悪女に仕立てたのはあなたでしょう?〜婚約破棄は歓迎ですわ、後悔なさいませ〜

鍛高譚

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第4章:暴かれる聖女の嘘、そして私の選ぶ道

20話

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 国王陛下の介入、真実を求める声

 張り詰めた空気が大広間を包む中、国王陛下が重々しい口調で言葉を挟む。

「……王太子よ。おまえは確かにリリア殿を“聖女”と呼び、セイラを悪女と断じているようだが、はたから見れば十分に不可解な点があるのは事実。私もこれ以上、根拠のない糾弾を認めるわけにはいかぬ」

 国王陛下はアルベルトを見据え、鋭い眼光で牽制する。かつては優秀な王太子として期待されていたが、最近のアルベルトの振る舞いには疑問を抱いているのだろう。さらに陛下はリリアにも視線を向ける。

「リリア殿、先ほどの光の演出――あれが神の奇跡であるならば、いまここにいる我々にも“疑いを払拭するだけの証”を示していただきたい。さすがにこのままでは、国の者たちを納得させられん」

 貴族たちの視線がいっせいにリリアへ集中する。「王太子に取り入っているだけではないか」「何か裏があるのでは」と半信半疑の人々にとって、国王陛下の言葉はまさに追い風だ。私も胸をなで下ろす。これでリリアが真正面から“奇跡”を示すしかないのであれば、偽物ならばここでメッキが剥がれるはず……。

 しかし、リリアは少しも動じた様子を見せず、微笑みを深める。その表情には、なにか勝算があるように見えた。

「陛下、ご要望に沿いましょう。――ですが、私が神の力を完全に顕現するには、“相応の儀式”が必要です。その準備を行わせていただいてもよろしいですか?」

「むろん、よい。だが、晩餐会の場を混乱させるような真似は――」

「いえ、決して混乱など起きません。むしろ、皆さまに“神の祝福”を分かち合うための儀式です。何人かの神官や協力者の方に手伝っていただき、今宵中にでも執り行いたいと思います」

 リリアがそう言い切ると、アルベルトは嬉しそうに頷いて賛同を示す。国王陛下も少しためらいを見せたが、背後に控える重臣たちが「聖女の力が本当か見極める必要がある」と進言することで、最終的には許可を下した。

 こうして、謎の“儀式”が晩餐会の後に行われることが決まった。私は不安を感じながらも、これでリリアの正体が暴けるなら望むところだと思う。いずれにせよ、ここで退けば、私に勝ち目はない。

 ――とはいえ、どんな罠が潜んでいるか分からない。そう考えていると、そっとレオニスが近づき、小さな声で話しかけてきた。

「セイラ、警戒を怠るな。リリアは本当に儀式などできるのか? 何かしら仕掛けてくる恐れが高いぞ。……私もできる限り協力するから、絶対にひとりで突っ走らないように」

「ありがとうございます、殿下。私も慎重に行動します」

 そう答えながら、私はごくりと唾を飲み込む。晩餐会の最中、王太子とリリアは私に冷たい視線を投げ続け、まるで“最後の審判”を楽しみにしているかのようだった。
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