異世界ニートを生贄に。

ハマハマ

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49「明き神の欠片」

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『うわわわわ! なんでござるかこの煙!』

 どうやら深夜です。
 一緒に寝ていたロボが騒いでいます。なんでしょうか。

『ヴァン殿! 全身から煙が出てるでござるぞ!』

 あぁ、僕の煙ですか。
 そういえば何にも説明していません。驚くのも無理ないですね。

「気にしなくても大丈夫ですよ。魔力の回復に伴って傷が癒えているんです」
『そういうものでござるか……。それがしにはそういう事はないでござるが』
「吸血鬼に特有のものですよ」
『そうでござるか』

 夜明けまでまだまだありそうです。ゆっくり眠りましょう。
 ロボの背を撫でながらもう一眠り、大きくなっても手触り最高です。




 おはようございます。
 ヴァンです。

『ヴァン殿! おはようでござる!』

 良かった。
 昨日と同じ大きさですね。
 朝起きたらプックルみたいな大きさになってたらどうしようかと思っていました。

 プックルは馬より少し大きいですが、山羊ですからね。街に連れて入っても、そう違和感ないですが、馬並みに大きい狼だとさすがに憚られます。

 でもいつかはあり得るんでしょうか。
 ペリエ村の西、マロウの森で出会ったマロウの長達はプックル並みの大きさでしたが。

「ロボ、先代の狼王殿はどれくらいの大きさでしたか?」
『父でござるか? そうでござるな、今のそれがしより、もう少し、一回りほど大きかったでござる』

 安心しました。レイロウはそこまで大きくはならなさそうですね。


 さてと、みんなは、と。

 昨夜は簡単に食事を済ませて、そのまま広場で寝ました。みんなとにかく疲れていましたから。

 ロップス殿は爆睡中ですね。
 あれ程のダメージですからしょうがないですね。
 タロウとプックルの姿が見えませんが、どこへ行ってるんでしょう。

 キィーキィーとマエン達の声が近付いてきました。

『お、魔道士殿、起きたか』

 数頭のマエンと共に、プックルの背に乗ったマエンの長とタロウが顔を見せました。
 タロウと二人乗りですね。

「おはようございます」
『この人族は面白いな』

 タロウは相変わらず獣と仲良くなるのが上手ですね。

「どうかしたんですか?」
『このタロウとかいう人族がな、魔力感知がからっきしだと言うんで見てやっとったんじゃ』
「ほう。それでどうでしたか?」

『ダメじゃ。からっきしじゃな』

 ちょっと期待したじゃないですか。

「マエンのじーちゃん、そりゃないっすよ」
『本当の事じゃ』

 ホントに仲良しですね。

『竜族の長が助言しても出来なかったらしいのに、ただのマエンである我にどうこう出来よう筈がないではないか』

 それはそうですね。
 アンセム様でさえタロウの魔力感知はお手上げでした。

「おはよう。集まって何をしてるんだ?」

 ロップス殿も起きてきました。
 とにかく朝食にしましょうか。

 簡単に朝食の準備を済ませました。
 今朝はマエンの長にもご馳走します。

『すまんな魔道士殿。人族にご馳走になるなどいつぶりだろうな』
「簡単なものですみません。お口に合うと良いんですが」

 ストックしていたマトンの肉と野草を使ったスープに、粉を捏ねて入れたダンゴ汁です。

『それでさっきの続きだがな』
「タロウの魔力感知の件ですね」
『ああ。聞けば竜の因子があるそうではないか』

 今のところ全然役に立ってない竜の因子ですね。

「アンセム様、竜族の長が言われるにはそうらしいです」

 スープをよそって長に手渡します。

『竜の因子とは何か知っておるか?』
「竜族だけが持つ因子だと伺いました」
『そうだ。それが何かを知っておるか?』

 何か、ですか。
 アンセム様も何も仰っておられませんでしたが……。

 ロップス殿に目を向けましたが、首を捻っています。
 貴方、竜の因子を持ってるんじゃないんですか。

「正直なところ、存じ上げません」
「私も知らぬ。考えた事もなかった」

『最近の若い者は知らんか。美味いなこれ』

 僕けっこう年寄りですけどね。

『竜の因子とはな、あかき神の欠片かけらよ』

 明き神の欠片……。

「それは一体?」
『詳しくは知らんがな、明き神とはこの世界の全てであり、この世界とは明き神の全てなんじゃ。そして竜の因子とは明き神の欠片、その欠片を持つ竜族とは明き神の子じゃ』

 初めて聞きました。
 これでも僕、ペリエ村で明き神の教会の管理をしてたんですが……。

「ヴァンさんって、教会の神父さんだったすよね?」
「違いますよ。僕は教会の管理をしてるだけで、神父という訳ではありません」

 もろに明き神の子であるロップス殿が一番驚いた顔をしていますが。

「長はそれをどちらで?」
『ガゼルの街だ。我は魔獣の子ではない。魔獣の肉を喰らって魔獣となったクチだ。元は普通の猿だった。その頃は教会に住んでおってな、研究熱心な神父が話すのを聞いておった』

 確かにガゼル領の、現在はアンゼル山脈と呼ばれる山の山頂付近に、明き神信仰の象徴があります。

「長、実はタロウはこの世界の人族ではないんです」
『ほう。ならそちらの世界の明き神の子の末裔ということかの』

 なるほど。明き神がこの世界にしかいないと考える方が不自然でしょうか。

「それは分かったっす! そんで俺の魔力感知はどうなるんすか?」

『さあな』
「そりゃないっすよじーちゃん!」
『まぁ分からんがな、明き神詣りでもすれば何か分かるんじゃなかろうかとな』

 んー、と考える素振りのタロウ。不意に僕の方に顔を向けました。

「ヴァンさん! 明き神詣りって道順的にはできるんすか?」
「可能です。というか、ガゼル様の家の近所ですからね」
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