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4章 運命の歯車が再び回り始める
4-4王都脱出、迫りくる追っ手
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4-4王都脱出、迫りくる追っ手
夜陰が深まる頃、ヨーク伯爵邸の地下室では、伯爵夫妻が真剣な面持ちで身支度を整えていた。王太子アルバートの近衛兵が屋敷を包囲し、さらにはアメリアの息のかかった怪しげな者たちが“放火”や“毒殺”など卑劣な手段を繰り返し試みようとしている中、伯爵夫妻は命からがら数日を過ごしてきた。
やがて、ゼインの私兵がそっと屋敷の裏庭に現れ、かねてから打ち合わせていた合図を送る。伯爵夫妻は信頼できる数名の古参使用人にも知らせず、ほとんどの荷物を捨て去り、数枚の重要書類や証拠だけを小さな鞄に詰め、闇夜に紛れて脱出を図った。
物音ひとつでも聞かれれば一巻の終わりという緊張感が漂う。過去に一度も使ったことのない“地下トンネル”を進み、裏手の細い抜け道へと向かうとき、伯爵夫人は足元が震えるのを必死にこらえていた。
「お、お父様……私たち、本当にここを通って出られるのでしょうか……」
「きっと大丈夫だ。ファーガス公爵の私兵が整備したと言っていた。落ち着いて進めば、外へ出られるはず……」
伯爵はそう言い聞かせながら妻の手を握る。疲れと恐怖、そして「娘を守るために、ここで倒れるわけにはいかない」という想いが、夫妻を前へと進ませる原動力だった。
しかし、出口付近で待ち受けていた数名の私兵が、「もう少し……あと数メートルで地上へ抜けます」という囁き声を立てたところで、何者かの足音が辺りに響く。どうやら近衛兵の巡回ルートが変更になっていたようだ。
地下から抜け出した瞬間、闇の中から「そこにいるのは誰だ!」という鋭い声が上がる。伯爵夫妻は息をのむが、ゼインの私兵がすかさず腕力と奇襲によって兵を無力化し、何とか大きな音を立てずに制圧した。
「急げ! 増援が来るぞ!」
「伯爵夫妻は荷馬車へ! すぐに街道へ向かう!」
汗まみれのやり取りが続き、かろうじてヨーク伯爵夫妻は闇夜に隠れながら屋敷裏を脱出することに成功する。馬車は荒れた路地を抜け、なるべく人目の少ない道を選んで国境へ向かう。
しかし、当然ながらアルバートが放った追っ手も王都の各ルートで待ち伏せしている可能性が高い。しかも、夜明けが近づけば道中で見つかるリスクも増える。まさしく時間との勝負だ。伯爵夫人は馬車の奥でひたすら震えながら、「スカーレット……あなたに会いたい」と心中で唱え続けた。伯爵もまた拳を握りしめ、「ファーガス公爵が、きっと我々を助けてくれる」と祈るように念じている。
夜陰が深まる頃、ヨーク伯爵邸の地下室では、伯爵夫妻が真剣な面持ちで身支度を整えていた。王太子アルバートの近衛兵が屋敷を包囲し、さらにはアメリアの息のかかった怪しげな者たちが“放火”や“毒殺”など卑劣な手段を繰り返し試みようとしている中、伯爵夫妻は命からがら数日を過ごしてきた。
やがて、ゼインの私兵がそっと屋敷の裏庭に現れ、かねてから打ち合わせていた合図を送る。伯爵夫妻は信頼できる数名の古参使用人にも知らせず、ほとんどの荷物を捨て去り、数枚の重要書類や証拠だけを小さな鞄に詰め、闇夜に紛れて脱出を図った。
物音ひとつでも聞かれれば一巻の終わりという緊張感が漂う。過去に一度も使ったことのない“地下トンネル”を進み、裏手の細い抜け道へと向かうとき、伯爵夫人は足元が震えるのを必死にこらえていた。
「お、お父様……私たち、本当にここを通って出られるのでしょうか……」
「きっと大丈夫だ。ファーガス公爵の私兵が整備したと言っていた。落ち着いて進めば、外へ出られるはず……」
伯爵はそう言い聞かせながら妻の手を握る。疲れと恐怖、そして「娘を守るために、ここで倒れるわけにはいかない」という想いが、夫妻を前へと進ませる原動力だった。
しかし、出口付近で待ち受けていた数名の私兵が、「もう少し……あと数メートルで地上へ抜けます」という囁き声を立てたところで、何者かの足音が辺りに響く。どうやら近衛兵の巡回ルートが変更になっていたようだ。
地下から抜け出した瞬間、闇の中から「そこにいるのは誰だ!」という鋭い声が上がる。伯爵夫妻は息をのむが、ゼインの私兵がすかさず腕力と奇襲によって兵を無力化し、何とか大きな音を立てずに制圧した。
「急げ! 増援が来るぞ!」
「伯爵夫妻は荷馬車へ! すぐに街道へ向かう!」
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しかし、当然ながらアルバートが放った追っ手も王都の各ルートで待ち伏せしている可能性が高い。しかも、夜明けが近づけば道中で見つかるリスクも増える。まさしく時間との勝負だ。伯爵夫人は馬車の奥でひたすら震えながら、「スカーレット……あなたに会いたい」と心中で唱え続けた。伯爵もまた拳を握りしめ、「ファーガス公爵が、きっと我々を助けてくれる」と祈るように念じている。
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