三十路の私に年下夫が出来ました

Ruhuna

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「お嬢様、起きてください」

「うーん…」

「お嬢様!」

「う、んん…?なあに…?」


メイドが声をかける声で目が覚める
カーテンは開かれて窓からは太陽の光が眩しいほどに入ってきていた
ぼんやりとする目を擦りながら私を起こしてきたメイドに視線を向けた


「旦那様と、お嬢様のご両親がお待ちです。準備しましょう」

「え?そうなの…わかった………………なんで私はだかなの…?」


メイドにそう言われ、起き上がった私はシーツがハラリと落ちると目に映ったのは裸体
私は裸で寝る趣味などなかった筈だ


「まぁ…旦那様ったら情熱的ですこと」

私の裸をまじまじと見ていたメイドがそう答える
その声に弾かれて私もゆっくりと下を見ると体のあちこちに散らばった花弁が目に入る


『エミリエンヌ、私は貴女が欲しい。私の妻になってください。』
『あぁ…受け入れてくれてありがとうございます。……ちゃんと意識がある時に抱くのはこれが初めてです』
『ん?意識がある時?あぁ、いつも抱いていましたが、エミリエンヌは寝ていましたからね。それでも可愛い反応でしたよ』






「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」






ーーーー






「エミリー!なぜ昨日行ってくれなかったんだ!侯爵閣下と良い仲だと教えてくれたらお前を無理に領地に帰るなど話さなかったのに!」

「そうですよ。ラバール侯爵閣下ほど良いお方はいらっしゃらないわ!流石私の娘だわ!」


昨日と打って変わって真逆の対応をとる2人に苦笑する
昨日の夜のことを思い出した私が絶叫して数分
部屋にやってきたアルフレッド様から「ご両親には私たちの関係を伝えていますから、安心してくださいね」と言われた

裸のまま呆然としている私を見て、抱きついてきたアルフレッド様をなんとか止めてドレスに着替えた私を待っていたのがニコニコと上機嫌な両親たちだった


違うの!という私の声は2人からしたら照れ隠しにしか聞こえていなかったようで、とんとん拍子に私とアルフレッド様の婚約話が持ち上がる


「レイリー家が男爵から子爵になりましたので身分の差は特別気にしなくて良いかと思います。エミリエンヌの年齢に関しては…まあ口うるさい奴はいると思いますが文句は言わせません。なにより私たちは深く愛し合ってます。すぐに子供もできれば外野は何も言えませんよ」


初めて会った時のように饒舌に話す彼の横に座りながら私はぽかんとする
私の預かりしれぬ所でどんどんと話が進んでいるからだ


「婚約期間は3ヶ月ほどで良いでしょう。結婚式はオリエント大聖堂で挙げられるよう陛下にお願いしてみます」


オリエント大聖堂はこの国で最も格式の高い大聖堂で、そこで結婚式を挙げるなど王族が公爵家の一部だ
国王陛下の甥である彼だからこそ考えついたのだろう


「あ、あの、アルフレッド様…?」

「あぁ。安心してエミリー。ちゃんとウェディングドレスはオーダーメイドで作れますから。早速今日の午後にはドレス商を呼びましょう」

 

えっ、と声を出す暇もなく私たちの婚約、そして3ヶ月後の結婚式の日取りまで決まってしまった





ーー





貴族令嬢の結婚は親の判断で左右されることが多い
15年前の私のように政治的理由で嫁ぐことが多いのは事実だ
だからこそ、今回の私たちは世間的に見れば恋愛結婚らしい
年齢差は6歳。しかも女側が年上
書類上は未婚扱いとはいえ15年も他の男といて、さらにはその男との子を産んでいる私に向けられる目はかなり厳しいものだと思っていた




そう、思っていたのだ



だが蓋を開けてみると期待は大きく裏切られた



「レイリー子爵令嬢は15年も騙されていたそうよ」
「まあお可哀想。婚姻を騙すなんて元男爵家は罪深いですわね」
「心身共に落ち込んでいらっしゃったのをお慰めしたのが、ラバール侯爵閣下だったそうよ」
「聞きましてよ?献身的にレイリー子爵令嬢に寄り添っていたとか。レイリー子爵令嬢が年上ではありますが…とてもお似合いのカップルだとは思いませんこと?」
「ええ。美男美女カップルで目の保養になりますわ」


社交界の反応は私の思っていたものと大きく違った
初めてアルフレッド様の婚約者として同席した夜会
あちこちから聞こえて来るその声に私は戸惑った
てっきりワイングラスの一杯ぐらいは投げつけられるだろうと思っていたからだ


戸惑う私にアルフレッド様が「あちらを見てください」と言われ、会場の中心見る
そこには足が治ったのか車椅子を使わずに立っているマリーズ公女が私の方を見ており、ぱちんとウインクをしてきた


きっと私に悪い感情が向かないように彼女が気を利かせてくれたのだろう
現在の王国で唯一の公女である彼女の影響力は大きい
彼女が私を庇ってくれているという事実が私を社交界に溶け込みやすくしてくれたようだ


私は流石に腰を落とし頭を下げた



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