23 / 103
20.5『エリザベータ・アイトーロル 2』
しおりを挟むようやくお部屋に戻れました。
ちょっとお行儀悪いですけれど、少しだけこのままベッドに倒れ込んじゃいます。
本当に……、本当に色々あって疲れました。
今日はもうお腹いっぱい食べたら早く寝てしまいましょ。
そう言えばお昼も食べていませんね……って、わたくしったら!
カルベとデートのはずでしたのに!
いつのまにかカルベをほったらかしに……!
……カルベ、ごめんなさい。
また今度埋め合わせはしますから、どうかお許しになってね。
自己嫌悪でさらに疲れちゃいました。本当はもうこのまま寝ちゃいたいんですけど……ダメ!
せめてお洋服を着替えなければなりませんわね。
ベッドから勢いよく飛び起きると、ベッド脇に据えられた姿見におめかししたわたくしの姿がどうしたって映ります。
「……やっぱりわたくしには似合いませんわね」
自分の醜い姿にため息を一つ溢して、でも、それじゃいけないと気を持ち直してもう一度姿見に視線を遣って――
「……はぁ」
――ダメ。似合わない。
むき出しになったこの厳つい肩周り。
こんなバルクたっぷり筋肉のわたくしに、こんな可愛らしいお洋服が似合うはずもありませんね。
さきほど小脇に抱えたレミさんのような……、あんな華奢な女の子にこそこういった服が似合うんでしょうね。
――けれどロンは。
こんなわたくしに逢いに来てくれたと言いました。
――けれどアレクは。
こんなわたくしを好きだと言ってくれました。
あんな綺麗で美しい男性たちが……、こんなわたくしに……
「……ふふっ」
あり得ませんわね。
あり得ない事で頬を染めるなんてバカらしい。
ロンがわたくしに逢いに来たと言ったのは、きっとわたくしの両親の死に責任を感じていたから。
アレクがわたくしに好きと言ったのは、きっとまだご自分の身体が小さい故の、筋肉への憧れという気の迷いでしょう。
あり得ない期待なんて……、いえ、あり得ない幻想なんて抱かない方が良い。
そう言えば、あり得ないと言えば先ほどのレミさんこそあり得ません。
ロンを一目見て鼻血を噴くのは、まぁ分からなくもありません。
あれほど美しい男性はそうはいませんから。
けれど……、けれど――!
あり得ませんわ!
あ、あんな――、一目見て求婚だなんて!!
わたくしなんて十年ですよ!?
十年もの間、あの人を想い続けて……、
しかも……、もう逢えることもない、逢えたところでどうなるものでもないと、そう諦めようと思い定めたのが魔王が討たれた昨年の猿の月。
それからたったの半年でまた姿を見せるなんて!
……いえ、分かっています。
こんなわたくしがレミさんに腹を立てるのはもちろん、こうやってどうこう言う事さえ烏滸がましいと。
分かってはいるんです。
けれど……、けれど……。
……女神ファバリンさま、わたくしは一体どうすれば良いのでしょうか――
0
あなたにおすすめの小説
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる