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3章 元婚約者の破滅と、揺れ動く想い
3-6.嵐の予感――そして、第4章へ
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6.嵐の予感――そして、第4章へ
その翌日から、ゼインはルーヴェル王国の王宮とも連絡を取り始めた。表向きは「グランフォード王国との国境の治安維持に関する相談」などを理由に挙げつつ、裏では伯爵夫妻の救出作戦を極秘裏に進める。幸い、ファーガス家は王家から絶大な信用を得ており、大がかりな人員を動かしても疑われる可能性は低い。
一方、スカーレットは自分にできる限りの協力をした。ヨーク伯爵家の邸宅構造や、伯爵夫妻の交友関係、家臣たちの性格などを細かく伝え、救出時の連絡方法や合流場所を想定していく。もし王都近くで騒ぎが起これば、アメリアや王太子の警戒が強まるだろう。だからこそ、迅速かつ密やかな作戦が求められる。
そんな慌ただしい準備の日々の中でも、ゼインとスカーレットの間には微妙な空気が生まれ始めていた。先日の“婚約”の提案以来、二人の距離感はぎこちなくも甘やかなものになっている。図書室で顔を合わせれば言葉少なに笑みを交わし、夕食の場では自然と話題が途切れず続く。いつの間にか心の奥底で、お互いを意識し始めているのを感じる。
もっとも、今は伯爵夫妻を救うことが最優先だ。恋愛感情を自覚するには、あまりに緊迫した状況が続いている。それでも、些細なやり取りや目線の交差にドキリとする瞬間は増え、スカーレット自身、自分がゼインに強く惹かれていることを否定できなくなっていた。
(私とゼイン様が、もし本当に結ばれるとしたら……。そんな未来が、あるのかしら)
まだ、わからない。でも、もし両親を救うことができて、新しい人生を歩むなら――きっと、自分は彼を好きになるだろう。いや、既にその想いは始まっているのかもしれない。
こうして、スカーレット・ヨークの運命は再び大きく動き出す。かつての婚約者アルバートが自滅への道を進み、偽りの聖女アメリアが王宮を掌握する中、彼女は隣国ルーヴェル王国の公爵ゼインと奇妙な縁を結び、伯爵家の家族を救おうと決意したのである。
嵐の前の静けさにも似た、不穏な空気が漂い始める両国。果たして、伯爵夫妻の運命はどうなるのか。そして、ゼインとスカーレットの想いは真実の愛へと育つのか――。
すべては、これから始まる作戦の成否にかかっているのだった。
その翌日から、ゼインはルーヴェル王国の王宮とも連絡を取り始めた。表向きは「グランフォード王国との国境の治安維持に関する相談」などを理由に挙げつつ、裏では伯爵夫妻の救出作戦を極秘裏に進める。幸い、ファーガス家は王家から絶大な信用を得ており、大がかりな人員を動かしても疑われる可能性は低い。
一方、スカーレットは自分にできる限りの協力をした。ヨーク伯爵家の邸宅構造や、伯爵夫妻の交友関係、家臣たちの性格などを細かく伝え、救出時の連絡方法や合流場所を想定していく。もし王都近くで騒ぎが起これば、アメリアや王太子の警戒が強まるだろう。だからこそ、迅速かつ密やかな作戦が求められる。
そんな慌ただしい準備の日々の中でも、ゼインとスカーレットの間には微妙な空気が生まれ始めていた。先日の“婚約”の提案以来、二人の距離感はぎこちなくも甘やかなものになっている。図書室で顔を合わせれば言葉少なに笑みを交わし、夕食の場では自然と話題が途切れず続く。いつの間にか心の奥底で、お互いを意識し始めているのを感じる。
もっとも、今は伯爵夫妻を救うことが最優先だ。恋愛感情を自覚するには、あまりに緊迫した状況が続いている。それでも、些細なやり取りや目線の交差にドキリとする瞬間は増え、スカーレット自身、自分がゼインに強く惹かれていることを否定できなくなっていた。
(私とゼイン様が、もし本当に結ばれるとしたら……。そんな未来が、あるのかしら)
まだ、わからない。でも、もし両親を救うことができて、新しい人生を歩むなら――きっと、自分は彼を好きになるだろう。いや、既にその想いは始まっているのかもしれない。
こうして、スカーレット・ヨークの運命は再び大きく動き出す。かつての婚約者アルバートが自滅への道を進み、偽りの聖女アメリアが王宮を掌握する中、彼女は隣国ルーヴェル王国の公爵ゼインと奇妙な縁を結び、伯爵家の家族を救おうと決意したのである。
嵐の前の静けさにも似た、不穏な空気が漂い始める両国。果たして、伯爵夫妻の運命はどうなるのか。そして、ゼインとスカーレットの想いは真実の愛へと育つのか――。
すべては、これから始まる作戦の成否にかかっているのだった。
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