも、帝国銀貨の流通を制限しないこと、帝国が一定の“優先権”を得ることなどを条件に挙げる。
王太子や公爵派、貴族らがそれを聞きながら「妥当かどうか」を激しく議論する。
そして、ついにリューベルト特使は切り札を放つ。
「もし合意できないなら――帝国は“この国への軍事的圧力”さえ辞さない。王国が帝国銀貨の流通を妨げるなら、帝国は貴国を“反自由貿易”的な敵と見なすかもしれない。」
会場が凍りつく。結局は軍事力という恐怖で押さえつけようとするのか。
サラは震える声を抑えながら、しかし毅然と立ち上がる。
「リューベルト特使。先ほども申し上げたように、わたしたちは『帝国銀貨を排除する』とは言っていません。適正な交換レートを設定し、過度な投機を防ぐ仕組みを作りたいだけです。――それが“通貨協定”です。」
リューベルトは一瞬、サラを睨みつける。
「ふむ……では、その交換レートをどうやって決めるつもりか? まさか王太子や公爵の恣意的判断で操作するわけではあるまいな?」
ここでサラは、準備していた「新たな金融評議会」の案を提示する。
- 王立銀行&SFCが共同運営する“評価機関”が、貴族と商会、帝国代表を交えて定期的にレートを見直す
- 一国の都合で通貨レートを左右しないよう、多数決と公開されたデータに基づいて行う
- 不正な投機が行われた場合は一定の制裁を課す
この仕組みなら、帝国が一方的に銀貨を流し込んで価格を操作することは難しくなる。逆に王国側も、帝国銀貨を過度に締め出すことはできなくなる。
つまり「誰もが利を得るが、誰も独裁できない」という、きわめてバランス重視の案。
三者の落としどころ
王太子は「ぜひやりましょう」と意気込む。自分の“王立銀行”が軸になりつつ、SFCが共に運営すれば、安定した経済体制になる。
公爵はあくまで「貴族としての立場」を重視し、「貴族連合も評議会に議席を設けるなら賛成」と言う。
リューベルト特使は、帝国としてその案をすぐ了承するわけにはいかないが、「皇帝陛下の指示を仰ぐ」と前置きした上で、一部の妥協を認める姿勢を示す。軍事的脅しは取り下げるとも明言した。
こうして、三者はぎりぎりの均衡点を見出した。
すなわち、SFCが国際銀行として通貨協定を運営し、帝国と王国の橋渡しをする。王太子はその仕組みを“王立銀行の一部門”として位置づけるが、実際の運用権限はSFCが強く持つ。公爵派も、貴族連合として出資して理事会に加わることで、面子を保つ――という形だ。
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