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第一章
6-2
しおりを挟む「今日は、お義姉様におききしたいことがあって……」
「あら、なにかしら。私でわかることならいいんだけど」
「むしろお義姉様にしか聞けません!」
「ふふふふ、どうしたの? そんな今から決闘にでもいくような顔をしちゃって」
勢い込んで身を乗り出したリディアーヌに、兄嫁が楽しそうに笑った。
「実はお義姉様に、キスのやり方を教えて頂きたいのです!」
「…………まあ」
一瞬目を見開いて驚いたものの、すぐに笑って音もなくカップをソーサーに戻した兄嫁は流石である。
でも、この事態を面白がっているのは間違いない。兄嫁の薄水色の瞳がキラキラと輝いている。
「ついに、エーベルト様とキスをする気になりましたの?」
「まあ、そんなところです」
「でも、わざわざ私に聞かなくても、きっとエーベルト様はご存知よ?」
「いいえ! ベルは知らないわ!」
「……そんなことないと思うけど……」
キッパリと言い切ったリディアーヌに、兄嫁が苦笑した。
「どうしてそう思うの?」
「だって、いつだったかお義姉様達がしてらしたのと、何か違うんですもの」
リディアーヌの言葉に、兄嫁の顔が薄らと赤くなった。
義理の妹にキスの現場を見られていたということが恥ずかしいのだろう。
「そ、そう……」
「それに以前お茶会で、キスには大人のキスなるものがあるって、聞いたことがあるんです」
「……」
「大人のキスって、なんですか? 唇をくっつけるキス以外にもあるんですか?」
至極真面目な顔で問うリディアーヌに、兄嫁がにっこりと微笑んだ。
そのままおもむろに立ち上がり、部屋の本棚のところで、しゃがんでなにやらごそごそし始める。
探していたものを手に再び席に戻った兄嫁が、楽しそうに笑ってリディアーヌに一冊の本を差し出した。
「……これは……?」
本には綺麗な刺繍のカバーが掛けられていて、パッと見にはなんの本だかわからない。
殆ど厚みのないその本を手に取って、ぱらぱらと中身を確認したリディアーヌは、思わず頬を赤らめた。
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