白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇

鍛高譚

文字の大きさ
24 / 40

第24話 ミレイナとの対峙/カイルの宣言

しおりを挟む
第24話 ミレイナとの対峙/カイルの宣言

翌朝。
学院の正面ホールは、不穏な緊張に包まれていた。

女子生徒たちがざわざわと集まり、視線は一点へ向けられている。
その中心に立つのは──ミレイナ・アーデル。

金色の髪を揺らし、完璧な笑みを浮かべながら扇子を広げていた。

「皆さま、昨日の噂、ご存じでしょう?
あの庶民のリオナさんが、カイル様へ“特別な働きかけ”をしているという話」

「まあ……庶民の分際で」
「カイル様を利用して、貴族の立場を得ようとしてるのね」

ミレイナは満足げに頷いた。

「カイル様が迷惑しているのに、困ったものですわ」

と──その瞬間。

ホールの扉が勢いよく開いた。

ガタンッ。

全員の視線がそちらへ向かう。

「……ミレイナ」

低く鋭い声。
声の主は、学院中の女子が憧れる青年──カイル・ノーグレイだった。

その後ろには、少し不安そうにリオナがついてきている。

ミレイナは、途端に優雅な微笑みを取り繕った。

「まあ、カイル様。こんなところでお会いするなんて。
昨日の件は……」

「ミレイナ。話がある」

カイルは真っ直ぐ彼女を見据えた。
まるで一切の逃げ場を与えないような、鋭い視線。

ミレイナの笑みがわずかにひきつる。

「なんでしょう、カイル様?」

カイルは人々の前に立ち、声を張った。

「昨日から学院中で流れている噂──あれは“嘘”だ」

ホールが一気にざわめく。

「嘘……?」
「え、でもリオナが……」
「じゃあ誰が……?」

ミレイナは小さく扇子を震わせた。

「ま、まさか……私を疑っておられるんですの?」

「疑っているのではない。確信している」

静かながら冷たい声だった。

「リオナを貶める噂を流したのは、ミレイナ……君だ」

女子たちが息を呑む。

ミレイナは必死に取り繕う。

「お待ちくださいませ! 私、そんなことするわけ──」

「昨日の放課後。
君が取り巻きの前で“リオナが誘惑している”と話していたのを、僕は聞いた」

ミレイナの顔色が一気に青ざめる。

「そ、それは……その……!」

「さらに言えば、君が直接リオナへ“学院に似合わない”と言ったことも、
リオナの友人から聞いている」

リオナは驚いてカイルを見る。

(……私、言ってないのに……!
カイルくん、そんなところまで……)

「ミレイナ、君の行いは許されない。
身分差を利用して誰かを傷つけるなど、貴族として最も恥ずべき行いだ」

ミレイナは震えながら叫んだ。

「わ、私は……ただ……!
カイル様を、守ろうと……!」

「守る? 君は僕の友人を傷つけただけだ」

はっきりとした言葉だった。

「カイル様……友人……?」

ミレイナは絶句する。

一方、周囲の女子たちはさらにざわめいた。

「カイル様が“友人”ってはっきり言った……」
「あの庶民の子と……?」

リオナは真っ赤になって俯いた。

(とも、友人……!
そんな……嬉しすぎ……る……)

カイルは一歩前に出た。

「そして──今日、ここで宣言する」

ミレイナは息を呑む。

「何を……?」

カイルはリオナの横に立ち、彼女を守るように前へ出て言い放った。

「僕は、リオナを守る。
彼女に対する不当な噂や嫌がらせは、すべて僕が責任をもって止めさせる」

ホールが揺れるほどのざわめきが起きた。

「守る……?」
「え……これって……」
「カイル様、そこまで……?」

ミレイナは唇を噛みしめ、震える声で叫んだ。

「どうして……どうしてそんな庶民なんか……!」

カイルは静かに言った。

「身分など関係ない。
僕は……リオナの心を大切にしたいと思ったからだ」

リオナの心臓が跳ねあがる。

(か、カイルくん……っ……!?)

ミレイナはその場に崩れ落ちた。

「いや……いやよ……こんなの……!」

カイルはリオナの手をそっと引いた。

「リオナ、行こう」

「……う、うん……」

二人がホールを去るとき。
まわりの視線は恐る恐るリオナを見つめていた。

その視線は、昨日までの“軽蔑”や“憶測”ではない。

──“彼女は、カイルに選ばれた存在だ”

という混乱した敬意だった。

しかし、その一方で。

ミレイナの瞳には、燃えるような憎悪が宿っていた。

(リオナ……絶対に許さない……
あなたなんかに、何も奪わせない……!)

そして、彼女の背後には──
事態をさらに悪化させる「陰の勢力」が既に動き始めていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

白狼王の贄姫のはずが黒狼王子の番となって愛されることになりました

鳥花風星
恋愛
白狼王の生贄としてささげられた人間族の第二王女ライラは、白狼王から「生贄はいらない、第三王子のものになれ」と言われる。 第三王子レリウスは、手はボロボロでやせ細ったライラを見て王女ではなく偽物だと疑うが、ライラは正真正銘第二王女で、側妃の娘ということで正妃とその子供たちから酷い扱いを受けていたのだった。真相を知ったレリウスはライラを自分の屋敷に住まわせる。 いつも笑顔を絶やさず周囲の人間と馴染もうと努力するライラをレリウスもいつの間にか大切に思うようになるが、ライラが番かもしれないと分かるとなぜか黙り込んでしまう。 自分が人間だからレリウスは嫌なのだろうと思ったライラは、身を引く決心をして……。 両片思いからのハッピーエンドです。

溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~

紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。 ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。 邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。 「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」 そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。

白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活

しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。 新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。 二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。 ところが。 ◆市場に行けばついてくる ◆荷物は全部持ちたがる ◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる ◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる ……どう見ても、干渉しまくり。 「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」 「……君のことを、放っておけない」 距離はゆっくり縮まり、 優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。 そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。 “冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え―― 「二度と妻を侮辱するな」 守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、 いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。

会えば喧嘩ばかりの婚約者と腹黒王子の中身が入れ替わったら、なぜか二人からアプローチされるようになりました

黒木メイ
恋愛
伯爵令嬢ソフィアと第一王子の護衛隊長であるレオンの婚約は一年を迎えるが、会えば口喧嘩、会わなければ音信不通というすれ違いの日々。約束を破り続けるレオンと両親からの『式だけでも早く挙げろ』という圧に我慢の限界を迎えたソフィアは、ついに彼の職場である王城へと乗り込む。 激しい言い争いを始めた二人の前に現れたのは、レオンの直属の上司であり、優雅な仮面の下に腹黒な本性を隠す第一王子クリスティアーノ。 王子は二人が起こした騒動への『罰』として、王家秘伝の秘薬をレオンに服用させる。その結果――なんとレオンとクリスティアーノの中身が入れ替わってしまった!全ては王子の計画通り。 元に戻るのは八日後。その間、ソフィアはこの秘密がバレないよう、文字通り命がけで奔走することとなる。 期限付きの入れ替わり生活は、不器用な婚約者との関係をどう変えるのか? そして、この騒動を引き起こした腹黒王子の真の目的とは? ※設定はふわふわ。 ※予告なく修正、加筆する場合があります。 ※他サイトからの転載。

『君だから、恋を知った 』――冷徹殿下×天然令嬢のじれ甘ロマンス――

だって、これも愛なの。
恋愛
冷徹と呼ばれる殿下と、おっとり天然な令嬢。 恋をまだ知らない彼女は、ただ彼を「優しい人」と信じていた。 けれど殿下は――彼女が気になって、心配で、嫉妬して、もだもだが止まらない。 すれ違い、戸惑い、やがて気づく初めての恋心。 星空の下で結ばれる両想いから、正式な婚約、そして新婚の日常へ。 じれじれの甘やかしを、小さな出来事とともに。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

悪役を演じて婚約破棄したのに、なぜか溺愛モードの王子がついてきた!

ちゃっぴー
恋愛
公爵令嬢ミュールは、重度のシスコンである。「天使のように可愛い妹のリナこそが、王妃になるべき!」その一心で、ミュールは自ら「嫉妬に狂った悪役令嬢」を演じ、婚約者であるキース王太子に嫌われる作戦に出た。 計画は成功し、衆人環視の中で婚約破棄を言い渡されるミュール。「処罰として、王都から追放する!」との言葉に、これで妹が幸せになれるとガッツポーズをした……はずだったのだが? 連れて行かれた「追放先」は、王都から馬車でたった30分の、王家所有の超豪華別荘!? しかも、「君がいないと仕事が手につかない」と、元婚約者のキース殿下が毎日通ってくるどころか、事実上の同棲生活がスタートしてしまう。

勘違い令嬢の離縁大作戦!~旦那様、愛する人(♂)とどうかお幸せに~

藤 ゆみ子
恋愛
 グラーツ公爵家に嫁いたティアは、夫のシオンとは白い結婚を貫いてきた。  それは、シオンには幼馴染で騎士団長であるクラウドという愛する人がいるから。  二人の尊い関係を眺めることが生きがいになっていたティアは、この結婚生活に満足していた。  けれど、シオンの父が亡くなり、公爵家を継いだことをきっかけに離縁することを決意する。  親に決められた好きでもない相手ではなく、愛する人と一緒になったほうがいいと。  だが、それはティアの大きな勘違いだった。  シオンは、ティアを溺愛していた。  溺愛するあまり、手を出すこともできず、距離があった。  そしてシオンもまた、勘違いをしていた。  ティアは、自分ではなくクラウドが好きなのだと。  絶対に振り向かせると決意しながらも、好きになってもらうまでは手を出さないと決めている。  紳士的に振舞おうとするあまり、ティアの勘違いを助長させていた。    そして、ティアの離縁大作戦によって、二人の関係は少しずつ変化していく。

処理中です...