58 / 93
15-2(ラインハルト)
しおりを挟む
簡単な夕食を済ませ、お茶を飲みながらテレビを見る。
いつもだったら、岬が隣に居て、賑やかに笑いながら一緒に見ているはずなのに、一人だとなんとも侘しい。
何が可笑しいのかわからないが、テレビの中で芸人が立てている哄笑が部屋に空々しく響く。
やりきれない虚しさに嫌気がさしたラインハルトは、早々にテレビの電源を切ってしまった。
自分の気持ちを切り替えるために、既に昼に一通り終わらせていたが、もう一度日課のトレーニングをこなしてから風呂へと向かう。
そうすれば、風呂を出る頃にはさすがに岬も帰ってくるだろう。
もともとラインハルトは、風呂に対してそこまで思い入れのある方ではない。
面倒臭いからと、浄化魔法だけ掛けていいにすることが殆どだったのだ。
しかし岬と出会い、その並々ならぬ風呂へのこだわりを目の当たりにする内に、すっかりその影響を受けてしまったのだった。
今では、湯舟には毎日浸かるようになっている。
本当は一緒に入りたいのだが、そこに関しては岬がどうしても嫌だと拒否をするため、その願いは未だ叶ってはいない。
とはいえ、岬が一緒に向こうの世界に行ってくれるかもしれないと、見越して用意していた二人の新居には、ゆうに二人で入れる立派な浴室を特注で用意したのだが。
そんなこんなで、二人のこれからの新婚生活に思いを馳せていれば、あっという間に時間が経つわけで、ラインハルトが風呂から上がったときには、もうすでに夜もいい時間だった。
これなら岬も、もうすぐ帰ってくるだろうと、ソファーに座って本を読みながら待つ。
いつもだったら風呂上りには一緒にアイスを食べるのだが、流石に一人では食べる気にはなれない。
それを思った途端、急に言いようのない寂しさに襲われるも、すぐに岬も帰ってくるのだからと、ラインハルトはその感情を努めて無視をした。
しかし、待てども待てども岬は帰ってこない。
何かあったのではと、心配になって連絡を送って、遅くなる旨の返信を貰って以来、メールすらない。
女性がこんな時間まで外を出歩いているなど、向こうの世界ではあり得ない事態に、ラインハルトは気が気ではなかった。
ラインハルトの世界では日が暮れてから女性が一人で出歩くなど、まず危なくて、とてもではないがそんなことは出来ないしさせられない。
女性が夜に一人で出歩くなど、襲ってくれと言っているようなものだ。
だから、こちらの世界で暮らし始めた最初の数日は、まさか岬が日の暮れたこんな夜の時間まで仕事をしていたなどとは知らず、非常に驚き心配したのだ。
ただ、こちらの世界はラインハルトの世界と違って非常に平和で、武器を携帯しているだけで取り締まられるほど治安がいいのだと、岬に説明されてなんとか納得はしたのだが、それでも心配なものは心配だ。
本当のところは、出来れば毎日岬の会社まで送り迎えをしたいところだが、それだけはやめてくれと頼まれて、渋々引き下がったのだった。
とはいえ、いくら治安がいいとはいえどもこちらの世界にも犯罪はあるわけで、実際テレビのニュースでは、日々そういった犯罪の報道も少なくない。
それに、今日岬が一緒に飲みに行っているのは、後輩の女性だという。
女性二人でこんな時間まで、飲み屋がある盛り場に居るのかと思うと、ラインハルトは気が気ではなかった。
そうはいっても、飲みに行くのに男が一緒だったら、別の意味で余計に心配していただろうが。
いつもだったら、岬が隣に居て、賑やかに笑いながら一緒に見ているはずなのに、一人だとなんとも侘しい。
何が可笑しいのかわからないが、テレビの中で芸人が立てている哄笑が部屋に空々しく響く。
やりきれない虚しさに嫌気がさしたラインハルトは、早々にテレビの電源を切ってしまった。
自分の気持ちを切り替えるために、既に昼に一通り終わらせていたが、もう一度日課のトレーニングをこなしてから風呂へと向かう。
そうすれば、風呂を出る頃にはさすがに岬も帰ってくるだろう。
もともとラインハルトは、風呂に対してそこまで思い入れのある方ではない。
面倒臭いからと、浄化魔法だけ掛けていいにすることが殆どだったのだ。
しかし岬と出会い、その並々ならぬ風呂へのこだわりを目の当たりにする内に、すっかりその影響を受けてしまったのだった。
今では、湯舟には毎日浸かるようになっている。
本当は一緒に入りたいのだが、そこに関しては岬がどうしても嫌だと拒否をするため、その願いは未だ叶ってはいない。
とはいえ、岬が一緒に向こうの世界に行ってくれるかもしれないと、見越して用意していた二人の新居には、ゆうに二人で入れる立派な浴室を特注で用意したのだが。
そんなこんなで、二人のこれからの新婚生活に思いを馳せていれば、あっという間に時間が経つわけで、ラインハルトが風呂から上がったときには、もうすでに夜もいい時間だった。
これなら岬も、もうすぐ帰ってくるだろうと、ソファーに座って本を読みながら待つ。
いつもだったら風呂上りには一緒にアイスを食べるのだが、流石に一人では食べる気にはなれない。
それを思った途端、急に言いようのない寂しさに襲われるも、すぐに岬も帰ってくるのだからと、ラインハルトはその感情を努めて無視をした。
しかし、待てども待てども岬は帰ってこない。
何かあったのではと、心配になって連絡を送って、遅くなる旨の返信を貰って以来、メールすらない。
女性がこんな時間まで外を出歩いているなど、向こうの世界ではあり得ない事態に、ラインハルトは気が気ではなかった。
ラインハルトの世界では日が暮れてから女性が一人で出歩くなど、まず危なくて、とてもではないがそんなことは出来ないしさせられない。
女性が夜に一人で出歩くなど、襲ってくれと言っているようなものだ。
だから、こちらの世界で暮らし始めた最初の数日は、まさか岬が日の暮れたこんな夜の時間まで仕事をしていたなどとは知らず、非常に驚き心配したのだ。
ただ、こちらの世界はラインハルトの世界と違って非常に平和で、武器を携帯しているだけで取り締まられるほど治安がいいのだと、岬に説明されてなんとか納得はしたのだが、それでも心配なものは心配だ。
本当のところは、出来れば毎日岬の会社まで送り迎えをしたいところだが、それだけはやめてくれと頼まれて、渋々引き下がったのだった。
とはいえ、いくら治安がいいとはいえどもこちらの世界にも犯罪はあるわけで、実際テレビのニュースでは、日々そういった犯罪の報道も少なくない。
それに、今日岬が一緒に飲みに行っているのは、後輩の女性だという。
女性二人でこんな時間まで、飲み屋がある盛り場に居るのかと思うと、ラインハルトは気が気ではなかった。
そうはいっても、飲みに行くのに男が一緒だったら、別の意味で余計に心配していただろうが。
11
あなたにおすすめの小説
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
メイウッド家の双子の姉妹
柴咲もも
恋愛
シャノンは双子の姉ヴァイオレットと共にこの春社交界にデビューした。美しい姉と違って地味で目立たないシャノンは結婚するつもりなどなかった。それなのに、ある夜、訪れた夜会で見知らぬ男にキスされてしまって…?
※19世紀英国風の世界が舞台のヒストリカル風ロマンス小説(のつもり)です。
女公爵になるはずが、なぜこうなった?
薄荷ニキ
恋愛
「ご挨拶申し上げます。わたくしフェルマー公爵の長女、アメリアと申します」
男性優位が常識のラッセル王国で、女でありながら次期当主になる為に日々頑張るアメリア。
最近は可愛い妹カトレアを思い、彼女と王太子の仲を取り持とうと奮闘するが……
あれ? 夢に見た恋愛ゲームと何か違う?
ーーーーーーーーーーーーーー
※主人公は転生者ではありません。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
牢で死ぬはずだった公爵令嬢
鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。
表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。
小説家になろうさんにも投稿しています。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる