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43. 再会の日(後編)
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木漏れ日の中で互いの想いを交わしたふたりは、ゆっくりとカフェへ戻ってきた。
《café fuu》の扉を開けると、鼻先に甘く香ばしいパンの香りと、温かな空気がふわりと広がる。
中では、たまたま手伝いに来ていたレイナが、カウンターの整理をしていた。
「おかえりなさいませ、お嬢様――って、えっ?」
振り返ったレイナの目がまんまるになる。
「……そちらにいらっしゃるの、まさか……アレクシス殿下……?」
アレクシスは少しだけ戸惑った様子で、しかし誠実に微笑んだ。
「ご無沙汰しています、レイナ。こうして会うのは、久しぶりですね」
「ど、どういう……ことですか……?」
レイナの視線がクラリッサに向けられる。
クラリッサは少し頬を赤らめながら、そっと言った。
「ごめんなさい、レイナ。驚かせてしまって……でも、大丈夫ですの。少しだけ、お話をしていました」
「……お話、だけ? なら、いいですけど……」
レイナは眉をひそめながらも、クラリッサの表情を見て、ようやく力を抜いた。
「お嬢様が笑っておられるなら、よしとしますわ」
と、その時――
「にゃあっ」
「わんっ」
ルアとフィロが音もなく飛び出してきて、アレクシスに同時に突撃。
「うわっ――!?」
見事に後方へひっくり返るアレクシス。
「ちょ、ちょっと!? ルア、フィロ!やめなさいったら!」
レイナが慌てて駆け寄る。
クラリッサは唇を押さえながら、そっと微笑んだ。
「おふたりとも……少しばかりお行儀が悪いですわよ」
アレクシスは地面に寝転がったまま、ルアに前髪をはたかれ、フィロに顔をなめられながらつぶやく。
「……これは歓迎の儀式ということで、受け取っておこう……」
アレクシスが寝転がったまま苦笑をこぼしながら、ルアとフィロに目を向ける。
「よろしく頼むよ。ふたりとも」
その言葉に、ルアが「にや」と細めた目で鳴き、フィロは「わふっ」と短く返事をする。
まるで「仕方ないわね」「合格だよ」とでも言うように。
その微妙な反応に、クラリッサがそっと唇を押さえて微笑む。
レイナも、思わず肩をすくめて笑った。
「ふふっ……あの子たちに認められるなんて、殿下、たいしたものですわ」
アレクシスが立ち上がり、服についた毛とパンくずを払いながら周囲を見渡す。
クラリッサも微笑んだまま、そっと言葉を添える。
「ふふっ……この子たちに受け入れてもらえたようですわね」
「光栄に思うよ」
くすくすと笑い合うふたり。ルアとフィロもその足元で寄り添って座っていた。
その様子を、レイナは少し離れた場所から見つめていた。
ほんの数ヶ月前には想像もできなかった光景。
でも、心から待ち望んでいた場面だった。
「……こうして、またお嬢様と殿下が……笑い合える日が来るなんて」
声は小さく、誰にも届かないほどの呟き。
けれどその瞳は、あたたかな涙にうるんでいた。
クラリッサがふとその気配に気づき、レイナの方を向いて優しく微笑む。
レイナは慌てて背筋を伸ばし、咳払い一つ。
「……こほん。さて! パンが焦げる前に焼き上げを確認いたしますわね!」
「あら、それは大変。急ぎましょう、レイナ」
「ええ、お嬢様!」
そうして日常が、いつものように流れ始める。
けれどその朝だけは、すべてがほんの少しだけ、特別な輝きを帯びていた。
* * *
最後まで読んでくださってありがとうございます。
久しぶりの再会となったクラリッサとアレクシス。
少しずつふたりの関係が動き出す予感を感じていただけたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いします。
《café fuu》の扉を開けると、鼻先に甘く香ばしいパンの香りと、温かな空気がふわりと広がる。
中では、たまたま手伝いに来ていたレイナが、カウンターの整理をしていた。
「おかえりなさいませ、お嬢様――って、えっ?」
振り返ったレイナの目がまんまるになる。
「……そちらにいらっしゃるの、まさか……アレクシス殿下……?」
アレクシスは少しだけ戸惑った様子で、しかし誠実に微笑んだ。
「ご無沙汰しています、レイナ。こうして会うのは、久しぶりですね」
「ど、どういう……ことですか……?」
レイナの視線がクラリッサに向けられる。
クラリッサは少し頬を赤らめながら、そっと言った。
「ごめんなさい、レイナ。驚かせてしまって……でも、大丈夫ですの。少しだけ、お話をしていました」
「……お話、だけ? なら、いいですけど……」
レイナは眉をひそめながらも、クラリッサの表情を見て、ようやく力を抜いた。
「お嬢様が笑っておられるなら、よしとしますわ」
と、その時――
「にゃあっ」
「わんっ」
ルアとフィロが音もなく飛び出してきて、アレクシスに同時に突撃。
「うわっ――!?」
見事に後方へひっくり返るアレクシス。
「ちょ、ちょっと!? ルア、フィロ!やめなさいったら!」
レイナが慌てて駆け寄る。
クラリッサは唇を押さえながら、そっと微笑んだ。
「おふたりとも……少しばかりお行儀が悪いですわよ」
アレクシスは地面に寝転がったまま、ルアに前髪をはたかれ、フィロに顔をなめられながらつぶやく。
「……これは歓迎の儀式ということで、受け取っておこう……」
アレクシスが寝転がったまま苦笑をこぼしながら、ルアとフィロに目を向ける。
「よろしく頼むよ。ふたりとも」
その言葉に、ルアが「にや」と細めた目で鳴き、フィロは「わふっ」と短く返事をする。
まるで「仕方ないわね」「合格だよ」とでも言うように。
その微妙な反応に、クラリッサがそっと唇を押さえて微笑む。
レイナも、思わず肩をすくめて笑った。
「ふふっ……あの子たちに認められるなんて、殿下、たいしたものですわ」
アレクシスが立ち上がり、服についた毛とパンくずを払いながら周囲を見渡す。
クラリッサも微笑んだまま、そっと言葉を添える。
「ふふっ……この子たちに受け入れてもらえたようですわね」
「光栄に思うよ」
くすくすと笑い合うふたり。ルアとフィロもその足元で寄り添って座っていた。
その様子を、レイナは少し離れた場所から見つめていた。
ほんの数ヶ月前には想像もできなかった光景。
でも、心から待ち望んでいた場面だった。
「……こうして、またお嬢様と殿下が……笑い合える日が来るなんて」
声は小さく、誰にも届かないほどの呟き。
けれどその瞳は、あたたかな涙にうるんでいた。
クラリッサがふとその気配に気づき、レイナの方を向いて優しく微笑む。
レイナは慌てて背筋を伸ばし、咳払い一つ。
「……こほん。さて! パンが焦げる前に焼き上げを確認いたしますわね!」
「あら、それは大変。急ぎましょう、レイナ」
「ええ、お嬢様!」
そうして日常が、いつものように流れ始める。
けれどその朝だけは、すべてがほんの少しだけ、特別な輝きを帯びていた。
* * *
最後まで読んでくださってありがとうございます。
久しぶりの再会となったクラリッサとアレクシス。
少しずつふたりの関係が動き出す予感を感じていただけたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いします。
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