26 / 32
第26話 廃嫡要求
しおりを挟む
第26話 廃嫡要求
王宮の会議室。
空気は重く、張り詰めていた。
アルヴェーン公爵の言葉。
「決断が必要です」
その一言が、静かな衝撃として残っている。
国王オズヴァルト三世は、ゆっくりと息を吐いた。
「……公爵」
アルヴェーン公爵は静かに応じる。
「陛下」
国王は言う。
「その決断とは」
公爵は一瞬だけ沈黙した。
そして言った。
「二つございます」
ユリウスが不機嫌そうに腕を組む。
「言ってみろ」
公爵は王太子を一瞥する。
だが視線はすぐに国王へ戻る。
「第一」
静かな声。
「陛下のご引退」
会議室の空気が凍る。
ユリウスが立ち上がった。
「何だと!」
公爵は動じない。
「現在の王宮は機能しておりません」
「その責任は」
一呼吸。
「最終的には王にございます」
沈黙。
国王は何も言わない。
ユリウスは怒鳴る。
「父上は関係ない!」
公爵は淡々と言った。
「王宮の人事は」
「王の責任です」
沈黙。
そして公爵は続ける。
「第二」
その声は変わらず穏やかだった。
「王太子ユリウス殿下の」
一呼吸。
「廃嫡」
会議室が凍りつく。
ユリウスは机を叩いた。
「ふざけるな!」
「誰に向かって言っている!」
公爵は静かに答える。
「王太子殿下に」
ユリウスは怒鳴る。
「私は王太子だ!」
「次の王だ!」
公爵は言った。
「現在の王宮を」
「この状態にした方です」
ユリウスは叫ぶ。
「宰相が勝手に辞めた!」
公爵は首を傾げた。
「解任されたのでは?」
沈黙。
ユリウスの顔が歪む。
公爵は続ける。
「女性問題」
「教会問題」
「行政停止」
「契約問題」
一つ一つ数える。
「これらすべて」
「殿下が原因です」
沈黙。
国王は目を閉じたまま言った。
「……公爵」
公爵は答える。
「陛下」
国王は聞く。
「それ以外の道は」
公爵は少し考えた。
そして言う。
「ございます」
ユリウスが言う。
「ほら見ろ!」
公爵は続けた。
「ただし」
一呼吸。
「王宮は崩壊します」
沈黙。
国王はゆっくり目を開けた。
公爵は静かに言う。
「教会は怒っています」
「王都は噂で満ちています」
「行政は止まっています」
そして。
ゆっくり言った。
「このままでは」
「王家は持ちません」
沈黙。
長い沈黙。
会議室には誰の声もない。
やがて。
国王が静かに言った。
「……ユリウス」
王太子は振り向く。
国王は言う。
「お前は」
一呼吸。
「自分が何をしたか」
沈黙。
そして。
低く言った。
「理解しているか」
ユリウスは答えられなかった。
会議室の窓の外。
遠くに大聖堂の塔が見える。
王宮は今。
崩壊寸前だった。
そして。
王家に残された選択肢は――
ほとんどなかった。
王宮の会議室。
空気は重く、張り詰めていた。
アルヴェーン公爵の言葉。
「決断が必要です」
その一言が、静かな衝撃として残っている。
国王オズヴァルト三世は、ゆっくりと息を吐いた。
「……公爵」
アルヴェーン公爵は静かに応じる。
「陛下」
国王は言う。
「その決断とは」
公爵は一瞬だけ沈黙した。
そして言った。
「二つございます」
ユリウスが不機嫌そうに腕を組む。
「言ってみろ」
公爵は王太子を一瞥する。
だが視線はすぐに国王へ戻る。
「第一」
静かな声。
「陛下のご引退」
会議室の空気が凍る。
ユリウスが立ち上がった。
「何だと!」
公爵は動じない。
「現在の王宮は機能しておりません」
「その責任は」
一呼吸。
「最終的には王にございます」
沈黙。
国王は何も言わない。
ユリウスは怒鳴る。
「父上は関係ない!」
公爵は淡々と言った。
「王宮の人事は」
「王の責任です」
沈黙。
そして公爵は続ける。
「第二」
その声は変わらず穏やかだった。
「王太子ユリウス殿下の」
一呼吸。
「廃嫡」
会議室が凍りつく。
ユリウスは机を叩いた。
「ふざけるな!」
「誰に向かって言っている!」
公爵は静かに答える。
「王太子殿下に」
ユリウスは怒鳴る。
「私は王太子だ!」
「次の王だ!」
公爵は言った。
「現在の王宮を」
「この状態にした方です」
ユリウスは叫ぶ。
「宰相が勝手に辞めた!」
公爵は首を傾げた。
「解任されたのでは?」
沈黙。
ユリウスの顔が歪む。
公爵は続ける。
「女性問題」
「教会問題」
「行政停止」
「契約問題」
一つ一つ数える。
「これらすべて」
「殿下が原因です」
沈黙。
国王は目を閉じたまま言った。
「……公爵」
公爵は答える。
「陛下」
国王は聞く。
「それ以外の道は」
公爵は少し考えた。
そして言う。
「ございます」
ユリウスが言う。
「ほら見ろ!」
公爵は続けた。
「ただし」
一呼吸。
「王宮は崩壊します」
沈黙。
国王はゆっくり目を開けた。
公爵は静かに言う。
「教会は怒っています」
「王都は噂で満ちています」
「行政は止まっています」
そして。
ゆっくり言った。
「このままでは」
「王家は持ちません」
沈黙。
長い沈黙。
会議室には誰の声もない。
やがて。
国王が静かに言った。
「……ユリウス」
王太子は振り向く。
国王は言う。
「お前は」
一呼吸。
「自分が何をしたか」
沈黙。
そして。
低く言った。
「理解しているか」
ユリウスは答えられなかった。
会議室の窓の外。
遠くに大聖堂の塔が見える。
王宮は今。
崩壊寸前だった。
そして。
王家に残された選択肢は――
ほとんどなかった。
51
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか?結構ですわ。ですが違約金は国家予算になります
しおしお
恋愛
王太子エドガルドの婚約者である公爵令嬢アルシェラ・ヴァルディア。
だがある日、王太子は彼女を遠ざけ、代わりに義妹ノエリアを伴うようになる。
やがて社交界ではこう囁かれ始めた。
「王太子はアルシェラとの婚約を破棄するつもりらしい」と。
しかし――
アルシェラは慌てることも、泣くこともなかった。
「婚約破棄?どうぞご自由に」
そう微笑む彼女の手には、王家とヴァルディア家が結んだ正式な婚約契約書があった。
その契約には一つの条項がある。
王家が婚約を破棄する場合、違約金は“王国北方防衛費十年分”。
つまり、国家財政すら揺るがす巨額の賠償金。
そして春の王宮舞踏会――
王太子は満場の貴族の前で婚約破棄を宣言する。
だがその瞬間、アルシェラは契約書を掲げた。
「婚約破棄はご自由に。ただし契約は守ってくださいませ」
王太子、義妹、そして王家を巻き込んだ
社交界最大の公開逆転劇が幕を開ける。
これは、静かな公爵令嬢が
契約一枚で王太子の“真実の愛”を叩き潰す物語。
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
婚約者から「君のことを好きになれなかった」と婚約解消されました。えっ、あなたから告白してきたのに?
四折 柊
恋愛
結婚式を三か月後に控えたある日、婚約者である侯爵子息スコットに「セシル……君のことを好きになれなかった」と言われた。私は驚きそして耳を疑った。(だってあなたが私に告白をして婚約を申し込んだのですよ?)
スコットに理由を問えば告白は人違いだったらしい。ショックを受けながらも新しい婚約者を探そうと気持ちを切り替えたセシルに、美貌の公爵子息から縁談の申し込みが来た。引く手数多な人がなぜ私にと思いながら会ってみると、どうやら彼はシスコンのようだ。でも嫌な感じはしない。セシルは彼と婚約することにした――。全40話。
婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです
ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。
「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」
隣には涙を流す義妹ルミレア。
彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。
だが――王太子は知らなかった。
ヴァレリオン公爵家が
王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証――
王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。
婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。
「では契約を終了いたします」
その瞬間、王国の歯車は止まり始める。
港は停止。
銀行は資金不足。
商人は取引停止。
そしてついに――
王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。
「私は悪くない!」
「騙されたんだ!」
見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。
王太子、義妹、義父母。
すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。
「契約は終わりました」
不器量令嬢は、婚約破棄の断罪が面倒くさい
あんど もあ
ファンタジー
不器量なマルグリットは、婚約者の美しい第一王子からずっと容姿を貶められる日々。とうとう王立学園の卒業パーティーで王子に婚約破棄を宣言され、「王子から解放される! それいいかも!」となったが、続く断罪が面倒くさくて他の人に丸投げする事にする。
「やはり鍛えることは、大切だな」
イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」
その日、一つのお見合いがあった。
ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。
クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。
そして互いに挨拶を交わすその場にて。
ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。
けれども……――。
「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」
婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい
神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。
嘘でしょう。
その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。
そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。
「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」
もう誰かが護ってくれるなんて思わない。
ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。
だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。
「ぜひ辺境へ来て欲しい」
※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m
総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ ありがとうございます<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる