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第2話 蒼乃①【警官と幼馴染と事件の尾鰭】
しおりを挟む「浅月さんさぁ、『必要以上に目立つな』って言ったよね?」
「……返す言葉もありません」
「じゃあ、『申し訳ありません』って言いなー?」
「交番長は意味のない謝罪がお気に召さないのでは?」
「意味ないって自分で言わないよー?」
税金で働く公僕が、時として命のやり取りをする職務であるにも関わらず、交番の一室でこんなゆるい会話をしている事実を、どうか許してほしい。
ここ、花苑交番は、本署、つまりは警察署からそう離れていないので一見すると事案件数が少なそうと思われがちだが、管轄内に飲み屋が多いので、夜になるとそれはそれはくだらない(と、言ってはいけない)トラブルが多い。
規模の割に事案が多くて、勤務員が少ないーー三交代制の勤務員が合計5名。巡査2名、巡査部長2名、交番長である仙崎さんが警部補にあたり、1名。泣いても笑ってもこの人数で対応する。悲しいかな、「ハズレの配属先」と陰口を叩かれているらしい。
私、浅月蒼乃は、警察官の職務について早6年。
大学卒業と同時に入校した警察学校で、鍛え抜かれた逮捕術が昨日はじめて実戦で発揮された。
発揮……してしまった。
交番長も言っていたけれど
「警察人生で被疑者なり不審者なり、ましてや現行犯で人をぶん投げるなんて普通ありえないのよ」
とのこと。本当にそう思う。
ドラマはドラマであって、あくまでフィクション。
現行犯逮捕で手錠とか、カーアクションとか、拳銃発砲なんて警官人生で一度もなくて当たり前だし、なくていい。
交番勤務員の義務なので警棒も下げているけれど、これだって多分一生出番がない。
出番がないくせに重いから、本当に嫌になる。せめて別の使い道があってほしい。暑い日に冷たくなるとか。Wi-Fi飛ばせるとか。
そんなバカなことを考える私はふと、昨晩のゆうくん……もう大学生なのに、『ゆうくん』は怒られちゃうかな? 幼馴染の、蜂須賀優吾くんが頭をよぎる。
(すっかり大きくなってたな……)
男の子ではなくなっていた、優吾くん。
ぷくぷくほっぺの赤ちゃんみたいだった彼は、今どきの、わかりやすくモテそうな、爽やか大学生に成長していた。……時の流れって怖い。
優吾くんは、被害届を出さなかった。
「病院が必要な怪我でもないし」
と言ったその後頭部には、確かに殴られた痕はない。
あの時、破壊された植木鉢は『金のなる木』が植えられていた。
「これが凶器に至らなくて本当に良かったよ」
土をかき集めながら、苗を優しくバケツに入れた優吾くんは、「これ、復活するかな」と表情を曇らせている。
「根本が無事なら大丈夫じゃないかな。せっかくだから、古土を落としてひとまわり大きい鉢植えにしても良いかも」
「それ、3日前にやった」
「え、鉢替えなんてよく知ってたね?」
「……蒼乃ちゃんが俺に教えたんじゃん。根腐れしているところは落とすとか、デカくなりすぎたら挿し木するとか」
むっとする彼は……無意識なんだろうな、唇がとんがって、眦を細くさせるーー「あそぼう」と誘ってくる彼に「ごめんね」って返した時と、同じ反応だった。
目の前にいる青年は、逞しく筋肉質で、ちょっと厳ついくらいの外見なのに。……意識が、8年前に引っ張られていくように、ぎゅうっと苦しくなる。
よく覚えていたね、とか。
私、そんなことも教えてたんだね、とか。
続けるべき二の句はいくらでもあったのに。
「……そっか」
見た目が変わった優吾くんの、変わらない一面に、心がじんわりと濡れて、上手く言葉が形成できない。
対して、優吾くんは忙しなく視線を泳がす。
私との距離感を測りかねているのは、手に取るように明らかだった。
突然の再会がこんな形なの、やっぱり嫌なのかなって……口の中に苦いものが広がった時だ。
「あ、のさ……蒼乃ちゃんが……ごめん、やっぱりなんでもない」
少し迷ったように、そして、周囲を見渡した後、言いづらそうに言葉を窄める。
「え、そこでやめる?」
「ごめん、マジで無かったことにして。すげぇキモイこと言いそうだった……」
「気になるんだけれどなぁ」
優吾くんは、あー、とか。うー、って、一通り唸って、口元をシャツで隠しちゃう。
裾から覗く腹筋がしっかり割れていた。セクシーだからお腹しまって。お姉さんいろいろ心配。
「……蒼乃ちゃんが、頭、撫でてくれたら、殴られたことなんて吹っ飛んじゃうんだけどなー……て」
チラッとよこされる、熱っぽい視線。襟をさらに引っ張って、顔を半分隠しても、真っ赤な耳が見えちゃっている。
自分で言っといて、照れるとか。
「ふ……っ!」
我慢、できなかった。
覗く腹囲は見事なシックスバックなのに。
消防士さんみたいな立派な体格になったのに。
素直で可愛いところは変わらないんだ。
「ふふふ……ごめ……ふっ……! もぉ、可愛い……!」
職務中にも関わらず、どうしよう、すごい笑っちゃう。
当の本人は「言わなきゃ良かった……」って、露骨に凹んでるし。
優吾くん。
まだ、私に甘えてくれるんだ。
可愛い可愛い、私だけの男の子だった優吾くん。
「……いいよ、屈んで」
「え?!」
「ほら、早く」
目配せする。店の入り口で、人目があるから。
レジカウンターが死角になる位置で、彼の頭部に手を置いた。
「いたいのいたいの、とんでけー」
撫でるっていうか、ちょっと髪をかき混ぜるみたいにしちゃったけれど……優吾くんは、ふっと糸が解けるみたいに眦を優しく細めたの。
「えー、ちょ……まじでやる……? 俺何歳だと思っているの……」
照れたような苦笑い。自分でおねだりしたくせに。まんざらでもないことはすぐにわかる。
全身が心地よく、くすぐったかった。
こういうの、癒されるって言うんだよね。
疲労感が紐解かれるように、身体の芯がふにゃふにゃになりそう……。
ふと、刺さるような視線を感じて、はっと背筋を伸ばす。
「……ごめんね、お話したいことはたくさんあるんだけれど、今は時間が取れないや」
「あ、うん……そうだよな」
「私、花苑交番に勤務しているの。困ったことがあれば、いつでも来て」
押し付けるように、名刺を渡す。
私の意図を汲み取ってくれたらしい優吾くんはすぐにポケットに突っ込んでいる。
優吾くんと離れた後、機動捜査隊の1人に「ずいぶん親密そうにしていたなァ?」と意地悪く言われた。
「職務中にナンパかよ」
せせら笑う彼は、普段あまり関わることのない同僚だ。機動捜査隊という……通報時に真っ先に急行する部署故に、私たち交番勤務員を含む地域課との接点は多いけれど、彼個人が私に良い感情を抱いていないのだろう。
「同郷の、幼馴染です」
「ハッ、どうだか」
「やましいことは、なにも」
「へぇ~、あそぉ」
……言葉の意味をそのままに受け止めてくれないだろう。変な噂を立てられるかもしれない。
全く持って、嫌になる。
男社会の職場と覚悟して警察官を選んだけれど、その渦中で、より陰湿で粘着質な眼を向けられるなど想像もしていなかった。
そして、この夜の事案は予想外の方向で尾を引くこととなる。
★
「おつかれぇ~す。お、有名人がいるじゃん。なんだっけ?『美人すぎる警察官』?」
文字通り形だけのお説教中に、いかにもバカにした様子で榊巡査部長が2階から降りてきた。
警察官らしからぬ軟派な雰囲気と、右目の泣き黒子が特徴的な彼はとにかく私を揶揄うのが大好きだ。
「災難だったなァ、浅月。お前、酔っ払いを背負い投げするところ、撮影されてたんだろ?」
榊くんのにやにやが止まらない。
そうなのだ。
店内に残っていた男性二人組のお客さんが、決定的な瞬間を撮影していたらしい。「日本の警察官マジ優秀」とショート動画をアップしてしまった。
コメントには
「髪長いけれど、女の人なの?!」
「強い、てか、リーマンが弱ぇ」
「リーマンきょとんとしてるのウケる」
「やらせ乙」
「女性警官かっこよすぎた」
「脚長ぇなこのおねーさん」
「お尻小さくてえっち」
「美人臭すご」
などなど……意外と反応は好意的だったけれど、そういうことじゃない。
褒めてくれたのは嬉しい。
嬉しいけれど、やめてくれ。
あと私個人を特定しようとするのホントやめて。
「お手本みたいな背負い投げだったねぇ」
仙崎交番長がのんびりスマホをいじっている。
それ、拡散された動画じゃないですか。
なんで削除申請したのに、アップした彼らは削除してくれたのに、あなたが保存しているんですか。
「『逮捕の瞬間! 警察24時』だったら撮れ高すごいっすよね」
榊巡査部長。
絶対面白がってますよね。
休憩あけて勤務中でしょ? ご近所のお子さんから頂いたうまい棒を食べるのやめなさいよ。そもそも子どもからお菓子貰ってんじゃないわよ。
溜息しかない。
例えばここで「他人事だと思って!」と憤慨してみるとしよう。
この2人は「まーねー」と声を揃えるに違いない。
だから私は不貞腐れるしかないんだ。
「……撮れ高になっていいんですか」
「いいわけないだろ」
「よくないねぇ」
こう言う時は真面目に声を揃えるんだ。ちくしょうめ。
私だって好きで目立っているわけじゃない。
でも、警察官としての自分が、どうしても人目についてしまうことは痛いほど自覚している。
「浅月くんって、警察マニアを喜ばせる格好のモデルだよねぇ」
交番長はのんびりと口にするけれど……すごい嫌なんですよ、外見で注目されるの。
「警官募集のポスターのときもざわついたよなぁ。パンフなんてフリマサイトで売られたんだろ? 舐められすぎ。グラビアアイドルかよ」
榊くんが鼻で笑う。
だから、好きで舐められているわけじゃなくてだな?
……数年前、警察官を新規募集するパンフレットのインタビューを受けた。当然真面目に答えたのに
「この警察官ってモデルさんを起用しているんだよね?」
「実際にいないでしょ、こんな人」
「眼ぇでかいんだけど、警察官が美容手術する時代かぁ~」
内容そっちのけで、ビジュアルだけが話題になった。整形、本当にしていないんですが。
結果、高校とか大学に配置されたパンフレットが一部のマニアによって収集されたらしい。
ニュース番組の「話題のあの人」というコーナーで取り上げられそうになったタイミングでようやく上が動いてくれたけれど……決していい顔されなかったことは一生忘れない。
巡り巡って、ついた渾名が『美人すぎる警察官』。
自分で言うのもアレだけれど、ひねりがなさすぎる。
榊巡査部長……同期なので、榊くんって呼んでいるんだけれど、榊くんはそれを耳にして露骨に笑っていた。
そして、引き合いにこう言うんだ。
「お前の学校時代のあだ名、なんだっけ?」
「……美人すぎるゴリラ」
交番長が「あと、あれだよね」と続ける。
「『アマゾネス3世』だったよねぇ。今更だけれど、なんで3世なの? ルパン?」
「塚内教場出身者で特別優秀な女史が浅月の前に2人いたらしいんスよ。べつにその2人も『アマゾネス』ってつけられていたわけじゃないんスけれど」
「……私、どこかで怒るべきだったのでしょうか?」
「嫌だったの?」
交番長に、のんびりした口調で問われれば、正直に「いいえ」と言うしかない。
「アマゾネスはギリシア伝説の勇猛な女戦士の呼び方でもありますし、ワンダーウーマンみたいなものだと思えば決して嫌では……。ゴリラに至っては上野動物園に観に行くくらいには好きですね」
そのうち、名古屋の東山動植物園にも行きたい。休みが欲しい。
「でも、ことあるごとに榊くんに揶揄われるのは若干……キますね」
じとっ、と睨めば、「そりゃそうだね」と交番長。
「じゃあ訓練場でぶん投げてきたら?」
「そこの、直射日光を浴びたアスファルトでも良いですか?」
「いいよー」
「よくねぇっスよ! え、ハコ長は俺の味方じゃないの?!」
ーー緩い、緩すぎる。
先程まで警察署にて、生活安全課の課長より嫌味と説教のオンパレードを浴びていた私にとって、この空気はありがたい。
「冷静になれ」
「他にもやりようがあっただろう」
「ただでさえ、お前は目立つんだから」
私をこってり絞って、搾りかすも粉砕する勢いで説教する課長は、前時代的男尊女卑の巣窟(つまり警察社会)の住人らしいお言葉をくれやがったが、言いたいことがわからないわけじゃないんだ。
あの日、夜警ら……つまりパトロール中だった私は、通報よりいち早く現着した。
ペアの信楽巡査も一緒にいたけれど、通報者である店長さんが裏口にいて、そちらに気を取られていた。
店内から響いた、明らかに物が破損する音に、通行人の大半が脚を止めた。
警察官は何事もペアで行動するべきだとわかっている。
わかっていたけれど、身体が先に動いた。
窓からのぞく、明らかに様子のおかしい男に詰め寄られる青年が彼に似ていたから。
「あの時の浅月巡査部長、素早すぎて意味わからなかったです」
後から信楽巡査に言われた。
自分でもそう思う。
入り口付近、レジカウンターの前、スタッフと思わしき青年に襲いかかる男性……振りかぶったその手を、そのまま引っ張って、背中に乗せるように転がす。
なんてことはない。
警察学校で擦り切れるほど学んだ動作。実際、なんの滞りもなく制圧できた。
しかし、加害者制圧を1人で、しかも女性警察官が単独で行うのは、本当に代えがたい状況だったのか、問われることになる。
私自身に及ぶ危険性。
加害者に怪我をさせてしまう可能性。
そして、過剰に刺激してしまう可能性。
警察業界はいつだって「やりすぎ」と指をさされることが怖い。
それが国民を守ることであったとしても、私達は基本的に、藁の楯でいることを求められているから。
幸い、被害者の青年……見知った彼に似ていると思った青年は、本当に幼馴染の蜂須賀優吾くんで、優吾くんが直前に殴られていたこと、加害人物が器物を破損させていたこと、更なる暴力の危険性があったことから、「加害者をぶん投げた」ことは水に流された。
加害者の男性自身、酔いが覚めてから猛省しているらしく、弁護士を立てられることもおそらくない……とのこと。
アップロードされた動画は地域課の課長をはじめ、然るべき部署の皆様がどうにかしてくれるらしいし、そこから先については、考えないようにしておこう。
「さて、浅月さん、そろそろ上がりの時間じゃない?」
交番長がお疲れ様、と時計を指す。
時刻は17時。
昨日は朝8時出勤で、深夜2時に勤務交代。翌日は正午から17時までの半日勤務……というシフトのはずだった。
蓋を開ければ、早朝5時まで残業。
仮眠を取って8時に出勤、というか、呼び出し。警察署にてもろもろ絞られてから通常勤務で現在、である。
お風呂に入りたい。
そして寝たい。
交番の仮眠室じゃなくて、自分の布団で。
「はい。お先に失礼します。いろいろお騒がせいたしました」
「うん。何度も言うけれど、君が怪我をしていなくて本当によかったよ」
「……たまに上司っぽいこと言いますよね」
「上司だからね?」
「冗談です。ありがとうございます」
「浅月、俺には? 労いの言葉めちゃくちゃかけたけれど」
「一昨日きやがれ」
「露骨に悪口言うじゃん」
榊くんのウザ絡みに小気味良い切り返しが浮かばない。
あぁ、だめだ、限界……。
家で寝る。
絶対寝る。
ご飯、今日くらいデリバリーでいいよね……。
「あ、浅月さん。そういえばさぁ、昨日の殴られた男の子、今日きみが署でこってり絞られているときにここに来てね?」
「……は?」
フィルターが二、三枚重なっているように聞こえていた交番長の声が突然クリアになるんだから、人間の身体って正直だと思う。
「一応、ここで待つか聞いたんだけれど、『駅前の喫茶店で待ってみようと思います』って言ってたよ。これ、メモ。彼、同郷の幼馴染なんだって?」
待ってみようって……。
私が署にいる間って……!
「何時間前ですか」
「4時間かな」
はい、と渡されたメモ。
電話番号も書いてある。
さらりと書いてあるけれど、交番長や榊くんよりも遥かに上手な文字で「蜂須賀優吾」って……! そんなに前なら連絡くらい……あぁもう!
「気が利かない男はこれだから!」
榊くんの爆笑と、「一応上司だからね?」という交番長のぼやきに背を向けて、最速で着替えて最速でダッシュ……の、前に一応化粧直しをしている私がいる。汗拭きシート、こんなときに限ってラスト一枚……!
ごめん、ゆうくん……あと5分頂戴……!
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