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しおりを挟む「シャーロット、いらっしゃい!」
「ラウラ!…あー、ルフェリ公爵夫人って呼んだ方がいい?」
「じゃあ私もロックフェラー侯爵夫人って呼びましょうか?」
「…シャーロットでいいわ」
「ふふ。じゃあ私もラウラで」
よく晴れた初夏
若草色のエンパイアドレスを着たラウラに迎えられてルフェリ公爵邸へとやってきた
「もう落ち着いた?」
「ええ。引越しも無事に終わったわ。ラウラ、これプレゼント」
「やだ!ありがとう!……可愛いスタイね」
ルフェリ公爵邸の整えられた薔薇園の四阿でラウラに渡したプレゼントは赤ちゃん用のスタイだ
幸せそうに笑うラウラはあの事件の後すぐに妊娠していることがわかり、コルセットを必要としないエンパイアドレスと呼ばれるドレスを開発してそれを着用していた
このドレスはローズマリー様も愛用しているそうだ
少し暑さが肌にまとわりつく季節になったがまだまだ居心地の良い風を感じながらあの出来事を振り返った
ーー
裁判を終えてから幾日経ったある日
王太子殿下に呼ばれた私とフィル様は王太子宮へと赴いていた
王太子殿下の執務室に足を踏み入れた
「手短に話すと、父上が近々退位される」
「……アイシラの件ですか?」
「恐らくは。なにも言わないが父上なりに思うところがあったのだろう。」
突然の陛下の退位の話に驚きつつも王太子殿下の話を遮らないように黙っていた
「そして、ブルック公爵家のお取り潰しでルフェリ侯爵を公爵に陞爵。…身内贔屓にはなってしまうが、フィルナンドが婿入りするロックフェラー伯爵を侯爵へと考えている」
「殿下、それは…」
我が家の名前まで出てきたことで流石の私も黙っておれず、不躾ながら声を上げた
「ロックフェラー嬢の言いたいことはわかっている。だが、貴族院でも満場一致だったから問題はない」
伯爵も喜んでたよ、と笑う王太子殿下の根回し力に反論する気も起きなく「かしこまりました」と返答した
「陞爵の件は了承しました。それで、あの者たちはどうなったのですか?」
今まで黙っていたフィル様が鋭い視線を王太子殿下に向けた
「ブルック公爵とアイシラはつい先日炭鉱へと搬送された。デルフィーナも今頃修道院に着く頃だろう」
「そうですか」
それだけを話した2人は陛下の退位、殿下の即位の話へと話が流れていき、3人のことを最初から何事もなかったのかのようにそれから話に上がることはなかった
ーー
「公爵に陞爵したのはいいけど、旦那様が余計に返ってこなくなったから寂しいわ」
「そうね…ルフェリ公爵閣下も今じゃ近衛騎士団長ですものね」
ラウラの旦那様の公爵閣下は王太子殿下ーもとい新国王陛下の即位と同時に近衛騎士団長となり多忙を極めているそうだ
それでもルフェリ公爵夫婦の仲の良さは社交界でも有名だ
「そういうシャーロットはどうなの?」
「どう、とは?」
「結婚式よ!準備は順調?」
「えぇ。なんとか。招待客が多すぎるのが難点ね」
そう、私はこの度晴れて、フィル様との結婚が決定した
現在は結婚式に向けて準備を行なっている段階だ
「ドレスとアクセサリーはラウラにお任せしてるから、それが楽だわ」
「まあ!世の中の花嫁は一番そこにこだわるのに!」
「ラウラに任せた方が確実だもの」
「信頼してくれるのら嬉しいけど!」
「「ふふふっ」」
どちらともなく笑い出した
こんな穏やかな日常に戻れることができたのが嬉しかった
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