婚約破棄?それならこの国を返して頂きます

Ruhuna

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その5

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「マーガレット様」


あの事件から未だ休学しているマーガレットのもとにソフィーがやってきた

「ご機嫌よう。ソフィー」
「ご機嫌よう。今日もお美しいですわ…足のお加減はいかがでございますか?」
「あぁ。そうね私、怪我をしていたことになってたのよね。」

忘れていたわ。とクスクス笑うマーガレットをみてソフィーはにこりと笑った

「転落してすぐに治ってしまったからすっかり忘れていたわ」
「ふふ。もう2週間もお休みになられておりますからそろそろ私たちとしては復学なさってくださいませんと寂しゅうございますわ」
「そうね…貴方たちの顔が見れないのは寂しいけれどもう学園に用はないもの」

マーガレットはもう学園に復学する予定はなかった
だがまだ在学中であるため寮に留まっているだけで出来るのであれば公爵家に帰りたいのが本音だ
そんな気持ちを読み取ったのかソフィーは苦笑した
マーガレットは紅茶に砂糖を3つ入れながらソフィーにポツリと告げた

「それに、もう『誓約』はあの事件で解かれたわ」
「本当ですか?!あぁ!!なんと嬉しいこと…!!」

マーガレットのその言葉に歓喜を表すソフィー
よほど嬉しかったのだろうか椅子から立ち上がり興奮を抑え切れていない

「まさかあの程度で解かれるなんて思いもしなかったわ」
「それでもようございました。ではもう心残りはありませんね。思う存分いたしましょう」

お互いに微笑み合い、来るべく王城で行われる夜会の日を心待ちにしていた






季節は初秋。すぐに濃い秋がやってきてそして迎えるのは寒さ厳しい冬
つまり初夏から始まった社交シーズンは終わりの時期にやってきたのだ

社交シーズンは王家が主催する王城での夜会をもって終了となる
その後は長い冬を乗り越えるため貴族達は各領地に帰り冬を越す
今季最後となる夜会のために貴族たちは皆着飾りその光景は満開の花畑のようであった


「ウィンザー公爵夫妻。御令嬢。入場」

会場中に響き渡るアナウンスをきっかけに会場内にいた貴族たちが入り口に視線を向ける
本来、第一王子の婚約者であるマーガレットはナラードのエスコートで入場しなければならないが夜会の前日にナラードからエスコートを断られていた
元よりこちらからお断りする予定だったので手間が省けたと喜んだのを覚えている

エルリックとレイリアの後ろに並び入場する

「まあ!!』
「え、公爵さまって…」
「根暗公爵様ってあんな顔だったの!?」
「マーガレット様のお顔が…」


会場中からヒソヒソと聞こえる声にエルリックは動じず、レイリアはどこか誇らしげそうに、マーガレットも無表情で歩をすすめた
目指すのは玉座に一番近い場所
貴族の立ち位置は爵位順に決まっており王族の次に爵位の高い公爵はかなり前方の方になる

「ご家族でお揃いの生地を使われてるのね」


どこからかそんな声が聞こえてきた
マーガレットが今日着ているのは社交シーズンが始まってすぐに母が仕立てたドレスだ
胸元の深い青は裾に向かって夜空のように黒く煌めいていくグラデーションがかかっておりマーガレットの銀髪と透き通る肌をより一層美しくその存在を際立たせていた
デザインは異なるがマーガレットの母であるレイリアもまた同じ生地で仕立て上げたドレスに身を包み、父であるエルリックも同じ物のテールコートを羽織っていた
そしてエルリックとマーガレットは堂々と胸を張り前を見据えていた
その瞳は紅く、初めて見る者たちはその色に嫌悪感をだす者、驚愕する者と別れた


「国王両陛下、第一王子のご入場」

そのアナウンスとともに会場にいた全ての貴族が頭を下げる
ファンファーレとともに入場してきた王族を姿勢を崩さず横目でちらりと覗き見るとナラードの横にはミアの姿があった

ドレス自体はきっと高価なものなのだろうがデザインがフリフリしすぎてダサく感じてしまったのはきっと着てる本人に気品がないからだろうと結論付けた

「表をあげよ」

国王陛下の声で顔を上げる
王妃教育で登城した際に幾度と見てきた国王はでっぷりとした体型が健在のようだ

「今日は無礼講だ。最後まで楽しんでくれ」

国王の言葉が終わり貴族たちは最後の社交に勤しみだした
マーガレットも父と母に断りを入れ飲みのをもらいに動き出した



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