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64「お休みの過ごし方」
しおりを挟むアレク待望のデートです。
え?
覗かないんじゃなかったのか? ですか?
覗かないなんて言ってませんよ。だって面白――だって心配じゃないですか。
そんな事を思っていると王城からこちらへやってきた人影が。リザですね。
以前にカルベとのデートの時に着ていた服を、サイズが合う様に昨夜頑張って仕立て直していた服ですね。
良く似合っていますよ。
黒のオフショルダーニットに白いフレアスカート、それに蔦を編み込んで作った小さめのカゴポーチ。
スカートはともかくニットの方は詰めるのに難儀していましたが、胸からお腹にかけて大きなタックを増やしてウエスト辺りはなんとか違和感もありません。
ジル婆やがお裁縫得意で良かったですよ。リザだけじゃあこの仕上がりは難しかったでしょうから。
けれど肩周りは特にダブついていて、剥き出しの肩がなんだか余計にセクシーですね。
少し頬を染めたリザが、アレクに気付いて小走りに駆けてきましたよ。
「ごめんなさい。お待たせしましたでしょうか?」
「ううん、ちっとも。僕も今きたところだよ」
リザでさえ約束の時間の十分前ですが、アレクにいたっては一時間も前からここにいました。
けれどアレクはそんな事はおくびにも出しません。
殿方のあり様とはこうあるべきですよね。
「さ、行こ」
アレクがさり気なく、スッと肘を曲げて差し出してみせ、まぁっ、と可愛らしく驚いてみせたリザも、それに絡めようと腕を伸ばしました。
が、少し縮んだとは言えリザの背は百九十、対してアレクは百四十五センチ。
やはりどうにも上手く絡まりません。
「たはは……カッコよくいかないなぁ……」
綺麗な顔を少し赤らめアレクが頬を掻いて言いますが、リザはニコリと微笑みます。
「今はまだこれで良いんじゃありません?」
アレクの手を掴み、それをアレクの視線まで持ち上げ繋いだ手を示してそう言いました。
「そうだね! もうあっという間にリザの背に追いついてみせるからね!」
リザがニコっと微笑みアレクもニコっ。
良い感じに初々しいバカップル感が堪らなく可愛い二人。
見てて飽きません。もう飽きるどころかなんだか私まで胸の辺りが甘酸っぱいです。
二人はそのまま手を繋いで街へと向かって歩き始めました。
ずっと見てたいですけど心配なさそうですし、ちょっと他のとこも覗いてみましょうか。
◇◆◇◆◇
三番亭です。
ロンが一番亭までレミちゃんを迎えに行った筈でしたが、結局二人で三番亭のロンの部屋へ戻ったみたいですね。
昨日アレクが言った通りに二人っきりですね。
…………
……え、もしかしてそういうヤツですか?
ちょっとさすがの私も覗くのが躊躇われますねコレは……
ごめんなさい、日和ります私。
レミちゃんのあんなとこやロンのそんなとこ覗いてもね。
……いえ、面白そうで楽しそうで大変興味深くはありますけれど、さすがにね。
◆ ◆ ◆
後ろ髪引かれつつ、今度は一番亭です。
「……暇だ。な~んもやる事ねぇ」
ベッドにどさっと横たわっていじいじ前髪を摘むジンさんです。
「朝メシも食ったし昼メシまではまだある……」
朝ごはんが済んでからずっとこうやってるんでしょうかこの人。
「今更カコナ誘っても遊んでくんねえだろうな……」
うーん。難しい気がしますけど、誘うだけ誘ってみたらどうでしょうか。
ワンチャンあるかも知れませんよ?
「……うっし、決めた! 今日はキスニでも揶揄って過ごす! 近えし!」
ぴょんっとベッドから飛び起きて、勢いよく部屋を出て行きました。
キスニ姫たちも一番亭に滞在ですからね、近いのは近いですけど――
……そんな不毛な一日で良いんですか貴方……
まぁどうでも良いですか、ジンさんのお休みですもの。
なんだかんだでジンさんはしょっちゅう休んでるイメージですけどね。
◇◆◇◆◇
今度はギルドに来てみましたよ。
「なんでえなんでえ。若い娘が昼間っからシケた顔してんじゃねえよ」
「だって聞いてよチヨさん! あの憧れのジン様がよ――」
カコナがくだを巻いてチヨさんに愚痴を聞いてもらっているらしいですね。
「――あんっなデリカシーのないアホ男だとは思わないじゃん!?」
「がははははは! 何言ってんだカコナ。勇者パーティのジン・ファモチと言やあデリカシーの無い男前で有名じゃねえか! がははははは!」
チヨさんが豪快に笑い飛ばして、手に持ったコップをぐびぐびと勢いよく呷ります。
「えぇ~、そんなん聞いてないよぉ! それに知ってたんなら教えてくれれば良いじゃん!?」
「知っててそういうのがタイプなんだと思ってたんだよ。まぁぷりぷりせずに飲めよ。牛乳だけどよ! がははは!」
なんだかここは楽しそうですね。
もし私が混ざるならここが良いです。
さて、リザとアレクはどうしてますかね?
もうすぐお昼、ランチのお店を決めた頃でしょうか――
――と思ってギルドからも近い広場へ行ってみたんですけどね、二人がなんだか真剣な顔で話してたんですよ。
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