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第9話 選んだ道のはじまり
しおりを挟む冬の朝は、やけに静かだった。
薄曇りの空は一面の灰色に染まり、アルモント侯爵家——ではなく、シルフィの生まれ育った侯爵家の屋敷は、雪に音を奪われたようにしんと静まり返っている。
けれど、胸の中だけは、ひどくうるさかった。
(……夢じゃ、ないのよね)
ゆっくりとまぶたを開く。天蓋のレース越しに、ぼんやりとした天井の模様が見えた。何度目かになる「現実確認」をして、ようやくシルフィは息を吐く。
昨夜——ラングレー・ド・ブルーヴ公爵から婚約破棄の宣告を受けた。
理由は「公爵家の益になる新たな縁談のため」。
書類のどこにも、「シルフィの落ち度」は書かれていない。
それでも、あの場で突きつけられた言葉は、彼女の心を容赦なく切り裂いた。
『君を責めているわけではない。ただ……家として、最善を選ばねばならない』
(じゃあ、私は……最善ですらなかったってことね)
苦笑が、喉の奥でひっそりとこぼれる。
窓の外では、新しい雪が静かに降り始めていた。
シルフィは重たい身体をなんとか起こし、薄手のショールを羽織って部屋を出る。
向かう先は、いつもと同じ——屋敷の奥にある温室だ。
◇
温室に足を踏み入れた途端、冷え切った空気がわずかにやわらぐ。
ガラス越しの薄い朝日が、色とりどりの花々を照らし出していた。
冬でも咲くよう品種改良された花たちが、鮮やかな色を精一杯主張している。
シルフィは、いつもの癖で手袋を外し、土の乾き具合を確かめていく。
ひんやりとした黒土の感触が、少しだけ現実感を取り戻させてくれた。
「……おはよう」
ひときわ凛と咲く白薔薇に、そっと指先を伸ばす。
朝露を含んだ花びらが、触れた指に冷たい感触を残した。
香りを吸い込み、目を閉じる。
いつもなら、これだけで心が落ち着くはずなのに——今日は無理だった。
「どうして、こんな形で終わらなければならないのかしら……」
思わず、独り言がこぼれる。
公爵家の一員として期待され、
侯爵家の娘としてふるまいを教え込まれ、
誰かの“駒”として生きることを、半ば当然のものとして受け入れてきた。
なのに、その「駒」としてさえ、もっと便利な誰かに取って代わられた。
(私の価値って……いったい、何だったのかしら)
胸の奥が、きゅうっと痛む。
それでも、いつまでも花の前でうずくまっているわけにはいかなかった。
シルフィは顔を上げ、深く息を吸い込む。
「……行かなきゃ」
婚約破棄という現実は変えられない。
けれど、そのあとの人生まで他人に決められるのは、もうごめんだ。
◇
温室を出て廊下を歩いていると、軽い足音とともに声がかかった。
「お嬢様!」
侍女のステラが、小走りに駆け寄ってくる。いつもと変わらぬ、落ち着いた笑みをたたえていた。
「おはようございます。……ご気分はいかがですか?」
「おはよう、ステラ」
シルフィは、ほんの少しだけ肩をすくめてみせる。
「どう、って聞かれると困るけれど……昨日のことは、正直、まだ整理できてないわ」
「……当然でございます」
ステラは一瞬だけ眉を曇らせ、すぐに表情を整えた。
「ですが、お嬢様。どのようなことがあろうと、私どもはお嬢様の味方でございます。ご命令があれば、どこへでもお供いたしますわ」
「ありがとう、ステラ」
その言葉に、胸の奥で何かが温かく揺れた。
「今日はね、じっとしていると余計に考え込んでしまいそうだから……外に出てこようと思うの」
「外へ、でございますか?」
「ええ。王都へ行くわ。有力な友人たちに会っておきたいの。——これから先、私が“私の力で”生きていくために」
ステラは驚きつつも、すぐに深くうなずいた。
「承知いたしました。馬車の支度をさせます。防寒のケープもご用意いたしますわ」
「……本当に、頼りになるわね」
シルフィは、くすりと笑う。
薄い笑みではあったが、それは確かに前を向こうとする笑みだった。
◇
庭園を抜けて外へ出ると、冬の風が容赦なく頬を刺した。
新しい雪が降り積もり、木々の枝は白く縁取られている。
吐いた息は白く霧散し、馬車の車輪が雪を踏む音だけが、静かな中庭に響いた。
乗り込む前に、シルフィは一度だけ屋敷を振り返る。
(ここに閉じこもって泣き崩れていたら、きっと……
あの婚約破棄は、本当に“私の終わり”になってしまう)
そうならないためにも、今日動かなければならない。
馬車の扉が閉まり、ゆっくりと走り出す。
窓の外で、白い世界がじわりと流れていった。
膝の上には、一通の手紙が置かれている。
カリブ・アルモントから届いたものだ。
『あなたの中には、まだ眠っている力がたくさんあります。
どうか、自分の可能性を軽んじないでください』
ラングレーに裏切られた後、最初に差し伸べられた「尊重」の言葉。
それは、シルフィにとって救命索のようなものだった。
(……逃げない。私の人生を、私が選ぶ)
静かに目を閉じ、揺れる車内で、シルフィは改めて誓った。
◇
王都は、雪景色の中でも活気に満ちていた。
白い息を吐きながら行き交う人々、凍える手を擦り合わせる露店の商人、馬車の往来——。
そんな喧噪のさらに奥、重厚な門構えの屋敷の前で、馬車が止まる。
「レオナルド・ヴァレンティーニ侯爵家……」
シルフィは小さく息を整えた。
幼い頃からの友人であり、今では王国の重職についている青年。
彼に協力を仰ぐことは、エリーザの動きを封じ込めるうえで欠かせない。
応接間へ通されると、ほどなくして、落ち着いた足取りで彼が現れた。
「シルフィ。よく来てくれたね」
レオナルドは変わらぬ穏やかな笑みで、シルフィを迎える。
「顔色は……正直、あまり良くないが。それでも、目の光は消えていないようで安心したよ」
「ふふ……褒め言葉として受け取っておくわ」
軽口を交わしつつも、シルフィは本題に切り込んだ。
「今日はお願いがあって来たの。——エリーザのことで、情報を集めたいの」
その名を出した途端、レオナルドの表情がわずかに引き締まる。
「やはり、そこへ行き着いたか」
「なにか、掴んでいるの?」
「断片的だけどな」
彼は椅子に腰かけ、指を組んだ。
「最近、公爵家の“新しい婚約者候補”としての立場を利用して、エリーザ嬢がいくつかの商人と頻繁に会っていると聞いている。とくに、軍需品を扱う連中とな」
「軍需品——武器商人たちね」
シルフィの胸がざわついた。
自分たちが掴みつつある情報と、ぴたりと符合する。
「公爵家の財政記録でも、不自然な支出項目が増えているわ。名目は『領地の防衛と開拓のための投資』。でも、実際には外部への資金流出にしか見えない」
「……そこまで確証があるなら、王家への報告も視野に入れるべきだな」
レオナルドは真剣な声で言った。
「協力しよう。僕のネットワークでも、彼女に関する情報を洗ってみる。とくに、軍部や商人ギルドに近い者たちを当たってみるよ」
「ありがとう、レオナルド」
シルフィは胸の奥から、素直に感謝の言葉を口にする。
「あなたの力を借りられるのなら、きっと大きな一歩になるわ」
◇
それからシルフィは、もう一軒の屋敷を訪ねた。
エミリア・フォン・シュタイン伯爵家——情報収集と分析能力に長けた才媛として知られる女性だ。
「シルフィ。噂は聞いていたけれど……本当に、婚約破棄されてしまったのね」
エミリアはシルフィを抱きしめそうな勢いで迎え入れ、すぐに距離をとって真剣な瞳を向ける。
「でも、泣き崩れているかと思いきや、こうして動いている。……あなたらしいわ」
「泣いていた時間も、もちろんあったわよ」
シルフィは苦笑しながら、エリーザに関する状況を説明した。
公爵家の帳簿。
武器商人との繋がり。
“反王家派閥”の噂。
話を聞き終えたエミリアは、しばし沈黙したあと、静かにうなずいた。
「わかったわ。私は、私の耳と目を使う」
「耳と目?」
「情報屋たちよ」
エミリアは軽く微笑む。
「正式には“書記官見習い”だけど、裏では少しだけね。書簡の往来や商人ギルドの記録を注意して見ていれば、きっと彼女の“怪しい動き”が見えてくるはずよ」
「エミリア……」
「王国の安定は、私自身の生活にも関わるもの。エリーザ嬢が好き勝手するのを黙って見ている気はないわ。必要な情報は全部、あなたに送る」
「……心強いわ。本当に、ありがとう」
こうして、少しずつ「シルフィ側」の輪が広がっていく。
失ったものばかり数えていた彼女の手に、確かなつながりが戻り始めていた。
◇
その夜。
王都の落ち着いた一角にある、小さなカフェの片隅。
窓の外では雪がちらつき、店内では暖炉の火が柔らかく揺れていた。
「シルフィ様」
カップの向こうから、穏やかな声がする。
カリブ・アルモント——領地の薬草研究に携わる伯爵家の次男。
彼は、シルフィの話に耳を傾け、一つひとつ噛みしめるように頷いていた。
「エリーザ嬢のこと、そこまで進んでいるとは思いませんでした」
「私も、最初は“少し嫌な相手”くらいにしか思ってなかったのよ。でも、ラングレー様の婚約破棄に彼女が絡んでいると知ってから……嫌な予感が、ずっと消えなかった」
婚約破棄の場での、あの自信に満ちた笑み。
公爵家の邸で、堂々と振る舞う姿。
思い返すだけで、胸に刺さるものがあった。
「だけど、今は違うわ」
シルフィはカップを見つめながら、静かに言う。
「これは、私個人の感情だけの問題じゃない。もし彼女の計画が成功してしまったら、公爵家の領地も、王国も、大勢の人たちも巻き込まれてしまう。……だから、止めなきゃいけないの」
カリブは、その瞳の奥をじっと見つめた。
「……本当に強い方ですね、あなたは」
「強くなんて、ないわ」
苦笑を浮かべる。
「ただ、もう“流されて”生きるのは嫌になっただけ。婚約破棄までされて、まだ何も選ばないなんて……それこそ、本当に何も残らなくなってしまうもの」
カリブはしばらく黙っていたが、やがて決意を込めた声で言った。
「僕も、協力させてください」
「カリブ様……?」
「領地の薬草研究で築いた商人とのつながりがあります。医療品と武器は、流通の管が似ているんです。調べてみれば、エリーザ嬢の取引先に近づけるかもしれない」
彼の言葉には、一切の迷いがなかった。
「シルフィ様の決意は、本物だ。その覚悟に、僕は応えたい。……王国を守るためにも、あなた自身の未来のためにも」
胸の奥が、じんと熱くなる。
「ありがとう、カリブ」
それだけ言うのが精一杯だった。
(どうして、こんなときに……涙が出そうになるのよ)
婚約破棄で崩れたと思っていた世界の中に、こうして手を伸ばしてくれる人たちがいる。
それは、何よりも心強い支えだった。
◇
日々は、慌ただしく過ぎていった。
エミリアからは、王都に出入りする商人の名簿や、不可解な資金の動きに関する報告が届く。
レオナルドは軍部方面の情報をまとめ、武器の流通に関わるルートを洗ってくれた。
シルフィはそれらを整理し、ラングレーや公爵家当主、“影”と情報を共有する。
動けば動くほど、エリーザの背後に蠢く黒い影が輪郭を帯びていくのが分かった。
そして、ある日のこと。
王都の市場。
雪解け水でぬかるんだ石畳を踏みしめながら歩いていると、ふと視界の端を、妙に気配の薄い人物がよぎった。
(……あの歩き方)
フードを深く被り、誰とも目を合わせようとしない。
けれど、その足取りには異様な安定感があった。
シルフィは、そっと距離を詰める。
「——影、なのかしら」
囁くように声をかけると、フードの人物がぴたりと足を止めた。
「……お見事ですね、シルフィ様」
低く抑えた声。
やはり、「影」だった。
人気の少ない路地裏へと移動し、彼——あるいは彼女——は、懐から一束の書類を取り出した。
「これは?」
「王家直属の密偵として集めた情報です。エリーザ様と接触している武器商人たちの名簿と、その裏にいる“反王家派閥”の一部。まだ全貌にはほど遠いですが……“火種”としては十分でしょう」
シルフィは、その一枚一枚に目を走らせる。
見たことのある名前。
噂だけ聞いたことのある組織。
そして——公爵家の帳簿に記されていた取引先と、確かに繋がる名。
「……本当に、ここまで」
「私があなたを支援する理由はただひとつです」
影は静かに続けた。
「あなたが、“王国の未来にとって重要な分岐点”に立っているから。
婚約破棄されても、泣き寝入りせずに立ち上がったあなたの選択は——この国にとって、大きな意味を持つことになるでしょう」
「大げさよ」
そう返しながらも、シルフィの胸はどこかくすぐったかった。
「私はただ、自分の人生を取り戻したいだけ。……その過程で、エリーザの企みが崩れれば最高ね、って思っているだけよ」
「それで十分です」
影は、フードの奥で笑ったようだった。
「大きな志より、“譲れない小さな願い”のほうが、世界を動かすこともありますから」
◇
屋敷へ戻った夜。
シルフィは書斎にこもり、これまで集めた証拠を机いっぱいに広げた。
公爵家の財政記録の写し。
エミリアが送ってきた商人の記録。
レオナルドの軍部情報。
そして、“影”が握ってきた裏取引の証拠——。
どれも単体では「ただの書類」でしかない。
けれど、重ねていくと、一つの線に繋がっていく。
(これで、もう——)
「後戻りはできないわね」
思わず口に出していた。
あの温室で、白薔薇に問いかけていた「どうして?」は、もう消えている。
今あるのは、「どうすれば止められるか」という問いだけだ。
「私は、エリーザを倒すためだけに動いているわけじゃない」
シルフィは、ひとりごとのように呟いた。
「私自身の未来のために、
この国の未来のために——そして、私を助けてくれた人たちのために。
これが、私の選んだ道」
そのとき、扉がノックされた。
「お嬢様!」
少し慌ただしい足音とともに、ステラが入ってくる。
「どうしたの、ステラ?」
「緊急のお知らせです。——エリーザ様が、今夜の王宮での舞踏会にご出席なさるとの情報を得ました」
「舞踏会……」
シルフィは目を細める。
王宮の大広間を使った、大規模な夜会。
王族、重臣、国内外の要人、そして有力貴族たちが一堂に会する場。
そこで、決定的な“契約”が結ばれる可能性——。
「……やっぱり、そう来たのね」
胸の奥で、静かに炎が灯る。
「ステラ。私たちも準備をするわ」
「はい!」
「今夜の舞踏会は、ただの社交の場じゃない。
エリーザが“何をしようとしているのか”を、この目で確かめる。——そして、止めるきっかけを掴みに行くのよ」
ステラは、力強くうなずいた。
「お嬢様のお望みのままに。ドレスも、書類も、すべて整えておきます」
「お願いね」
シルフィは書類を丁寧に束ねると、窓の外に目を向けた。
いつの間にか、雪は止み、冷たい星空が覗いている。
(これが……私の選んだ道)
婚約破棄で終わるはずだった物語は、まだ終わっていない。
むしろここからが、本当の始まりだ。
「もう、逃げない」
そっと呟き、シルフィは振り返る。
彼女の瞳には、かつてないほどはっきりとした光が宿っていた。
——そして、王宮へ向かう馬車が再び動き出すとき。
シルフィの物語は、新たな幕を開けることになるのだった。
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