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150年経過。
しおりを挟む2024年。
やっと百五十年、経つよ。
ここまで長かったな~。
あの責任感つよつよおじさんの息子さんもその息子さんも責任感強くってさ、ちゃんと年一には来てくれてる。めっちゃありがたい。
相変わらず没落中みたいで苦労してるらしいから、お金ちょっぴりと服と、あとカレンダーだけ毎年持ってきて貰っててさ。もしかしたらこの山維持する為に苦労してるんだったらなんか申し訳ないね。俺のせいじゃないけど。
なんかさ、俺この山奥に長いこと居てるんだけど、三十二年前に産まれてるんだよね。
凄い変な気分で感慨深かったなぁ。
でその二年後に嫁さん、三十年後に息子も産まれてさ。凄え変な気分。
毎年こっそり自分と嫁さんと息子の誕生日祝っちゃったりしてさ。実際変な気分よホント。
でももうちょっと。
あと数分で山伏爺さんに拉致られた時間。
あの時間に俺が追い付いた瞬間にあの時間の俺に戻るらしいけどめっちゃ緊張する。百五十年ぶりの息子と嫁さん、俺ってば百五十年前とおんなじ様に二人を愛してるんかどうか……
はい嘘。めっちゃ愛してる。百パー愛してるめっちゃ会いたい。
俺の時間止まってるからか寂しいとかの感覚も鈍いんだけどそれだけは間違いな――――――
「ただいま! 俺だよ! パパだよ!」
いきなり叫んだ俺に不思議そうな顔で見るすっぽんぽんの我が子。キョトンとしてやがる笑っちまうよホントにさぁ!
「さぁ風呂入ろ! 風邪ひいちまうぞぉ~!」
雑に悪者のフリして手わきわきしたらキャァキャァ言ってる。たまんねぇ~。すべすべおケツ可愛い~♡
お風呂上がってパンツ一丁でまたドキドキしながらリビング行って――――はい可愛い、俺の嫁さんはいめちゃ可愛い♡
まだパンツ一丁のくせにキリッとした顔作ってみて、今夜アナタと亜熱帯みたいなこと口走ったら笑われた。
昨日もシタじゃん、ってもうそれ百五十年と一日前だしめっちゃ前だってば何言ってんのさ。
嫁さんの視線がやけに俺のお腹見るもんだから、なんぞやと思ったらぽちゃぽちゃし始めてたお腹が引き締まってた。腕とか胸も。
山伏トレーニングで走り回ってたから、かな。
なんか分からんけど嫁さんうっとり見てるからいける。イケる。
凸凹凸凹凸凹
さて。
川の字の真ん中と向こうで二人ともすっかり寝た。では50年に一度の計算タイムといこう。なんと言っても電卓がある。電卓最高だぜホント。
今まで拾った枝で地面に延々筆算してたかんね。
2掛ける1.1を……171回、と。
………………………………
こんなにいる? 鬼、そんなデカいの?
2024年12月、クリスマスイブを明日に控えた月曜の朝。
会社に遅刻する旨の連絡も入れた。
遅刻の理由にしてゴメンな我が子よ。いつもありがとう。
小児科連れてって保育園寄ってから出社の体だから昼前には会社つきたい。急ぎで行こう。
いつもの出勤ルートとは逆向きの電車乗って、割りと近場の海が見える高台へ陣取る。
山伏爺さん達の封印が解ける時間まであと数分。爺さんが正確なら。
時計を見る。定刻だ。
おぉぉぉぉ。でっけぇ。スカイツリーくらいあるぞこれ。
てっきりダダンダンダダンとかの感じで海から出てくるんかと思ってたらパッと出てくんのね驚いたわ。
よし。確かに山伏爺さんの言ってた通りに鬼が復活した。
でもひとつ。前からずっと考えてたことがある。
もし。もしだ。あの山伏爺さんが実は悪者で、この鬼の方が良い奴だったとしたら……
見極めねば、ならんだろう――
とかちょっと良い感じのモノローグ頭ん中で考えてたら鬼が動き出していきなり海面から突き出てた岩にパンチかまして叫んだ。
『腹ガ減ッタゾォぉ! 我ニ喰ワレロ人ヨ!!』
はい決定。
さよなら鬼さん!
息を吸って吐く様に、なんの力みもない。
付近に飛行機も舟なんかもいない。魚とかはごめん。
掌を鬼に向けてただ発動するだけ。
ぱちっ――
鬼のヘソから上が消し飛んで。
ぱちっ――
鬼のヘソから下と海水が消し飛んだ。
いくら練習しても立方体でしか力を使えなくってさ、一回で消してやれなくて悪いね。
それでも300m四方の力で海水ごと消し飛ばしたから、モーゼのなんやらみたいにザァッと海水が流れ込んで………………良かった、津波とかにはならないみたい。
でもやっぱオーバーキルだよなぁこの力。
昨日電卓で計算したら凄い数字なんだもん。
23,943,032.64805636…………
二千三百九十四万三千㎜。
すなわち23.94km。ほぼほぼ24km。
24kmの真四角の穴ぶち開けれるんだぜ、俺。
これもう兵器ですよ。完全に人間兵器。
でも、ま。
終わったわ。もう一生この力は使わん。怖いから。
じゃ、仕事行くか。
それにしたって今年のクリスマスはなんで平日なんよ。プレゼントに喜ぶ我が子と遊べねーじゃんか。
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