異世界の騎士は風呂上がりのアイスをご所望です

碧 貴子

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まあ、言いたいことはわかるが、毎回毎回人の晩飯時を狙って突撃訪問してくる人間に言われたくない。
 しかも最近は、ほぼ毎日やって来ているのだ。
 森の見回り担当を増やされたと言っていたが、あやしいものである。
 それを言ったときに、目が泳いでいたのを岬はちゃんと知っている。

「あ、ライも飲む? どうせ、今日は非番だったんでしょ?」

 岬の言葉に、ラインハルトが目を逸らせる。
 つまりは、そういうことだ。
 というか、鎧を着ていないときは、大抵非番だ。
 何ともわかりやすい。
 ニヤニヤ笑いながら立ち上がった岬は、冷蔵庫からもう一本ビールを取り出して、ラインハルトの前に置いた。

「餃子に合うのよ、これが」

 岬に教えられたとおりに栓を開け、恐る恐る缶に口を付ける。
 一口飲んでみて、お気に召したのだろう、ラインハルトがゴクゴクとそれを飲み干した。

「お? 飲むねえ?」
「……これは、私の国の酒と同じだ」
「そうなの? ライは、イケる人?」
「まあ、強い方だとは、思う」
「ふーん。でも、飲みすぎないでよね。だって、いくら非番でも、戻るときは森の中でしょ? ほどほどにしときなさいよ?」

 岬がそう言うと、ラインハルトがはにかんだ様に笑って頷いた。

 最近分かったことだが、ラインハルトは岬に世話を焼かれるのが嬉しいらしい。
 両親を早くに亡くし、すぐに子爵家の当主となったため、これまで心配して口うるさいことを言ってくれる人間がいなかったようなのだ。
 そんなラインハルトは岬からすると、年の離れた弟の様で可愛い。
 それを言うと、盛大にむくれるので言わないが、そんなところも微笑ましい。
 ラインハルトが岬の家に現れるようになってもうすぐ5カ月が経つ今、岬にとってラインハルトはすっかり家族のような存在になっていた。
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