当店では真実の愛は取り扱っておりません

鍛高譚

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19話

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賑わう新事業の船出

 王都の商業地区にある、大きな広場。周囲を取り囲むように大小さまざまな店舗が軒を連ね、人々の往来がひっきりなしに続いている。
 その一角に、**「ブレンディ&パステル共同展示会」**と銘打たれた特設ブースが建てられていた。
 緑のテントの下に、ブレンディ領の特産ハーブを使った香料や薬草、さらにパステル商会が取り扱う新作ドレスの生地サンプルなどが、整然と展示されている。
 木で組んだ簡易ステージでは、説明員が商品の特長を案内し、興味を持った客たちにサンプルを配っている。

「わあ、すごくいい香り……」
「これなら貴族のレセプションでも使えそうだし、一般家庭でもちょっとした贅沢に手が届くかも」
「パステル商会がバックアップしてるなら安心できるわね」

 客たちの感嘆の声が飛び交う。
 この展示会は、ココア・ブレンディとクレオ・パステルが二人三脚で企画・開催したものだ。ブレンディ家の領地ならではの高品質ハーブを使った香料や、パステル商会ならではの織物・デザインを組み合わせ、新しい商品ラインナップを世に問う狙いがある。
 これまでは貴族向けに限定生産していた香料を、より幅広い層に届けられないか――それがココアのアイデアであり、クレオが見事にビジネス化した。

「いい感じじゃない? ココア様」
 テントの奥、来客の様子を見守っていたクレオが微笑む。
 ココアも頷きながら、自信に満ちた表情を浮かべる。

「ええ、上々よ。初日からこんなに人が集まるなんて思っていなかったわ。さすがパステル商会、動員力がすごい」
「ブレンディ家のブランド力も大きいですよ。ハーブのクオリティも最高ですし、試作品の段階から期待していましたが、ここまで反響があるとは……」

 二人は顔を見合わせ、くすっと笑い合う。
 このイベントは、ただ商品を売るだけではない。貴族と商人が対等な立場で協力し合えば、従来の枠組みを超えたビジネスができる――それを世に示す意味合いも持っている。
 伝統を重んじ、階級の壁に守られ続けてきた“貴族社会”が変わり始めるきっかけになれば、という願いも込められていた。
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