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34. 恋に効くパンと紅茶と恋バナと
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──セレノア王城、資料庫の奥。
積み上がった文書の山の間から、地味な制服姿の青年がひょこっと顔を出した。
「うわ、また間違ってる……。これじゃ誰も見つけられないって……」
彼の名はエド。王城付きの文官で、実直でまじめ、しかし少々小心者。
今、彼にはひとつ大きな悩みがあった。
「……やっぱり、今日も話しかけられなかった……」
職場の廊下でよくすれ違う女性がいる。
その人は第3王子の侍女で、いつも明るく挨拶してくれる。笑顔が柔らかく、仕事ぶりもきびきびしていて、エドはいつしか目で追うようになっていた。
けれど、想いを伝えるどころか、名前すらまだ聞けていない。
昼休み、気分転換に外へ出てみた。
森の方へふらふらと歩いていくうちに、見たこともない小道に迷い込み、
気づけば緑に囲まれた一軒のカフェへとたどり着いていた。
──《cafe fuu》。
木漏れ日のなか、あたたかな香りに包まれたその場所は、
エドの緊張した心を、ゆっくりとほぐしていった。
「いらっしゃいませ」
柔らかな声に振り向くと、美しい女性と、元気な雰囲気の女性が笑顔で迎えてくれた。
店内には、猫のような小さなもふもふと、犬のようなふわふわが、まるで家族のようにくつろいでいる。
エドは端の席に腰を下ろし、パンと紅茶を頼んだ。
──二人の会話が、ふと耳に入ってくる。
「今度街に行ったら、あの雑貨屋さんに寄りたいんです。可愛い指輪が売ってるらしくて!」「まぁ、それならあのカフェにも寄りましょう?前に通りがかったとき、スコーンがとてもおいしそうだったの」
楽しげに笑い合う二人の会話を聞きながら、エドはふと、小さくつぶやいた。
「女の子って……そういうの、好きなんだ……」
「なに? 今、何か言いました?」
「え、えっと、その……あの……」
「今、女の子がどうって、聞こえてきたわよ?」
「いや、別に……えっと……」
「……あっ、もしかして、好きな子がいるとか?」
「えっ!? い、いえ、その……なんでも……」
「ふふふ……なんだか、可愛らしい悩みのようですね」
その時、ルアが足元にちょこんと座り、しっぽをゆったりと揺らしながら、じっとエドを見上げた。
フィロも隣にぴたりと座り、耳をぴんと立ててエドの顔を見つめている。
まるで、「さあ、話してごらん」とでも言いたげな視線だった。
「ちょ、ちょっと、そんなに見つめないで……」
もふもふたちに囲まれたエドは、照れながらも、ぽつりぽつりと語り始めた。
──そして、その日。《cafe fuu》は“恋の猛特訓会場”と化した。
「まずはお名前を聞いて、好きなものを尋ねて……それから、“じゃあ今度、一緒に見に行きませんか?”って誘うんですよ」
「う、うまく言えるかな……」
「さぁ、練習です!もっと自然に!」
「……じゃ、じゃあ今度の休みに、一緒に買い物にでも行きません?」
「うん! 悪くないわ」
ルアは、くるりと回ってからエドの足元にすり寄り、身体を軽くこすりつけるようにして座った。
フィロもそれにならうようにエドに近づき、嬉しそうにしっぽを振りながら、前足でちょこんとエドの足に触れる。
まるで、「よくやった」と褒めているかのようだった。と一声、まるで「上出来!」と言わんばかりに鳴いた。
クラリッサとレイナ、そしてもふもふたちの応援のもと、
エドはなんとか“自然な誘い方”をマスターしていった。
──そして、数日後。
廊下で書類を抱える彼女に、エドは思い切って声をかけた。
「……あの、こんにちは。いつも、すごく一生懸命ですよね」
「えっ? あ、ありがとうございます。……えっと?」
「僕、文官のエドって言います。前から何度か……廊下で、すれ違ってて」
「あ……私、ティナです」
「ティナさん……素敵な名前ですね」
「ふふっ、ありがとうございます」
少し緊張しながらも、エドは続けた。
「この前、行きつけのカフェで聞いたんですけど、街に新しく雑貨屋さんができたらしくて」
「へえ、どんなお店ですか?」
「まだ行ったことはないんですけど、動物の絵が入った小物とか、可愛い文房具がたくさんあるって……」
「それ、すごく気になります。動物モチーフ、好きなんです。癒されますよね」
「……よかった。僕も、シンプルな文房具とか好きで」
「共通点ですね」
その言葉に、エドの胸がぽんと跳ねた。
「……あの、もしよかったら……今度の休みに、その雑貨屋さん……一緒に行きませんか? そのあと、もふもふと触れ合えるカフェもあるんです」
ティナは一瞬驚いたように目を丸くし、それから柔らかく笑って、
「……はい。楽しみにしてます」
エドの胸の鼓動は、止まりそうなほどに高鳴っていた。
──休日、待ち合わせ場所に現れたティナは、シンプルなワンピースに柔らかな色のショールを羽織っていた。
「すみません、待ちました?」
「ううん、僕も今来たところ」
少し照れたように笑い合いながら、二人は並んで歩き出した。
最初はやっぱり会話もぎこちなくて、エドが話題を探しては沈黙が戻る、そんな繰り返しだった。
「……あ、あの看板の猫、ティナさんっぽいですね。ふわふわしてて」
「え、猫ですか? そんなに気まぐれですか?」
「い、いや、あの……癒し系って意味で!」
思わず慌てるエドに、ティナは声を立てて笑った。
その笑いにほっとして、ふたりの距離がぐっと近づいた。
雑貨屋では、猫のモチーフがついたカップを見つけて、ティナが嬉しそうに微笑む。
「これ、すごく可愛い……」
「……あの、よかったら……それ、僕からのプレゼントにしてもいいですか? 今日の記念に」
「え……いいんですか? そんな……でも、嬉しいです。ありがとうございます」
カフェでは、ティナが注文したミルクティーを飲んで、ふんわりと微笑んだ。
「なんだか、こうやってゆっくり話すの、はじめてですね」
「うん……だけど、不思議と落ち着くんです。ティナさんと一緒にいると」
沈黙。
けれど、それは不快なものではなく、心地よいものだった。
やがて、エドが意を決して口を開く。
「僕……君のことが、ずっと気になってました」
ティナの瞳がふわりと揺れる。
「……わたしもです。エドさんのこと、前から……真面目で優しくて、気になってたんです」
ふたりはそっと目を見合わせ、どちらからともなく微笑んだ。
──翌日、城の控室。
「昨日、ついに告白したんだ」
「それでどうだったんだ?」
「……うまくいきました!」
同僚たちは一斉に湧き立った。
「でもさ、そのきっかけになったカフェ……変わった場所だな」
「ああ、なんか不思議な空気だったな。あの店主さんも……なんだか……」
「あの店主さんも……なんだか……」
「すごく不思議な雰囲気を纏っていて……」
「初めてのはずなのに……初めて会った気がしないんだ」
「あの落ち着きとか、丁寧さとか……なんていうか、普通の店主って感じじゃなかったんだよな」
──春の風が、そっと吹き抜ける。
何かが、変わる予感だけを残して。
静かに、物語は次の扉を開こうとしていた。
* * *
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
積み上がった文書の山の間から、地味な制服姿の青年がひょこっと顔を出した。
「うわ、また間違ってる……。これじゃ誰も見つけられないって……」
彼の名はエド。王城付きの文官で、実直でまじめ、しかし少々小心者。
今、彼にはひとつ大きな悩みがあった。
「……やっぱり、今日も話しかけられなかった……」
職場の廊下でよくすれ違う女性がいる。
その人は第3王子の侍女で、いつも明るく挨拶してくれる。笑顔が柔らかく、仕事ぶりもきびきびしていて、エドはいつしか目で追うようになっていた。
けれど、想いを伝えるどころか、名前すらまだ聞けていない。
昼休み、気分転換に外へ出てみた。
森の方へふらふらと歩いていくうちに、見たこともない小道に迷い込み、
気づけば緑に囲まれた一軒のカフェへとたどり着いていた。
──《cafe fuu》。
木漏れ日のなか、あたたかな香りに包まれたその場所は、
エドの緊張した心を、ゆっくりとほぐしていった。
「いらっしゃいませ」
柔らかな声に振り向くと、美しい女性と、元気な雰囲気の女性が笑顔で迎えてくれた。
店内には、猫のような小さなもふもふと、犬のようなふわふわが、まるで家族のようにくつろいでいる。
エドは端の席に腰を下ろし、パンと紅茶を頼んだ。
──二人の会話が、ふと耳に入ってくる。
「今度街に行ったら、あの雑貨屋さんに寄りたいんです。可愛い指輪が売ってるらしくて!」「まぁ、それならあのカフェにも寄りましょう?前に通りがかったとき、スコーンがとてもおいしそうだったの」
楽しげに笑い合う二人の会話を聞きながら、エドはふと、小さくつぶやいた。
「女の子って……そういうの、好きなんだ……」
「なに? 今、何か言いました?」
「え、えっと、その……あの……」
「今、女の子がどうって、聞こえてきたわよ?」
「いや、別に……えっと……」
「……あっ、もしかして、好きな子がいるとか?」
「えっ!? い、いえ、その……なんでも……」
「ふふふ……なんだか、可愛らしい悩みのようですね」
その時、ルアが足元にちょこんと座り、しっぽをゆったりと揺らしながら、じっとエドを見上げた。
フィロも隣にぴたりと座り、耳をぴんと立ててエドの顔を見つめている。
まるで、「さあ、話してごらん」とでも言いたげな視線だった。
「ちょ、ちょっと、そんなに見つめないで……」
もふもふたちに囲まれたエドは、照れながらも、ぽつりぽつりと語り始めた。
──そして、その日。《cafe fuu》は“恋の猛特訓会場”と化した。
「まずはお名前を聞いて、好きなものを尋ねて……それから、“じゃあ今度、一緒に見に行きませんか?”って誘うんですよ」
「う、うまく言えるかな……」
「さぁ、練習です!もっと自然に!」
「……じゃ、じゃあ今度の休みに、一緒に買い物にでも行きません?」
「うん! 悪くないわ」
ルアは、くるりと回ってからエドの足元にすり寄り、身体を軽くこすりつけるようにして座った。
フィロもそれにならうようにエドに近づき、嬉しそうにしっぽを振りながら、前足でちょこんとエドの足に触れる。
まるで、「よくやった」と褒めているかのようだった。と一声、まるで「上出来!」と言わんばかりに鳴いた。
クラリッサとレイナ、そしてもふもふたちの応援のもと、
エドはなんとか“自然な誘い方”をマスターしていった。
──そして、数日後。
廊下で書類を抱える彼女に、エドは思い切って声をかけた。
「……あの、こんにちは。いつも、すごく一生懸命ですよね」
「えっ? あ、ありがとうございます。……えっと?」
「僕、文官のエドって言います。前から何度か……廊下で、すれ違ってて」
「あ……私、ティナです」
「ティナさん……素敵な名前ですね」
「ふふっ、ありがとうございます」
少し緊張しながらも、エドは続けた。
「この前、行きつけのカフェで聞いたんですけど、街に新しく雑貨屋さんができたらしくて」
「へえ、どんなお店ですか?」
「まだ行ったことはないんですけど、動物の絵が入った小物とか、可愛い文房具がたくさんあるって……」
「それ、すごく気になります。動物モチーフ、好きなんです。癒されますよね」
「……よかった。僕も、シンプルな文房具とか好きで」
「共通点ですね」
その言葉に、エドの胸がぽんと跳ねた。
「……あの、もしよかったら……今度の休みに、その雑貨屋さん……一緒に行きませんか? そのあと、もふもふと触れ合えるカフェもあるんです」
ティナは一瞬驚いたように目を丸くし、それから柔らかく笑って、
「……はい。楽しみにしてます」
エドの胸の鼓動は、止まりそうなほどに高鳴っていた。
──休日、待ち合わせ場所に現れたティナは、シンプルなワンピースに柔らかな色のショールを羽織っていた。
「すみません、待ちました?」
「ううん、僕も今来たところ」
少し照れたように笑い合いながら、二人は並んで歩き出した。
最初はやっぱり会話もぎこちなくて、エドが話題を探しては沈黙が戻る、そんな繰り返しだった。
「……あ、あの看板の猫、ティナさんっぽいですね。ふわふわしてて」
「え、猫ですか? そんなに気まぐれですか?」
「い、いや、あの……癒し系って意味で!」
思わず慌てるエドに、ティナは声を立てて笑った。
その笑いにほっとして、ふたりの距離がぐっと近づいた。
雑貨屋では、猫のモチーフがついたカップを見つけて、ティナが嬉しそうに微笑む。
「これ、すごく可愛い……」
「……あの、よかったら……それ、僕からのプレゼントにしてもいいですか? 今日の記念に」
「え……いいんですか? そんな……でも、嬉しいです。ありがとうございます」
カフェでは、ティナが注文したミルクティーを飲んで、ふんわりと微笑んだ。
「なんだか、こうやってゆっくり話すの、はじめてですね」
「うん……だけど、不思議と落ち着くんです。ティナさんと一緒にいると」
沈黙。
けれど、それは不快なものではなく、心地よいものだった。
やがて、エドが意を決して口を開く。
「僕……君のことが、ずっと気になってました」
ティナの瞳がふわりと揺れる。
「……わたしもです。エドさんのこと、前から……真面目で優しくて、気になってたんです」
ふたりはそっと目を見合わせ、どちらからともなく微笑んだ。
──翌日、城の控室。
「昨日、ついに告白したんだ」
「それでどうだったんだ?」
「……うまくいきました!」
同僚たちは一斉に湧き立った。
「でもさ、そのきっかけになったカフェ……変わった場所だな」
「ああ、なんか不思議な空気だったな。あの店主さんも……なんだか……」
「あの店主さんも……なんだか……」
「すごく不思議な雰囲気を纏っていて……」
「初めてのはずなのに……初めて会った気がしないんだ」
「あの落ち着きとか、丁寧さとか……なんていうか、普通の店主って感じじゃなかったんだよな」
──春の風が、そっと吹き抜ける。
何かが、変わる予感だけを残して。
静かに、物語は次の扉を開こうとしていた。
* * *
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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