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第5話 婚約破棄の真相へ
しおりを挟む静かな冬の夕暮れ時。
シルフィは一日の終わりに窓を開け、頬を刺すような冷たく澄んだ風を受けながら、遠くの空を見上げていた。
「日が落ちるのが、だんだん早くなってきたわね……」
沈みかけた薄いオレンジ色の光が、ゆっくりと地平線の向こうへと沈んでいく。
少し前までなら、この時間になると決まって考えていた。
(今ごろ、ラングレー様は何をしているのかしら。
婚約者として、もっと頑張らなくちゃ――)
そうやって、自分を奮い立たせてきた。
けれど今、その感情はもうどこにもない。胸に広がっているのは、まったく別の思いだ。
(私はもう、公爵家の婚約者じゃない。
あの人たちの“偽りの幸福”とは関係ない。
――これからは、自分が本当にやりたいことだけを見ていくのよ)
そう心の中で言い聞かせると、胸の奥が少しだけ明るくなる。
ラングレーが突然屋敷を訪ねてきて、「やはりお前が必要だ」などと言い出したのは、ほんの数日前のことだ。
あのとき、シルフィは思いきりその申し出を跳ねのけた。
かつて「ふさわしくない」と切り捨てた相手に、今さら必要だと言われても困るだけだ。
拒絶の言葉を口にしたとき、胸のどこかで、重しのようにのしかかっていた何かが外れていくのを感じた。
(あれで、一区切り。
ラングレー様とエリーザ様がどれほど煌びやかに笑っていても、あれは“偽りの幸福”にしか見えない。
私は、あの輪の中にはもう戻らない)
けれど、その“これからどうするか”はまだ始まったばかりだ。
カリブから誘いのあった、領地でのハーブ研究――
その話を受けることを決めてから、シルフィは自室に保管していたレシピノートや資料を広げては、何度も読み返していた。
薬用になるハーブ、彩り豊かな食用花。
その組み合わせで、どんな料理や茶、香りの品が生み出せるのか。
領地の人たちとどう協力し合えばいいのか。
以前は「将来、公爵夫人として恥ずかしくないように」と必死で学んできた知識。
だが今、それは“自分の意思”で活かされようとしている。
(同じ勉強でも、こうして自分のためだと思えると、まるで違うものに見えるのね)
ふっと微笑みがこぼれた。
そんな前向きな気持ちを支えてくれるのが、侍女のステラや家令、使用人たちのささやかな協力だ。
「お嬢様、この前お話しされていた土壌の本、古いものですが見つけましたよ」
「うちの田舎では、こんなハーブを煎じて風邪に効かせてました」
図書庫のすみに眠っていた専門書をこっそり運んできてくれる者もいれば、故郷のハーブの話を教えてくれる者もいる。
シルフィの真面目さと優しさを知る彼らは、主君としてだけでなく、一人の人として彼女を応援してくれていた。
一方で、父と母は相変わらず複雑な表情を見せることが多い。
口では「好きなようにして構わない」と言ってくれるものの、娘が“婚約破棄された侯爵令嬢”という立場で本当にうまくやっていけるのか、心配が尽きないのだろう。
(無理もないわよね……。
貴族の娘は良い家柄に嫁ぐことが一番安全、という世界だもの。
そこから外れて、自分の道を歩むって言い出す娘なんて、きっと想像したこともなかったはず)
それでも、あの日、自分の意思でラングレーを拒絶した。
その選択は、確実にシルフィの内面を強くしていた。
(後悔は、ない。……少なくとも、あのとき「戻ります」なんて言わなくて、本当によかった)
小さな種火のようだった自信が、ゆっくりと燃え広がろうとしている――まさにその夜だった。
部屋の扉が、控えめにノックされた。
「お嬢様、郵便が届いております」
ステラが差し出したのは、小ぶりな封筒。
差出人の名は書かれていない。
「差出人が……ない?」
不審に思いながらも、シルフィは封を切った。
中には、走り書きされた小さな紙片が一枚だけ。
『公爵家とエリーザの一件について、話したいことがあります。
近いうちに、そちらの屋敷から少し離れた馬車置き場に来てください。
詳細は現地で。
――“影”より』
「“影”……?」
思わず、眉をひそめる。
公爵家とエリーザ。
そして、自分の婚約破棄――
それらに関する“話したいこと”があると言われて、全く気にならないほど鈍くはない。
だが、差出人不明、曖昧な指定場所、名乗りはたったひと言“影”。
(怪しすぎる……)
「お嬢様、どうなさいました?」
ステラが心配そうに覗き込んでくる。
シルフィはしばし迷った末、手紙の内容をそのまま見せた。
「こんなものが届いたの」
「まぁ……。これは、あまりにも怪しいですわ。罠かもしれません」
「そうよね。でも……『公爵家とエリーザの一件』って、はっきり書かれているの。婚約破棄に関する何か――私の知らない真実があるのなら、知りたい、という気持ちもあるの」
その夜、シルフィは枕元に手紙を置いたまま、何度寝返りを打っても眠れなかった。
(罠かもしれない。
でも、もし本当に何かあるのだとしたら……知らないふりをしていいの?)
心の中で、二つの声がせめぎ合う。
『危険よ。もう公爵家とは関わりたくないって決めたでしょう』
『いいえ、真相も知らないまま、ただ“捨てられた娘”で終わるなんて嫌』
結局、夜が白み始める頃、シルフィはそっと起き上がった。
「……分かったわ。もしこれがただの悪ふざけや危険な誘導なら、そのときは私が見抜けばいい。私、もう、ただ翻弄されるだけの娘じゃないもの」
自分にそう言い聞かせながら、胸の奥で小さく灯る覚悟を確かめた。
◇
指定された日時の少し前。
シルフィはステラだけを連れて、こっそり屋敷を出た。
形式上は「商店街で道具を買ってきたい」と両親に告げてある。
本当の目的は、もちろん言えない。
「本当に、行かれるのですね……」
「ええ。ステラひとりくらいなら、一緒に連れて行ってもいいかしら?」
「もちろんですわ。お嬢様をひとりでなんて行かせません」
フード付きのマントを深くかぶり、顔がはっきり見えないようにして、二人は王都の外れへと向かう。
馬車置き場は、小さな倉庫地帯のそばにある。
商人や旅人が馬車を預けるために利用する場所で、貴族の邸宅が立ち並ぶ一帯からは少し離れている。昼間でも人通りは多くない。
指定の時間。
馬車置き場の一角に立ったシルフィとステラは、周囲を慎重に見渡した。
(本当に、誰か……)
そのとき、近くの倉庫の影から、すっと細身の人影が現れた。
灰色のフードを深くかぶり、顔のほとんどは布に隠されている。
声を発すれば、男性とも女性ともつかない、中性的な響きだ。
「……あなたが、“影”?」
シルフィが問いかけると、その人物はゆっくりと頷いた。
「そう呼んでいただいて構わない。シルフィ・ラドフォード嬢。あなたに、伝えたいことがある」
見知らぬ相手、それも素性の怪しい人物と直接対面するのは初めてだ。
だが、ここまで来た以上、引き返すつもりはない。
ステラが、一歩後ろからシルフィのすぐそばにつき従い、いつでも庇えるよう身構える。
「……公爵家とエリーザ様、そして私の婚約破棄に関して、何かご存じなのですね?」
シルフィが怯まずにそう切り出すと、“影”は少し距離を取りながら静かに口を開いた。
「そうだ。私はエリーザ・フェルネスという女の動向を探っている。彼女は見かけ以上に危険な存在だ。……あなたはラングレー公爵家の元婚約者として、何が起きていたのかを正しく知る必要があると思い、このような形で接触した」
「危険な……存在?」
ラングレーがこぼしていた「裏の顔がある」という言葉が、うっすらと重なる。
「教えてください。彼女は、いったい何をしようとしているのですか? 私の婚約破棄とも、関係があるのですか?」
息を詰めて問うと、“影”はフードの下で口元に手を添え、低い声で告げた。
「エリーザが公爵家に急接近したのは、ただの玉の輿狙いではない。もっと大きな目的がある。彼女は裏で、ある貴族派閥と繋がっている。その派閥は王国の現政権に不満を持ち、いずれクーデターめいた動きを企んでいると噂されている」
「……クーデター……?」
口にした瞬間、背筋がぞくりと震えた。
王国の統治そのものを揺るがす、大罪に等しい言葉。
「表の社交界に、そんな噂は一切出ていませんわ」
「当たり前だ。彼らは表向き、忠誠を誓う貴族たちの中に紛れている。だからこそ危険なのだ。彼らはエリーザを利用し、公爵家に入り込むことで権力を握ろうとしている。ラングレーは若く、公爵家は王国内でも大きな影響力を持つ。うまく取り込めば、その力を派閥に利用できる」
“影”の声は淡々としていたが、その内容はあまりにも重い。
「実際、エリーザはすでに公爵家の財政や領地の運営に介入しようとしているはずだ。その一部は、裏の資金に流れている可能性がある」
ラングレーが口にしていた「怪しげな取引」「自分の装飾品や衣装に資金を回そうとしている」という話が、いやな形で結びついていく。
シルフィは唇を震わせた。
「……それでは、私との婚約破棄は……?」
「そう。エリーザにとって、長年ラングレーの隣にいた“侯爵令嬢シルフィ”は邪魔だった。情報によれば、彼女は何らかの手段で“あなたが不適切な行為をした”という噂を公爵家の周辺に流し、証拠や証言を捏造したらしい。もともと、ラングレーは華やかな女性に惹かれやすい。そこを狙って、“シルフィは地味で陰気”“今の時代には合わない”というレッテルを強調した」
その説明は、あまりにも理屈が通っていた。
だからこそ、悔しくてたまらない。
(私が至らなかったから――じゃなかった。
私が魅力に欠けていたから捨てられた――わけでもなかった。
最初から、仕組まれていた)
胸の奥でずっと渦巻いていた、「私が悪かったのかもしれない」という自責の思いが、ぱきん、と音を立ててひび割れていくような感覚がした。
だが同時に、別の疑問が浮かぶ。
「……どうして、そんなことを私に教えるんですか?」
シルフィは、揺れる声を押し殺して問い返した。
「あなたが、そこまで危険な真実を暴露する理由は何ですか? それに、どうして私に?」
“影”は一歩だけ近づき、灰色のフードの奥からまっすぐにシルフィを見つめている気配を漂わせた。
「私は、エリーザとその背後にいる派閥の動きを暴きたい。だが、今はまだ証拠が足りない。いま公に告発すれば、逆に『虚偽の噂』として握りつぶされる可能性が高い。その中で、婚約破棄まで仕組んで追い出された“当事者”である君は、重要な鍵になり得る」
「……鍵?」
「すでに君は、ラングレーと再び会い、彼を拒絶した。だが逆に言えば、君は今も“彼の本心を揺さぶれる立場”にいるということでもある。ラングレーは、エリーザに対して疑念を抱き始めているはずだ。しかし彼は、公爵家嫡男としての誇りと責任に縛られて、簡単には自分の過ちを認められない」
“影”の声が、少しだけ低くなった。
「そのプライドを揺さぶり、彼自身に『自分は利用されているのではないか』と自覚させるには――かつての婚約者であり、今は彼を拒絶した君の言葉が一番効果的かもしれない」
「そんな……」
シルフィは思わず首を横に振った。
「私はもう、公爵家に頼らず生きていくと決めたばかりなんです。なのに、ここでまたラングレー様の問題に首を突っ込むなんて……」
「それは分かる。君にも意地と怒りがあるだろう。だが、このまま放っておけば、公爵家は完全にエリーザとその背後の派閥の掌中に落ちる。ひいては王国全体のバランスが崩れ、多くの人々が混乱に巻き込まれるだろう」
そこで、“影”はあえて少し間を置き、静かに付け加えた。
「君は、アルモント伯爵家――特にカリブ卿と交流があると聞いた。公爵家が乱れれば、伯爵家にも火の粉が飛ぶ可能性は十分にある。彼らの領地、君がこれから関わっていくはずだった人々の暮らしも、無関係ではいられないかもしれない。それでも、何も知らないふりをするか?」
カリブの名が出た瞬間、胸がきゅっと締め付けられた。
ハーブ研究の話を持ちかけてくれた、穏やかな笑顔。
自分の“未来”に光を当ててくれた人。
(もし王国が本当に混乱に巻き込まれたら……
カリブ様の領地だって、無事では済まないかもしれない)
たとえ自分が公爵家から離れても、世界が壊れてしまっては、ハーブ研究どころではない。
「……わかりました」
長い沈黙の末、シルフィは小さく息を吐いた。
「私にどこまでできるかは分かりません。けれど、ラングレー様と、もう一度話をしてみます。婚約破棄の裏で何が起きていたのか――それを確かめる必要が私自身にもあるのだと思いますから」
“影”は、フードの下で満足げに頷いた気配を見せた。
「助かる。ラングレーが君と秘密裏に会えるよう、こちらでも動こう。日時と場所は、改めて手紙で知らせる。……この先、私との連絡は必ず慎重に。君に何かあれば、彼らにとって都合の良い“口封じ”になりかねないからな」
「そんな物騒なこと、さらっと言わないでくださいませ……」
思わずそう返すと、“影”は小さく喉の奥で笑い、すぐに踵を返した。
「それでは、また」
風に紛れるような足音で、倉庫の影に消えていく。
残された冷たい空気の中で、シルフィとステラだけがぽつんと取り残された。
「……お嬢様、本当に……」
ステラが、不安を隠しきれない声でささやく。
「本当に、大丈夫でしょうか。お話はあまりにも大きすぎて、まるで陰謀の渦に巻き込まれていくみたいで……」
「……怖くないと言えば嘘になるわ」
シルフィは正直に認めたうえで、その瞳に力を宿した。
「でも、放っておくわけにもいかないでしょう。もし私が何も知らない顔をしていたら、そのせいで誰かが傷つくかもしれない。ラングレー様だけじゃない。王国全体が危険に晒されるかもしれない。……それに、婚約破棄の裏で何が起きていたのか、私だって知りたいの」
自分の人生を大きく変えた出来事だ。
それを、“仕方がなかった”の一言で済ませたくはない。
「だから、行くわ。またラングレー様と会うのは気が重いけれど……今度は、もう二度と振り回されるためじゃない。真実を知るため。そして、自分の未来を守るために」
ステラはしばらく黙っていたが、やがてぎゅっと拳を握りしめた。
「……分かりました。どんなことがあっても、私がお傍におります。お嬢様が決めた道なら、最後までお支えします」
「ステラ……ありがとう」
その言葉に、思わず胸が熱くなる。
彼女は、これまでもずっと近くで支えてくれていた。
婚約破棄のときも、泣きたい夜も、ずっと。
(私はもう、一人じゃない)
それだけで、足元の不安が少し和らぐ気がした。
◇
屋敷に戻った夜。
シルフィはランプの明かりの下で、例のノートを開いた。
そこには、ハーブや食用花の栽培計画、試作した料理のメモ、カリブとの研究会で話したい案がびっしりと書き込まれている。
「こんなところで、終わらせたくない……」
小さくつぶやいて、ペンを握りしめた。
もし公爵家がエリーザたちに利用され、王国が大混乱に陥ってしまえば――
こうした穏やかな研究の時間は、簡単に奪われてしまうだろう。
(それは、絶対に嫌)
ラングレーと再び向き合うこと。
婚約破棄の真相を掘り起こすこと。
それは、シルフィ自身の心に突き刺さった棘を、自分の手で抜き取る行為でもある。
そして、何より――このノートに書かれた未来を守るためにも必要なことなのだ。
やがて夜が更け、ノートを閉じて窓の外を見る。
王都は闇に包まれているが、その先には必ず朝が来る。
そう信じることができるだけの強さが、今のシルフィにはあった。
(婚約破棄の真実。
ラングレー様の後悔と疑念。
エリーザ様の正体と、その背後にいる派閥……)
絡み合う糸は多い。
だが、逃げ続けている限り、この糸は永遠にほどけない。
「私は、もう逃げない」
誰もいない部屋でそう宣言し、シルフィはランプの火を落とした。
◇
翌朝。
いつもより少し早く目を覚ましたシルフィは、まっすぐ温室に向かった。
冷たい空気の中で、眠たげな花々が静かに揺れている。
乾きかけた土に水をやり、弱った葉を摘まみ、陽の当たり方を調整する。
――淡々と、自分にできることを、毎日繰り返す。
その姿は、どんな環境でも自分の生を全うしようと咲いて散り、また種を落としていく花たちと重なる。
「私も、あなたたちのように生きたいわ」
シルフィは、小さく微笑んだ。
「過去に何があっても、何を失っても、未来に向かって咲き続ける……」
ほどなくして、“影”からの次の手紙が届くはずだ。
そこには、ラングレーとの密会の日時や場所が記されているだろう。
向かう先は、茨の道かもしれない。
でも、花は茨の根元からも咲く。
きっと自分もそうなれる――そう信じたい。
(私は、もう何も失いたくない。
そして、知りたい。
――私の人生を変えたあの婚約破棄の裏に、いったい何があったのかを)
決意の言葉が、白い息とともに空へ溶けていく。
遠くで、冬の風が唸り声を上げた。
嵐の前触れのようにも思えるその音に、シルフィはほんの少しだけ身を震わせる。
けれど同時に、胸の奥にははっきりとした温かさが芽生えていた。
(どんな真実が待っていても――
今度こそ、私の足で、未来を選ぶ)
シルフィはまっすぐ前を見据え、背筋を伸ばした。
新しい朝が、静かに始まろうとしていた。
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