魔伝士ネイラーラ・ゾフィープ

随想アルファ

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箱庭異端 終章

終章8話

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港の倉庫が立ち並び、照明は灯されているが人の気配が全く感じられない、夜中の道を歩く。

確かさっきまで、知らないおじさんと・・・エッチしてたはず?
処女喪失の痛みや・・・今も股間から足に伝って流れている精液の感触が・・・間違いなかったって証明してる。

何処かに向かってる、間違いなく意思を持って、ゆっくりと近づいている。
何処に行こうとしているのかさっぱり分からないけど。

てか。私の意志なのかな?


よく分かんないや・・・。

ふと、手に何か当たる。
いつの間にか着ていたかなりのミニスカートにされていたがポケットが有ったのだろう。
何気なく手を入れて硬質の感触の物体に覚えが有った。
取り出すとそれはやはり自分の持ち物の携帯電話だった。
けれど、いつの間に?

画面には気になっていた彼の名前が表示されている。

文字列をみて。
気が付いたら通話を始めている。
暫くの呼び出しの後に・・・繋がった。

「あの・・・もしもし」
「・・・どこだ?どこにいる!!」

食い気味に。大きい声では無いけどはっきりとした強い口調で声が返ってくる。

心配してくれていたことに安堵し、処女を奪わせたことも有って嗚咽する。

その声に、雰囲気に、今度は優しく語り掛けて来る。

「大丈夫か?何処か痛かったりしないか?歩けるか?質問ばかりで悪いが、心配していた。よかった。良かったよ」


その声にただ・・・謝る事しかできなかった。


少しの間、話をした。
迎えに来ると言ってくれた。
バージンを自分から捨てた事を謝った。何回も。

次の瞬間に怖くて固まった。

何か黒い物が何処からか落ちて来た・・・いや・・・降りて来たのかも。
それは口や前足の周りを・・・赤く染めて、滴る量はじわじわとその地面を濡らしていく。
真っ赤に。
その姿は黒い犬。

しかも何か咥えている・・・こちらに向き直った時に悲鳴を上げた。
電話は通話中だったけど、会話なんてできやしない。

ぼとっと、咥えている物が地面に落ちて・・・人の手だと分かった・・・何故か見覚えが有る。

もっと。一番怖いのは・・・私はその場から動かなかった。
動けないんじゃなくて・・・悲鳴の後は口を噤んで、おまけに携帯電話を切らずにポイっと脇に放った。

「さて。全コントロール権を譲ってもらおうか」

自分の声だ。けど、そんな事は喋ろうなんて思っていない。

次の瞬間、私はまた押し倒された。
覆いかぶさって来たのはさっきの犬だった。
顔の前には赤い色の混じった大量の唾液と、ケモノ臭くて荒い息。
凄く怖い。
なのに、平然とみている私。

変なのは結構な勢いで地面に叩き付けられたはずの後頭部には全く痛みが無い事。
感覚が麻痺しているんじゃなくて、地面の感触はちゃんとある。
もう、訳が分からない・・・。

一瞬の暗転。

気が付いたら体が前後・・・上下?、頭の方向に揺さぶられていた。
視線をずらす。
すると、私はさっきの黒い犬に犯されていた。

子宮の中に太さより長さを感じる・・・間違いなくこの犬のが喰い込んでいる。
かなり、おじさんに出されていたので、潤滑剤としては有効に働いているんだろう・・・。
けど。
気持ち良くも無く。
しかも麻酔が効いている様な感じになっていて。痛みも無い・・・かなり腰を振られて出入りしている感触は有るけど嬉しくも無いし。
それより 感情が 全部 抜け落ちている 自分自身に驚いている。


少し時間が経ったなあと。
思っていると、結構、距離が有る雰囲気で声が聞こえてくる。
その声はさっきの電話で話していた・・・彼だ。

正直、最悪のタイミングだ。
ちょっとだけ言い訳がしやすいかな?とは思った。

けど。
その頃には自分の考えで、身体は動かせなくなっていた。




途中までは自転車を全力で漕いでいた。
今は走っている。勿論全力だ。

電話の最期に伝えられたのは悲鳴。
直後、通話は強制的に終了した。

頭に浮かんだのは、黒い犬、の被害。

身近な人間に訪れるってのは・・・可能性は考えていたが。
龍八さんと別れてからは、俺の精神に溶け込んでいた別の人格から距離を取られた感覚が有った。

今までは半分くらいのが俺に上書きした感じ?でいたが、多少の記憶として残っている以外は抜けきっている風だった。

この辺りはどういった加減なのか全く分からない。
ついでに彼?いや、別の俺?の考えまで、さっぱり知らないし、分からない。

けど、携帯の着信が入って、通話先の相手が誰なのかを見て、すぐに出た。
まず。声が聞きたい。
初めて、クラスメイトに再開できるのだから。
安否を確かめたい。


今思えば、彼女の位置を何故理解していたのだろうか?


彼女の位置が判るから最短で辿り着いた。

けれど、彼女は何か黒い者に覆い被さられて揺れていた。
直ぐにその事情が察せられた。

犬?いや人?

はっきりしないその存在は、俺が接近中にも拘らずに腰を振り続け、大きく腰を送り出した後ブルリと震えて動きを止めた。

そのまま滲み出す。

固形の黒い何かが熱で溶けた様に・・・水で薄められて行くかの様に・・・。
何方かかと言えば。
自分を女性の体内に流し込む。
そう見えた。
記憶からか?

髪の毛が逆立ち、後ろにたなびく。

倒れている典江の地面が輝き、人形がふわりと浮かぶように起き上がる。
もう分っている、・・・すでに視界に入った時点で、すでに彼女そのものでは無い。
その所為か。彼女を中心に同心円状に空間の揺らぎと仄かに光る輝きが迸る。何回も何回も・・・。

どうするか?

現状、戦闘になった時に攻撃手段が無い。
魔法が使えれば、と思う。
けど、使った記憶が有っても、発動条件が分からない・・・。
呪文を唱えて自在に使えれば。

典江は既に死んだか、乗っ取られたか、・・・なんにしろ。次にこっちを向いたら仕掛けて来る。
そう確信する。

この時点で、いまだ俺は走って接近している最中。

背中に冷たい汗が流れて、急に立ち止まる・・・。
直後、強い風が吹きつけられる。

咄嗟に横っ飛びして、一回転。
俺の進む予定の軌道上に光が走り・・・地面が罅割れて細かい破片が散らばり、破壊音が轟く。
破壊の余波は倉庫の集中した一角を吹き飛ばして、爆発と火災が始まった。

顔を前に上げて目を見張る。

典江の姿をしている物体の前に魔法陣そのものが現れる。
数か所に光が集まり・・・いや、光が生れて立方体の半透明で中から赤い点が輝く物体が、飛び出す。
多連射で。
思わず、眼を瞑り両腕を顔の前にクロスして身構える。
周囲で衝撃が次々と鳴り響く。

直ぐに止み、確認しようと腕を下ろしかけて目を開ける。

自分周りにはクレーターが穿たれ、着弾後はいくつも有ったが3メートル位には無事であった。
まるで守る様に地面には光る円が描かれている。
実際に護る為の魔法陣なんだろう。

そんな状況を見たからか、無機質な表情とその顔面は此方を見やって目を窄めてさっきまでの前面に有った魔法陣が強く光って、もっと多くの光が生れる。
撃って来る・・・。
そう思った時、ちょっと遠くに声が聞こえる。

こっちに近づいているらしい、声ははっきりした発音になって行って意味が分かる。
「ま~あ~にぃーーー」
まさか?マジか!なんでここに来る???

また・・・連射が始まった。
その数は倍以上。

周囲の着弾は凄まじくなった。

その中でも声が止まらないし、近寄るのを止めない。
姿が見えた。
走ってきていると言うより、滑ってきている。丁度、スケートしている感じ。

姿を見えた辺りで声は止まっている。
その幼く愛らしい顔は今は本気で怒っている。
しかも着弾範囲に突入、しかし地面の状態は無視され、魔力弾?の影響も無し。
進行方向上の障害物は弾き飛ばす。

お前もかい!

思わずツッコンだ。

これで終わらない。
叫んだ、いや、怒った。

「何をしてるの!!ケガをさせたら許さない!!」
俺の前に止まって仁王立ち。
「せっかく私の番になって!せっかく生んだのに!これ以上は!させないんだから!」

ほおわぁ?!
思わず考えた声が口を突いて出た。

何だ。生んだ?・・・カルテットも言ってたが・・・え?俺の母親なの??・・・は?・・・誰か答えを俺にくれ!

「私が守る!!」
後ろ姿しか見えないが、雄々しく声高に叫ぶ。

次の変化は驚く。
しゅるりと背が縮み、2歳分位戻った感じに。
右腕を持ち上げて水平に伸ばし、掌を真横に向ける。

突然物凄い熱量を感じる。
その熱波は間違いなく遮られている。
実際に燃え盛る炎が正面に渦巻いている。

こりゃあ、特大なのをぶちかますな。

逆光の中、持ち上げた掌からスルッと細長いものが飛び出してくる。
錆びまくった、金属部分のみの日本刀。
なぜか理解できる、オリジナルである依代の複製の・・・第二形態。
その形状や特性を使用目的に応じて変化できる、各人の為の専属の武器。

何故、理解できるのかは・・・そう、自分が同じだから。
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