婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです

鍛高譚

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第21話 教会激怒

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第21話 教会激怒

王都の中心。

巨大な石造りの建物がある。

大聖堂。

この国で最も権威ある宗教施設。

その奥の会議室。

重い扉の向こうで、静かな会議が開かれていた。

集まっているのは――

大司教。
高位司祭。
教会評議会。

皆、険しい顔をしていた。

最初に口を開いたのは大司教だった。

「報告を」

神官が一歩前に出る。

「はい」

「王太子ユリウス殿下」

「聖職者の娘と関係を持ちました」

沈黙。

大司教は低く言う。

「……事実か」

神官は答える。

「本人は否定しておりません」

別の司祭が言う。

「しかも」

「娘は妊娠している可能性があります」

会議室の空気が重くなる。

一人の司祭が言った。

「これは」

「教会への侮辱です」

別の司祭が頷く。

「聖職者の家族は」

「教会の保護下にあります」

「それを王太子が……」

言葉を止める。

沈黙。

やがて一人の老司祭が言った。

「宰相は何をしている」

神官が答える。

「……宰相は辞任しました」

また沈黙。

大司教はゆっくり目を閉じた。

「つまり」

「火消しがいない」

神官が頷く。

「はい」

「宰相府の官僚も王宮を去りました」

会議室の空気がさらに重くなる。

大司教は言った。

「噂は?」

神官は答える。

「王都中に広がっております」

「市場」

「酒場」

「貴族街」

「すべてです」

大司教は静かに言う。

「当然だ」

そしてゆっくり言った。

「今まで」

「誰が噂を止めていた」

神官が答える。

「宰相府です」

「新聞」

「商人」

「貴族」

「教会」

すべて調整していました」

沈黙。

大司教は低く言った。

「だが今」

「それがない」

一人の若い司祭が言った。

「では」

「王家に抗議しますか」

大司教は首を振った。

「もう抗議はしている」

神官が言う。

「王太子は」

「黙れ」

と言ったそうです」

会議室がざわめいた。

「なんだと」

「教会に向かって?」

大司教はゆっくり立ち上がった。

静かな声。

「ならば」

「次の段階だ」

司祭たちが顔を上げる。

大司教は言った。

「王家が自らの問題を処理できないなら」

一呼吸。

「教会が裁く」

沈黙。

そして。

大司教は命じた。

「公式声明を出す」

「王太子ユリウスに」

「悔い改めを求める」

司祭が聞いた。

「応じなければ?」

大司教は静かに答えた。

「その時は」

一言。

「破門を検討する」

その頃。

王宮。

騎士が王太子に報告していた。

「殿下」

「教会が」

「公式声明を出しました」

ユリウスは鼻で笑った。

「放っておけ」

騎士は言う。

「悔い改めを求めています」

ユリウスは吐き捨てる。

「黙れ」

「女一人のことで騒ぐな」

騎士は静かに言った。

「……教会は」

「かなり怒っております」

ユリウスは言う。

「どうでもいい」

そして背を向けた。

「神官など」

「王の家臣ではない」

だが。

王太子はまだ知らなかった。

この国で。

教会が本気で怒った時。

それは。

王家すら揺らす力になることを。
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