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4章 運命の歯車が再び回り始める
4-5国境線での邂逅、ゼインの騎士団
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4-5国境線での邂逅、ゼインの騎士団
やがて夜が明け、東の空が薄く白み始める頃。馬車は森を抜け、開けた場所へと出る。ここから少し進めば、ルーヴェル王国との国境が近いはず――そう私兵が地図を確認するが、同時に背後からは馬の蹄がごうごうと迫る音が聞こえる。
「来たか……敵だ」
案の定、王太子側の兵士たちが大勢で追いかけてきたのだろう。彼らは伯爵夫妻が逃亡したと知り、アルバートの命によって国境封鎖を試みている。
「くそっ、このままでは包囲される……急いで国境を越えないと!」
御者台の私兵が鞭を振りかざし、馬を疾走させる。しかし、相手の馬も騎乗兵が多く、一瞬で距離を詰められそうになる。伯爵夫人は思わず声にならない悲鳴を上げ、「このままでは私たち、捕まってしまう……」と不安を募らせる。
――だが、その一瞬後。森の先に広がる道の向こうに、一団の騎士たちが待ち受けている光景が見えた。
「ルーヴェル王国の軍旗……? もしかして……!」
伯爵が目を凝らすと、そこには馬にまたがったゼイン・ファーガス公爵の姿がはっきりと見える。漆黒のマントを翻し、その銀髪を朝日に照らされながら、ゼインは騎士団を率いて厳かな面持ちで佇んでいた。総勢は20名ほどか――少数精鋭だが、その統率力と威圧感は王太子の追撃部隊など比ではない。
「ヨーク伯爵夫妻を迎えに来た。お前たちの手出しは許さない」
ゼインの鋭い声が、朝焼けの空気を震わせる。
追撃の兵士たちは、一瞬怯んだ。まさか公爵が直接国境付近まで出向き、待ち受けているとは思っていなかったのだろう。王太子アルバートの命令とはいえ、隣国の公爵に正面から挑めば、外交問題どころか戦争の火種になる可能性がある。
「貴様らは引き返せ! 伯爵夫妻は我が国への亡命を希望している。正当な手続きを踏むつもりだ。ここで捕縛しようなど、余計な真似はしないほうがいいぞ」
ゼインの声量は抑えられているが、凄まじい威圧感がある。兵士たちはためらい、互いに顔を見合わせるしかなかった。なにせ相手はファーガス公爵。軍事にも政治にも長け、王族すら一目置く存在として有名なのだ。
結局、追撃部隊の隊長らしき男が、「これ以上は危険だ……引き上げる!」と撤退を指示するしかなかった。アルバートの命令に逆らうわけにはいかないが、ここで公爵軍と正面衝突して負ければ、責任を問われるのは自分たちだ。
兵士たちが慌てて退却していくのを横目に、ゼインは伯爵夫妻の馬車へ近づく。そして、深く安堵の息をつきながら手を差し伸べた。
「……間に合ったか。伯爵、伯爵夫人。よくぞご無事で」
伯爵は震える声で感謝を告げる。伯爵夫人も涙を流し、「スカーレットに会えますね……!」と口走る。ゼインは静かに頷いた。
「これで安全圏だ。もう王太子殿下とやらの追手は届かない。さあ、行こう――スカーレットが待っている」
やがて夜が明け、東の空が薄く白み始める頃。馬車は森を抜け、開けた場所へと出る。ここから少し進めば、ルーヴェル王国との国境が近いはず――そう私兵が地図を確認するが、同時に背後からは馬の蹄がごうごうと迫る音が聞こえる。
「来たか……敵だ」
案の定、王太子側の兵士たちが大勢で追いかけてきたのだろう。彼らは伯爵夫妻が逃亡したと知り、アルバートの命によって国境封鎖を試みている。
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御者台の私兵が鞭を振りかざし、馬を疾走させる。しかし、相手の馬も騎乗兵が多く、一瞬で距離を詰められそうになる。伯爵夫人は思わず声にならない悲鳴を上げ、「このままでは私たち、捕まってしまう……」と不安を募らせる。
――だが、その一瞬後。森の先に広がる道の向こうに、一団の騎士たちが待ち受けている光景が見えた。
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伯爵が目を凝らすと、そこには馬にまたがったゼイン・ファーガス公爵の姿がはっきりと見える。漆黒のマントを翻し、その銀髪を朝日に照らされながら、ゼインは騎士団を率いて厳かな面持ちで佇んでいた。総勢は20名ほどか――少数精鋭だが、その統率力と威圧感は王太子の追撃部隊など比ではない。
「ヨーク伯爵夫妻を迎えに来た。お前たちの手出しは許さない」
ゼインの鋭い声が、朝焼けの空気を震わせる。
追撃の兵士たちは、一瞬怯んだ。まさか公爵が直接国境付近まで出向き、待ち受けているとは思っていなかったのだろう。王太子アルバートの命令とはいえ、隣国の公爵に正面から挑めば、外交問題どころか戦争の火種になる可能性がある。
「貴様らは引き返せ! 伯爵夫妻は我が国への亡命を希望している。正当な手続きを踏むつもりだ。ここで捕縛しようなど、余計な真似はしないほうがいいぞ」
ゼインの声量は抑えられているが、凄まじい威圧感がある。兵士たちはためらい、互いに顔を見合わせるしかなかった。なにせ相手はファーガス公爵。軍事にも政治にも長け、王族すら一目置く存在として有名なのだ。
結局、追撃部隊の隊長らしき男が、「これ以上は危険だ……引き上げる!」と撤退を指示するしかなかった。アルバートの命令に逆らうわけにはいかないが、ここで公爵軍と正面衝突して負ければ、責任を問われるのは自分たちだ。
兵士たちが慌てて退却していくのを横目に、ゼインは伯爵夫妻の馬車へ近づく。そして、深く安堵の息をつきながら手を差し伸べた。
「……間に合ったか。伯爵、伯爵夫人。よくぞご無事で」
伯爵は震える声で感謝を告げる。伯爵夫人も涙を流し、「スカーレットに会えますね……!」と口走る。ゼインは静かに頷いた。
「これで安全圏だ。もう王太子殿下とやらの追手は届かない。さあ、行こう――スカーレットが待っている」
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