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しおりを挟む「仲間外れ…?寂しい…?この私が、ですか?」
「えぇ。同じ歩幅で進んでいたと思っていた人が実は自分よりも一歩先にいたらどう思われますか?」
「それは、悔しいですね」
「では、それが仲の良いお友達でしたら?」
「仲の良い…」
私には仲の良い友人という存在は数える程度しかいない
もっとも平民と違い気軽に会うことができない貴族達の私的な交友関係などそんな広くはないのかもしれないが
(「王太子妃になるのに、交友関係が低いのは問題では…?」)
公的な立場での交友関係は広い方だと自負している
相手は次期王太子妃としての自分の存在を利用しようと媚を売ってくるし、自分自身も相手を利用したいがためにその媚びに便乗することだってある
ただ、損得なしで心の中を曝け出しても大丈夫な相手などいたのだろうか
下を向き黙りこくる私を心配したのか妃殿下はそっと私の横にやってきて手を握りしめてくれた
「あまり難しく考えてはいけませんよアマリリス様。お立場上、人を疑う事に慣れ、他人と馴れ合う事は控えてきたのかもしれませんが、アマリリス様も年相応の令嬢ですもの。もっと気軽にいきましょう」
それに、私たちは友達同士でしょう?と笑う妃殿下の顔が眩しくて私はそっと視線を外してしまった
ーーー
元来、私という人間は生真面目な人間だった
母親に言われるがままに次期王太子妃の座を狙って他の令嬢達と切磋琢磨し念願かなってその座を奪うことができた
それまでの道のりは確かに険しかった
決められたタイムスケジュールに決められた食事
好きな遊びも、好きな食事も満足にできず、気づけばあまり笑うことのない性格になってしまった
『あなた、お人形みたいね!』
10歳のあの時、ロベリアに言われた言葉が頭の中にこだまする
「ふっ、確かにそうね、あの頃の私はもう笑うことを忘れてたから」
自分の言葉を聞き自虐的に口を歪める
的を得た感想だったのかもしれない
私はロベリアのことを珍獣だなんだ、と思っていたが、にこりとも笑わない私を人形だと例えるロベリアの方が人を見る目はあるのかもしれない
自分の意思で感情を大きく動かしたことは記憶の限りではない様な気がした
だからこそエルムに言われたことや、どうして自分がこんなにもショックを受けているのかが分からなかった
ロベリアのことは関わらないなりにも幼い頃は初めてできた姉妹に心の中で喜んでいたのは覚えている
母がいる手前、思う存分関わることはできなかったが本当は花遊びや、ピアノなどして遊びたかった
(「そうか、私はロベリアともっと仲良くなりたかったのかもしれないわね」)
半分しか血のつながらない義妹
我儘で自己中心的だった義妹ですら私は嫌いにはならなかった
ロベリアは私と話してみたいと言っていた
「ウジウジしても仕方ないわね」
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